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とあるアプリで出題されたテーマから紡がれるセカンドストーリー  作者: 砂坂よつば


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25/38

25話【部屋の片隅で】ト【ありがとう、ごめんね】

 1日めの夏季補習から家に帰り、自分の部屋へ行くと部屋の片隅で黒い塊が見えた。

不思議に思った大神は、部屋の照明を点け確認してみるとそれは自分の掛け布団だった。その布団は大きく丸く膨れ、時折ゴソゴソと動いている。大神は溜息をつき、丸くなっている掛け布団を勢いよく剥ぎ取った。すると中から小柄な少女が現れた。


大神「小真莉(こまり)。俺の部屋で何してんねん!」


小柄な少女、小真莉は瞳に涙を溜めて今にも泣き出しそうな顔をして上目遣いで大神を見ている。


小真莉「朝、起きたらお兄ちゃんが()らんくて待ってた……。どこ行ってたんよ!!」


大神「どこって!?昨日、晩御飯の時言うたやろ。兄ちゃん、補習に引っかかって3日間、朝から学校行かなあかんって!」


小真莉「言うてない〜っ!?ホンマは学校行かんと、女の人の家行ったんやろ!!」


大神「はぁ!?何でそうなるんや。訳が分からん!!お前朝から変な昼ドラでも観とったんか?」


小真莉「観てへんわ!韓国ドラマやし!」


大神「一緒や!!」


大神小真莉(おおがみこまり)、10コ下の妹。極度のブラコンで母親と赤ん坊以外の若い女性は全て敵だと思っている。夏休みに入ったので毎日兄と遊べると思っているようだ。


_______________________


 3月上旬。兄、源星(りげる)の中学校卒業式が終わった翌日の夕方。当時小学4年生だった真珠星(すぴか)は学校から帰って来ると赤いランドセルを家の玄関に近い廊下に置いたまま遊びに行く癖があった。真珠星と入れ違いにパートから帰って来た母親がそのランドセルを見て腹を立てる。


母親「あの子は!何度言えばわかるの!?」


数年前から夫の転勤が多く幾度となく繰り返される引っ越し、近所からの冷めた眼差し、そしてワンオペ状態の子育てに長男の反抗期が重なり精神的に病んで泣いてばかりいた母親の姿は今、見る影もないくらい本来の活発な性格を取り戻している。

何故、精神的に病んでいた母親(彼女)が社会復帰し看護のパートに就けたのか。それは真珠星が小学2年生の頃、夫の転勤がようやく落ち着いた半年まで話は遡る。夫が彼女()の姿を見かねて上司に相談したところ、会社の役員が長期在籍を承諾してくれたのだ。


上司「今まで会社の為を思って勤務に励んでくれてありがとう。そして君の家族を巻き込んでしまって申し訳ない」


上司は部下である(真珠星達の父親)に頭を下げた。それから半年後つまり1年経った頃、母親は今のパートに就職が決まり現在に至る。


真珠星は午後18時頃家に帰って来た。玄関を開けると腕を組み仁王立ちで待つ母親の姿が見えた。怒られる気配を感じた真珠星は、そっと玄関のドアを閉めようとしたが、逆におもいっきりドアが開らかれ逃げ出さないよう真珠星の細い腕を掴み引っ張り上げて部屋の中へ押し込んだ。そして———。

低く唸るような声で話す。


母親「何処へ()く」


リビングで正座させられ説教の時間(お説教タイム)が始まった。一方的に喋り繰り出す言葉の数々。時折聞き慣れない四字熟語が飛び交う。真珠星は反論したくてもその隙がないので、下を向いたまま『うん、うん』と頷くだけである。最後に母親は言った。


母親「廊下に物を置いたままにしない!!誰かが怪我をするでしょ。ランドセルは机の横に付いているフックにかける。それくらいやってから遊びに行きなさい!」


真珠星「…………。」


母親「返事は?」


真珠星「……はい」


母親「他にもいうことあるでしょ」


真珠星はリビングの隅に置かれた勉強机に目をやる。するとランドセルが机の上に置かれていた。


真珠星「ランドセル、ありがとう。そしてごめんなさい」


母親「はい。……次からはしないでよ」


と言って立ち上がりキッチンに向かい夕食の調理に戻った。


25話End


お題【部屋の片隅で】24‘12/8

  【ありがとう、ごめんね】24‘12/9

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