33話【プレゼント】ト【イブの夜】
真夏の日差しが一番辛い午後3時、都内の繁華街で真珠星と委員長は冷房の効いたオルゴール調で奏でられた歌謡曲が流れるカフェでお茶を飲んでいた。委員長はまだ暖かい紅茶の入ったティーカップに手を添えている。委員長の対面に座る真珠星はテーブルの横に置いてあるドリンクメニュー表を眺めた。
委員長「私達2人だけで会うの初めてよね?」
真珠星「そうだな。いつも間に萌香がいるから3人でいるのが当たり前になってたからなんか不思議な感じ」
委員長「本当にそうね。遠足の時BBQで同じ班にならなかったら私達友達になっていなかったわ(笑)」
真珠星「それな!(笑)委員長、いつも忙しそうだったからさぁ。ぶっちゃけ休み時間、声かけずらかったんだよね」
委員長「そうだったの!?声かけてくれて全然良かったのに(苦笑)。……あの当時私……クラスで友達と呼べれる人がいなくて……休み時間一人でいるのがいやだったの。それで時間を潰す為に担任や他の教科の先生達から頼み事を請け負っていたわ」
真珠星「そうだったの!?」
委員長「えぇ。でも今は輪通さんと穂先さんが、私の側にいてくれているからそんな事せずに休み時間楽しく過ごせているわ。ありがとう」
真珠星「礼なら、萌香にも言いなよ〜」
委員長「もちろん。伝えるわ」
委員長は手を挙げて店員を呼んだ。そしてホット紅茶のおかわりと真珠星がドリンクメニュー表にあるアイスカフェオレに指を差し店員に注文する。店員は注文内容を復唱しテーブルから離れた。
真珠星「萌香の誕プレ決まった?」
委員長「えぇ。さっき行った雑貨屋で購入したわ。穂先さんまだ買ってないの?」
真珠星「……うん、ごめん。近くに服屋見つけたからそこ行っていい?」
委員長「いいわよ。でも意外だわ穂先さん、即決するタイプだと思っていたけど慎重派なのね」
真珠星「自分へのプレゼントはすぐに決めれるけど、他人に渡すとなると……どうしても悩むんだよねぇ」
まだまだ外は暑い、2人は先ほど注文した飲み物をゆっくり飲み干した後、再び萌香の誕生日プレゼントを探す為カフェを出て近所の服屋へ向かった。
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雪が降り始めた寒い日の夜。街の中はクリスマス雰囲気でいっぱいだ。近隣の家々の外壁にはイルミネーションが飾られ、星や動物の形をしたモノから多種多様で赤や緑、白色に光る小さな電球が点灯している。
綺麗な外の様子を眺めながら、祖母から頼まれたお遣いの帰り道【みゃぁ、みゃぁ】と必死に鳴く猫の声がした。
私は鳴き声のする方へ、歩いて行くと近所の公園に辿り着いた。ベンチの下で凍えて体をぶるぶると震わせた茶トラの仔猫を見つけて、しゃがみ込んで覗いてみるとその仔猫は私に向かって【みゃぁ】と鳴いた。
委員長「寒いよね。こっちにおいで」
猫に話しかけるとよちよちとベンチの下からこちらに向かって歩いて来た。そっと抱きあげると暴れたりすることもなく私の腕に体を預ける。首に巻いていた毛糸のマフラーを仔猫の体を包むように巻き家まで持ち帰った。
一緒に暮らす祖父母に理由を話すと茶トラの仔猫は家で飼うことになり、家族の一員になった。早速祖母が名前を考えてくれた。
祖母「クリスマスの夜に家にきたから『サンタ』なんてどう?」
委員長はひょいと仔猫の体を仰向けにしてお腹を撫でた。
委員長「……この仔猫雌よ」
祖母「じゃあ、サンタは似合わないわね」
委員長「うん。……あっ!?この名前なら良いかも!あなたの名前は今日から『イヴ』よ。よろしくね」
イヴと名付けられた仔猫はまた【みゃぁ】と鳴く。
あれから時が経ちイヴを飼い始めて3年成猫となった今、暑さ対策で買った猫用冷感マットに全く興味を示さない。しかしほぼ同じ材質で作られた人間用の冷感マットはいたく気に入ってるらしく体を丸めて気持ち良さそうに眠っているのだった。
33話End
お題【プレゼント】24‘12/24
【イブの夜】24‘12/25




