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とあるアプリで出題されたテーマから紡がれるセカンドストーリー  作者: 砂坂よつば


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27話【何でもないフリ】ト【心と心】

 夏季補習3日め朝、自宅から約20分以上歩き、電車に揺られること約30分、学校の最寄り駅から徒歩約10分、片道約1時間かけて学校へ向かう。校舎の中に入り、靴箱から上履きに履き替え2階の空き教室に向かっていた萌香。階段を登り、途中の踊り場で両腕を上げて体を伸ばしていた。


萌香「ん〜〜っ。今日で最後かぁ」


すると萌香の背後から大神が声をかけて来た。


大神「おはようさん!子猫(萌香)ちゃん。こんなとこでボケーっと立っとたら遅刻すんで(笑)」


萌香「お、大神君!?おはよう!え、嘘!?遅刻?」


萌香は慌てて階段を駆け上がり走って空き教室まで向かう。教室の扉を開け一歩踏み出し、


萌香「間に合った〜」


と言いながら席に着く。隣の席に座る大神はくっくっくと笑いを堪えているが次第にあはははと大笑いし始めた。


萌香「何かおかしいことあったの?」


きょとんとした顔をする萌香。大神は笑いながら教室の壁に掛けられた時計を指差す。萌香は大神が指し示す方へ目をやる。


萌香「8時10分……遅刻じゃ……ない!?」


大神「子猫ちゃん騙されやすいタイプやなぁ。気をつけなあかんでぇ(笑)」


萌香「き、()()()たまたま油断しただけ!」


大神「今日はっていつも誰かに騙されとるんか?」


萌香「……だ、騙されてない……もんっ」


とちょっと強がってみせる萌香。実は時々真珠星(すぴか)に騙されている。

犯罪に繋がるようなことではなくただの悪ふざけだ。萌香が過去に騙された話をひとつあげるとするならこんな話がある。

真珠星が一口サイズのシュークリームを食べていると、その横で子犬のように食べたそうな顔で真珠星のシュークリームを萌香は見つめていた。真珠星の頭の中でそれは計画通りであり、実行に移すチャンス到来だ。


真珠星「ひとつ食べる?」


萌香「うん。ありがとう」


萌香は何も疑うことなく、目を閉じて水面に上がってきた鯉のように、口をパクパクさせ食べさせてくれと言わんばかりの顔で表す。


真珠星「しょうがないなぁ」


と言いながらニヤリと口角をあげる。容器の底にある、シュークリームを1つ掴み底の部分を確認してから、餌を与えるように萌香の口の中に入れた。萌香はシュークリームが口の中に入ったことを舌で感じ、もぐもぐと歯で生地()を破る。

そして中からどろっとクリームが舌の上で広がった。その瞬間、カスタードクリームに紛れて舌の痺れるような痛みが走った、その痛みで萌香は手で口を抑え、涙目になる。


萌香「な、何入れたの?!」


真珠星「シュークリームに決まってんじゃん(笑)」


萌香「クリームの方だよぉ(泣)」


真珠星はポケットからドクロマークのラベルが貼られた赤い小瓶を萌香に見せる。


真珠星「ハバネロの種を練った(ヤツ)を少し入れてみました〜」


萌香「真珠星のばかぁあ〜〜」


この後萌香は500㎖のペットボトルのお水を買って一気飲みしたのである。


その話を休憩時間に大神に話すと———。


大神「子猫ちゃんら、やっぱり芸人目指してるんか?(笑)」


萌香「目指してなんかないよぉ」


この3日間、大神と毎日会いだんだん仲良くなっていった二人。萌香は大神の前でただの補習仲間として好意のないフリをしていたが、内心はずっと心臓がバクバクしていたのだ。


3時限終了後萌香は、意を決して大神に伝える。


萌香「大神君!連絡先教えて!!」


_______________________


 生活指導の教師ことヒ◯ラー似の穴黒(あなぐろ)は有給休暇で休暇中の校長から夏季補習期間中の3日間、校内の廊下の見回りを頼まれた。


穴黒「3日間と言わず、ずっと(わたし)が校長の代わりに再び公務を行なっても構わないのですがねぇ……」


穴黒はかつてこの学校の副校長だった。先代の病弱な校長に代わって公務を行なっていた。当時の教頭と穴黒はとても仲が悪く言い争いは日常茶飯事。それは教頭と穴黒が目指す生徒と教師の在り方が違っていたからだ。


当時の教頭「毎度毎度同じ事を言わせないで下さい!!あたくしは教師が生徒を暴力で従わせるなんておかしいと言っているのです!心と心を通わし話し合いで解決すれば良いではないですかっ!?」


穴黒「あの野蛮な生徒(猿達)が言葉を理解出来ないから教師はやむ終えずしてるだけだと言ってるだろう!!」


当時の教頭「まぁ〜!?生徒を猿呼ばわりですって!?もぅ〜っ耐えられません。副校長!あなたにはしかるべき処置をある方に実行して頂きますから!!」


そう言って教頭は辞表と書かれた封筒を副校長に叩きつけ職員室を出て行く。翌日の放課後PTAの会長と副会長、教育委員会の教育長(きょういくちょう)が学校に訪れ、生徒に対し暴力で指導したとされる3名の教師と副校長の処遇について言い渡された。


教育長「3名の教師はそれぞれ別の学校へ異動して頂きます。そして副校長あなたはこの学校に残り副校長としてではなく生活指導教師として勤務して頂きます。つまりは役職の格下げ、及び給料を現在の半分に削ります」


穴黒「そ、そんなぁ。し、しかしですね。私が今、副校長を降りたら学校はどうなるのですか!?校長は今、療養中ですし……」


教育長「問題ありません。明後日から急遽別の地方学校より新しく校長が赴任されますのでご安心を。それではこのあと教師の方々には異動先をお伝えしますのでこのまま残って下さい。副校長、いえ穴黒さんは即刻退室し自席を片付け願います」


穴黒「……は、はい」


穴黒は席を立ち会議室から出ていく。


今、考えると当時の教頭の言うことは正しかった。だか、生徒にも非があると私は思う。当時、教師を舐め腐っていた一部の生徒達の態度が許せなかった。素行の悪い生徒を持つ担任がいつも職員室とは別の教室で隠れて泣いているのを私は授業中の廊下の見回りで知っていたからだ。

生徒を正し道に戻すには非道であることは解っていた。しかし時には暴力は仕方ないと私は思う。


教師もひとりの人間だ。同じ教員として、つらいめに遭っている教師を守っても良いじゃないのだろうか。学校とは……生徒や教育委員会、PTAと保護者だけのものではない。


後日別の教師に聞いた話によれば、当時の教頭は数年前から親しくしているPTAの会長に相談をし、PTAの会長が知り合いの教育委員に直接働きかけていたらしい。当時の教頭はよほど私の事が嫌いで「副校長」という役職を降ろしたかったんだろうなと思うのだった。


27話End


お題【なんでもないフリ】24‘12/12

  【心と心】24‘12/13

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