31話【寂しさ】ト【ベルの音】
数年前から、船星 航の両親は自分達の子供の事など気にせず、海外に行ったまま一度も帰って来ないのである。
生活費等は毎月銀行にお金を振り込んでいるようなので、生活に困ることはない。
だけど、この広い3階建ての一軒家に一人でいるのは……寂しい。
中学生の頃は、話し方がきつい家政婦さんが週3日程度、家に来て家事や料理を教えてくれた。家政婦さんが来ない日は時々、両親の友人であり、船星が幼い頃から気にかけては、会話をしてくれた女性、門杭 静が仕事帰りに様子を見に来てくれた。
門杭という女性は、ベリーショートヘアーにパンツスタイルのスーツを着こなす高長身で、女性らしくもないどちらかというと男勝りな性格の所があるので、船星には珍しく苦手意識が出ない、母親以外で唯一まもともに会話できる女性だと言っても過言ではない。
しかし、そんな門杭も船星が中学生を卒業と同時に自身のデザイナー会社が海外で注目を浴びて、海外事業所を建て現在は海外勤務中らしい。
船星は熱に侵されながら中学生の時にお世話になった人達を思い出していた。
船星「こんな体調を崩した時に限って思い出すんだよ……余計に寂しさを感じてしまうじゃんか」
船星は心の中で———。
船星「(いっそ犬や猫などのペットを飼ってしまえば、この寂しさを紛らわすことができるんじゃ無いかな)」
と思うのだった。
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小学4年生の頃私は学校から帰るとすぐに越鳥 春美(以後ニックネーム、ハル)の家へ遊びに行っていた。私より後から来た転校生のハルは日本人の父とNZLの母の間に生まれたハーフだ。
転校初日、ハルの周りは質問ばかりするクラスメイトに囲まれていた。困り果てていたところを真珠星が助けたのがきっかけで二人は仲良くなった。
冬のある寒い日いつものようにハルの家で遊んでいるとシャンシャン、リンリンとハンドベルの音色が家中に鳴り響く。
真珠星「クリスマスのベルの音みたいで綺麗だね」
ハル「Yes。もうすぐクリスマスでしょ。NZLのフレンドがワタシの家でクリスマスパーティーを開くの。今年はママとNZLのフレンドのママ達がハンドベルでクリスマスソング披露するみたいなのよ。だから夕方になると自分の担当のハンドベルを鳴らして練習してる」
真珠星「へぇ。ハルは歌わないの?」
ハル「ワタシは歌わないわ。去年とても恥ずかしい思いをしたから」
真珠星「何があったの?教えてくれる?」
ハルは「誰にも内緒よ」と言いながらカタコトの日本語で教えてくれた。
ハルは自分が自覚しているくらい音痴である。パーティー当日とても緊張しまい練習の時より音程がめちゃくちゃになりピアノの伴奏を狂わしてしまい、とても笑い者にされたらしい。それからというのも合唱は全て口パクになったと恥ずかしながら小声で話をしてくれた。
31話End
お題【寂しさ】24‘12/20
【ベルの音】24‘12/21




