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『婚約解消ですって』
『まぁ、殿下に恋人がいるなら仕方ないですわ』
『なんでもオーディン殿下の恋人を切りつけたみたいよ……あの赤い髪が魔女みたいね』
『それに、プリシア様にも強く当たっていたらしいわ。オーディン殿下も癒しを求めて当然だわ』
私は自分に対する悪意ある噂を聞き流しながら、王宮の廊下を歩く。
噂とは本当に厄介な物だ。一人歩きをした挙句、容赦なくその人を貶めるのだから。
私は辿り着いた扉をノックして入る。
中には私の婚約者のオーディン殿下とその親しくしている女性のプリシア嬢、そして人が良さげな国王陛下に私の父であるユワナ公爵が座っていた。
「国王陛下。遅れてしまい大変申し訳ありません」
「いや、急に呼び出したのだ。気にするでない……座りなさい、エミリー」
私は父の隣に座る。拳を握りしめて口を真一文字に引き締める父。その威圧感に額に汗をかき気圧されているオーディン殿下。
今更、後悔なんてしないで頂戴よ……それだけの事をしたのだから、あなたは。
「エミリー。私の愚息が君にした事は許される事ではない。私からも謝ろう……すまない」
「陛下……」
「父上、これには事情が」
「お前は黙ってるんだ、オーディン」
日頃から温和な国王陛下のマルク国王が鋭く言い放ち、オーディンは押し黙った。
「幼い頃より婚約者として私達に尽くしてきた君の時間を考えると、どう詫びれば良いのか……」
マルク国王は額に手を当てて首を振りながら項垂れた。
そう、私は昨日、オーディンより婚約解消を突きつけられた。「君とは明るい未来を作る事はできない」そう言ってオーディンは私を冷たい眼差しで見た。
彼とのより良い未来のために、私は全力で彼と向き合おうとしたのに、その仕打ちがこれだった。
悲しさやショックより怒りの方が強くて、私は彼の婚約解消を迷いなく承知したのだ。
それだけ、私達の関係は冷え切っていた。




