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紅茶

作者: 檸檬

夜道、少しずつ少しずつ涼やかになり


夏の厳しさが秋の一抹の寂しささえ和らげてゆく


家々からこぼれる灯りを掬う手のひらの夜風は肩に素直に沿うように髪を梳く


少し散歩をしよう


またね、と季節に手を振ったまま残る


残像の淡き光


高く伸びた木々の葉先に見える星は


手に取った一杯のティーカップに映る


湯気の魔法は薫じて

 

落葉してゆく紅葉、深き色


秋の瞳へ落葉し 秋の瞳は揺らめいて


ゆっくりとわたしという一部に解けてゆく


土草に立つ大樹の身体中から流れるせせらぎ

に似た秋虫の音色は涼しい夜風に撫でられる草露となり足先に触れる


竹林の茂みからポトッと音がする


誰かの足音かと振り返るけれど違っていた


また、ポトッ カサッと鳴る、


木々はしんとして外灯に木影が舞うだけ


わたしは今日の真昼にもまだ鳴いていたツクツクボウシを思い出した


今は柔らかき土草に落葉し眠っているのだろうか


その安らぎを想い


白いティーカップを口元へ運ぶ


湯気の魔法は薫じて


落葉してゆく紅葉、深き色


秋の瞳へ落葉し 秋の瞳はゆらめいて


わたしはあたたかな笹露の瞬きの中で


紅に染まる木の葉の唇に触れた









































 
















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