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ミナミのおばちゃん、異世界で心の影を救います  作者: ぽそまる


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第104話:『おばちゃん、“新しい風”と出会う』

世界の涙が止まり、

街に穏やかな日々が戻ってから一週間。


朝の光は柔らかく、

風は心地よく、

人々の表情は明るい。


ユウトがパンを頬張りながら言う。


「おばちゃん!

 今日のスープ、なんか“冒険の味”するで!!」


トモエは笑った。


「なんやそれ。

 うちは普通に作っただけやで」


カイルは真面目な顔で言う。


「おばちゃん先生……

 あなたの光が安定しているからでしょう。

 料理にも“心の状態”が反映されるのかもしれません」


リリアは頬を赤らめながら言う。


「おばちゃんさん……

 なんだか前より……

 “楽しそう”です……」


セイルは静かに頷いた。


「世界の涙が止まり、

 あなた自身の心も整ったのでしょう。

 光の継承者としての力も、

 より自然に流れているように見えます」


トモエは照れくさそうに笑った。


「なんや、褒められるとむず痒いわ」


ユウトが元気に言う。


「おばちゃんは世界一や!!

 異世界でもミナミでも最強のおばちゃんや!!」


トモエはユウトの頭を撫でた。


(せやな……

 うちはまだまだやけど……

 みんながおるから頑張れるんや)


---


◆ ◆ ◆


◆ 街の広場 ―― “新しい風”


朝食を終え、

トモエたちは街の広場へ向かった。


子どもたちが走り回り、

市場の店主たちが元気に声を張り上げ、

人々の笑顔があふれている。


ユウトが嬉しそうに言う。


「おばちゃん!

 なんか今日の風、いつもより気持ちええな!!」


カイルは風を感じながら言った。


「魔力の流れが安定しています。

 世界の涙が止まったことで、

 自然の力も整ったのでしょう」


リリアは胸に手を当てた。


「ほんとに……

 空気が優しい……」


セイルは静かに言った。


「しかし……

 この風……

 ただの風ではありません」


トモエは眉をひそめた。


「どういうことや?」


セイルは空を見上げた。


「“誰かが来る”気配がします。

 この風は……

 来訪者を知らせる風です」


ユウトが目を丸くした。


「来訪者!?

 誰や!!」


カイルは魔力を探った。


「強い……

 でも優しい……

 不思議な気配です」


リリアは不安そうに言う。


「敵……じゃないよね……?」


セイルは首を振った。


「敵意はありません。

 むしろ……

 “助けを求めている”ような……

 そんな気配です」


トモエは風の流れを感じた。


(誰かが……

 うちを呼んどる?)


---


◆ ◆ ◆


◆ 謎の来訪者 ―― “白いローブの少女”


そのとき――

広場の中央に、

ふわりと光が降りた。


光が消えると、

そこにはひとりの少女が立っていた。


年齢は十六、七歳。

白いローブをまとい、

銀色の髪が風に揺れている。


ユウトが叫ぶ。


「おばちゃん!!

 なんか出てきた!!」


カイルは目を見開いた。


「転移魔法……!?

 この街で使える人はいないはず……!」


リリアは震えた声で言う。


「すごく……

 綺麗な人……

 でも……

 どこか悲しそう……」


セイルは静かに言った。


「光の継承者。

 あれは……

 “別の地の巫女”です」


トモエは息を呑んだ。


「巫女……?」


少女はゆっくりとトモエの方へ歩いてきた。


その瞳は――

深い悲しみと、

強い決意を宿していた。


少女は静かに言った。


「……あなたが……

 光の継承者……

 大原トモエ……ですね……?」


トモエは頷いた。


「せや。

 あんたは……?」


少女は深く頭を下げた。


「私は……

 “北の地”の巫女、

 エルミナと申します」


ユウトが首をかしげる。


「北の地……?」


カイルは顔を青くした。


「北の地……

 あそこは……

 “永い冬”に閉ざされた土地……

 魔力の流れが乱れ、

 影が濃い地域です……!」


リリアは震えた。


「そんな場所から……

 どうして……?」


エルミナは静かに言った。


「……助けてください。

 北の地が……

 “影の冬”に飲まれようとしています」


トモエは息を呑んだ。


(影の冬……?

 世界の涙が止まったのに……

 まだ影が……?)


エルミナは続けた。


「世界の涙が止まったことで、

 多くの影は消えました。

 しかし……

 “北の地”だけは違うのです。

 あそこには……

 “古い影”が眠っている……」


セイルは静かに言った。


「古い影……

 世界の涙よりも前から存在する影……

 それが動き出したのか……」


トモエは拳を握った。


(世界の涙は止まった)


(せやけど……

 まだ救われてへん場所があるんか)


エルミナはトモエの手を握った。


「光の継承者……

 どうか……

 私たちを……

 救ってください……」


トモエは深く息を吸った。


「よっしゃ。

 行こか。

 北の地へ」


虎柄シャツが風に揺れ、

おばちゃんは新たな旅へ踏み出した。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。


第104話では、

世界の涙が止まった後の穏やかな日常に、

新たな風が吹き込む瞬間が描かれました。


“北の地の巫女・エルミナ”という新しい来訪者。

そして彼女が告げた

「影の冬」

という不穏な言葉。


大きな戦いを終えた後の静けさの中に、

次の物語の扉がそっと開いた回でした。


次回、第105話では

北の地へ向かう準備と、

エルミナが語る“古い影”の正体

が描かれます。


これからも、おばちゃんの物語を

どうぞよろしくお願いいたします。

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