28話【愛を注いで】ト【イルミネーション】
毎月第3日曜日は商店街で町内バザーが開催されている。
祖父と祖母そして私の3人家族は毎月それに出品側として参加していた。出品目は祖父が作った季節の野菜だ。家の隣にある小規模な畑で作る為、数に限りはあるし形が歪な物もあるのだが、それなりに人気があるようで、来場者は近所の人が多く、他県の人が来ることは滅多にない。
近所のA婦人「今月は何がおすすめですか?」
祖父「葉にんじんとトマトです」
近所のA婦人「じゃあ、それをいただくわ」
祖父「ありがとうございます。葉にんじんは1袋に5〜6本入りのご購入となりますが、よろしいですか?」
近所のA婦人「えぇ。良いですよ。あ、トマトは3つお願いします」
祖父「わかりました。袋詰めを致しますので、先に隣でお会計をお願いします」
近所のA婦人は祖父の隣に立つ委員長に向かう。
祖父の斜め後ろで祖母は手際よく野菜を袋つめしていく。
会計が終わった頃合いを見て、祖母は近所のA婦人に袋を手渡す。
近所のA婦人「ありがとう。私ね、毎月、秋更さんの作るお野菜楽しみにしてるの。また来るわね〜」
祖父「ありがとうございます。こちらもお待ちしております」
祖父は一礼した。商社で営業職に長年勤めていた祖父は退職した今でも、バザーの時は昔を思い出し積極的に接客をしてくれている。
近所の人曰く祖父の対応はすごく丁寧である。それでいて祖父の作る野菜は美味しいと評価が高い。それは一つ一つ我が子のように愛を注いで作っているからだろう。
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夏季補習最終日の3時限終了後、萌香は意を決して大神に連絡先を聞いてみた。すると大神の反応は焦っていたりドキドキしている様子もなく、全く表情を変えず制服のズボンのポケットから携帯を取り出しアドレス帳を萌香に見せた。
大神「ほい。怪しいサイトに俺の情報渡さんといてや〜(笑)」
萌香「怪しいサイトって何?」
大神は一瞬驚いた。
大神「……えっ!?まぁ、そんなん知らんで当たり前やな。(笑)俺もよう知らんし……。あ、下手に調べたらあかんで!!」
萌香「?……うん」
このネット社会で怪しいサイトがあることを知らない人が身近にいるとは思わなかった大神。10コ下の妹でさえそのサイトにアクセスしなくてもそういう情報は知っている。授業で習ったと自慢げに話していた。最近は授業の一環でプログラミングを習うらしい。
大神と萌香は荷物を持って教室を出た。
廊下を歩き1階へ向かう。萌香は少し寂しげに話す。
萌香「夏休みが終わるまでしばらく大神君と会えないんだね。寂しいなぁ、せっかく連絡交換したばかりなのに……」
チラリと大神の顔を見上げる。大神はこちらに見向きもせず答えた。
大神「そんなん言わんでも。いつでも、連絡してくれたらえぇやん」
萌香「本当に?」
大神「おう!」
やっとこちらの顔を見たかと思ったら目の前は靴箱だ。大神と萌香はそのままお互いの靴箱へ別々に向かい靴を履き替え二人は一緒に帰ることなく校舎を出て家路に着いた。
夕方萌香の携帯にメッセージが届く。
『お疲れ。子猫ちゃん!今週の土曜日の夜に俺とイルミネーショ見に行かん?友達連れてみんなで遊ぼうや!!』
萌香は天にも昇る気持ちで速攻で返事を返した。もちろん答えは「Yes」その一択だ。
28話End
お題【愛を注いで】24‘12/14
【イルミネーション】24‘12/15




