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ミナミのおばちゃん、異世界で心の影を救います  作者: ぽそまる


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第10話:『おばちゃん、異世界で屋台を出す』

リューネの朝は、いつもより賑やかだった。

街の中心から、太鼓のような音が響いてくる。


「なんや、今日はやけに騒がしいなぁ……」


宿屋の女将・ミーナが笑顔で答えた。


「おばちゃんさん、今日は“リューネ収穫祭”なんですよ」

「収穫祭?」

「はい。年に一度、街中が屋台を出してお祝いするんです。魔力野菜の収穫を祝う大きなお祭りですよ」


トモエは目を輝かせた。


「屋台……? ほな、たこ焼き作れるやん!」


ミーナは首をかしげた。


「たこ……やき?」

「せや! 大阪のソウルフードや! 異世界の人らにも食べてもらいたいわぁ」


ミーナは興味津々で身を乗り出した。


「どんな料理なんです?」

「丸い粉もんや。外カリッ、中トロッで、ソースとマヨが最高やねん」

「おいしそう……!」


トモエは拳を握った。


「よっしゃ、今日は屋台出すで!」


---


◆ 祭りの準備


市場へ向かうと、すでに屋台がずらりと並んでいた。

魔力で光るランタン、魔法で焼くパン、魔力水のジュース……

どれも異世界らしい華やかさだ。


ユウトが駆け寄ってきた。


「おばちゃん! 今日、屋台出すん?」

「せや。たこ焼き作るで」

「たこ……?」

「まぁ見てのお楽しみや」


リオも店から顔を出した。


「おばちゃん、屋台出すなら手伝うよ!」

「ほんま? 助かるわぁ」


三人は空いているスペースに屋台を設置し始めた。


「まずは鉄板やな……って、鉄板ないわ」

「鉄板って何?」

「丸い穴がいっぱい空いた板や。たこ焼き焼くのに必要なんや」


リオが魔道具を取り出した。


「これ、“形状変化プレート”っていう魔道具なんだけど……」

「それ、穴あけられる?」

「できるよ!」


リオが魔力を流すと、プレートに丸い穴がずらりと並んだ。


「おおっ! 完璧やん!」

「すごい……!」

「魔道具って便利やなぁ!」


次に、材料を揃える。


「粉は……小麦粉っぽいのあるな」

「タコは……ないな」

「タコって何?」

「海の生き物や。こっちにはおらんのか?」


ユウトが言った。


「代わりに“マナオクト”ならあるよ!」

「マナオクト?」

「タコに似てる魔力生物!」


トモエは目を輝かせた。


「それでええやん! むしろ美味しそうや!」


材料が揃い、屋台の準備は整った。


---


◆ たこ焼き、異世界デビュー


トモエはエプロンを締め、鉄板に油をひいた。


「よっしゃ、焼くで!」


粉を溶き、鉄板に流し込む。

マナオクトを切って入れ、魔力で火力を調整する。


「フレア……っと」


――じゅわぁぁぁ。


鉄板から香ばしい匂いが立ち上る。


「なにこれ……いい匂い!」

「丸い……食べ物?」

「おばちゃん、すごい!」


人々が集まってきた。


トモエは竹串で器用にたこ焼きをひっくり返す。


「ほら、丸なってきたやろ?」

「すごい! 魔法みたい!」

「いや、これは技術や」


焼き上がったたこ焼きに、ソースとマヨをかける。


「はい、できたで!」


---


◆ 異世界人、たこ焼きに衝撃を受ける


最初に食べたのは、ユウトだった。


「いただきます……あっつ……!」


――もぐ。


「……なにこれ……めっちゃおいしい!!」


リオも食べる。


「外がカリッとしてて、中がとろっとして……マナオクトの旨味がすごい……!」

「せやろ? これが大阪の味や!」


次々と人が並び始めた。


「私も食べたい!」

「一つちょうだい!」

「おばちゃん、これいくら?」


トモエは笑った。


「ほな、一皿50ルナでどや?」

「安い!」

「買う買う!」


屋台は大盛況になった。


---


◆ しかし、事件は起きる


たこ焼きを焼いていると、突然――


「……へっ……へっ……」


トモエの鼻がむずむずした。


(あかん……! 今くしゃみしたら……!)


「へくしっ!!」


――ボフッ!


魔力が暴発し、鉄板の火力が一気に上がった。


「うわぁぁぁっ!」

「たこ焼きが……!」

「燃えるーっ!」


しかし――


「……あれ?」

「めっちゃカリッとしてる!」

「こっちのほうが美味しい!」


トモエは目を丸くした。


「え、うちのくしゃみで……?」

「おばちゃんの魔力、料理にも効くんや!」

「これ“くしゃみ焼き”や!」


「変な名前つけんといて!」


しかし、客たちは大喜びだった。


「おばちゃん、もう一皿!」

「くしゃみ焼きちょうだい!」

「今日の祭り、これが一番や!」


トモエは照れくさそうに笑った。


---


◆ 祭りの終わりに


夕暮れになり、屋台は完売した。


「おばちゃん、すごかったね!」

「たこ焼き、めっちゃ売れたよ!」

「おばちゃん、料理の才能あるんちゃう?」


トモエは胸を張った。


「せやろ? うちはな、料理も得意やねん」


リオが言った。


「おばちゃん……今日の売上、すごいよ」

「ほんま?」

「これ、全部おばちゃんの取り分だよ」


トモエは驚いた。


「こんなにもらわれへん!」

「いいんだよ。おばちゃんが作ったんだから」


ユウトも笑った。


「おばちゃん、また屋台出してよ!」

「そうやなぁ……また機会あったらやるわ」


トモエは空を見上げた。


異世界の夜空は、祭りの光で輝いていた。


「異世界でも……うちはうちやなぁ」


虎柄シャツが夜風に揺れた。

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