22話【距離】ト【光と闇の狭間で】
夏季補習は午前中で終わる。授業時間に換算すると3時限程度だ。1人の教師が1つの教室を監視する。
補習の課題は赤点(40点以下)を取った教科によって違う為生徒は個別で配られる。因みに教室の振り分けは期末テストの総合計点数で決まれられた順位であり、夏休みに入る前日のHRの時間で1学期の通信簿に配られる際夏季補習生は『補習期間あなたは△組〇〇教室に登校して下さい』と書かれた紙を担任から受け取るのだ。
現在萌香と大神がいる補習A組は樺本のとある発言が原因で急遽、監視教師を変更せざる不測の事態により他の補習組と比べて大幅に時間が削らている。
数十分前に教室に来た代理教師の鷲崎は課題用紙に書かれた萌香の名前を呼び、教卓前まで来させ本日分の課題用紙を手渡した。
萌香「多い……これ今日中ですか?」
代理教師鷲崎「そうだ。時間内に出来なかったら残りは宿題らしいぞ〜」
萌香「そう、ですか」
萌香は肩を落としとぼとぼ歩き席につく。すると隣から声が聞こえる。どうやら萌香を呼んでいるらしい。
大神「なぁ、なぁ。子猫ちゃん」
萌香「あ、あたし?」
大神「そうや。自分や、あのさ日本史の教科書持ってへん?」
萌香は驚いて思わず大声を出しかけたが、すぐに自分の口を塞いだ。まさか隣の席に運命の人がいるなんて、思わなかった。あまりにも近い距離だったから気づかなかったのだ。萌香は鞄の中を探ると日本史の教科書が入っていた。おかしいと首を横に傾けた。何故なら萌香は日本史は赤点を取っていないからだ。
萌香「はい。どうぞ」
萌香は大神に日本史の教科書を貸した。
大神「ありがとう。助かったわ。子猫ちゃんは俺に教科書貸して大丈夫なん?」
萌香「に、日本史は大丈夫。あたし別の教科と間違って持って来たみたい……(笑)」
朝、学校に行く前に慌てて支度をしたのが幸か不幸か偶然入ってしまったらしい。
大神「そうなんや。もし課題の中に忘れた科目で教科書必要やったら言うてな、休み時間に取りに行くから」
萌香「ありがとう。その時はよろしくね」
大神「おぅ。任しとき〜」
萌香は心の中で———。
『やばぁい、心臓バクバクだよぉ。運命の人と話せるなんて思わなかったぁ。今ので少しだけ距離が近づいた気がする』
と思うのだった。
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「世の中(現代社会)には光と闇がある。人々(私達)はその狭間で生きている。学校生活においてもそれは当てはまるだろう。仮りに【光】を司るのが生徒会とするならその逆を司る【闇】は風紀委員会だろうか。ではその狭間は一般生徒なのかそれとも我々教師なのか」
とブツブツ独り言を言いながらピ◯ソに似た教師が自分の席に座り頭を抱えながら悩んでいた。そこへ夏目◯石に似た男性教師、鷲崎が声を掛けた。
鷲崎「また悩み事ですか?八分儀先生」
ピ◯ソに似た教師こと八分儀は些細な事でも深く悩んでしまう性格だ。
八分儀「あ、はい。私も鷲崎先生と同様に1年の夏期補習生徒の監視をしておりまして、私が今日担当した補習クラスB組の生徒が私に『光と闇の狭間は何』かと問われましてね……」
鷲崎「なるほど、してあなたの答えは?」
八分儀「それが……すぐには何も答えられませんでした」
鷲崎「まぁ、難しい質問ですからね」
八分儀「はい。その生徒、私の答えがあまりにも遅いので、他の生徒にも同じ質問をしていました」
鷲崎「ほう。他の生徒は何と答えましたか?」
八分儀「はい。光と闇は【政治】そして狭間は【お金】だと答えていました」
鷲崎「なるほど。色んな考えありますね」
八分儀「そうですね」
鷲崎「その話、夏休み明けの職員会議に出してみますか?」
八分儀「え!?それはやめませんか。私、今以上に悩みそうです」
八分儀と鷲崎は鞄から弁当を取り出して昼食を食べ始めるのだった。
22話End
お題【距離】24‘12/2
【光と闇の狭間で】24‘12/3




