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とあるアプリで出題されたテーマから紡がれるセカンドストーリー  作者: 砂坂よつば


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19話【太陽の下で】ト【微熱】

 夏休みが始まった初日、僕は学校に来ている。

夏季補習生と全く別の理由であるが僕は今、補習を受けている最中だ。


夏の照りつける太陽の下で、プールサイドで準備運動をしているだけで、体力の無い僕はバテてしまいそうになる。

何故プールで補習受けているかというと、体育で水泳の授業の時運悪く夏風邪を患ってしまい、出席日数が足りなかったのだ。1年生で補習を受けている人数は比較的少なかった。

まぁ、無料でプールに入る機会は滅多にない。何より水の中だから陸上に比べて暑さも少し和らぐので体調が万全な生徒は出席していることが多いので男子で補習を受ける生徒は少ないのが理由だ。


プールの1コースめで僕は平泳ぎをしていると、プールサイドから声が聞こえる。25m泳ぎ切った後、一度プールから上がると目の前に大柄(ガタイ)のいい男性が仁王立ちしていた。そして僕に声を掛けた。


男性「君、息継ぎしないのかい?」


僕は下を向いたまま答えた。


船星(ふなぼし)「う、上手く出来なくて……」


男性「それは危険だな、少し休憩した後教えてあげるよ」


その男性は半ば強引だったが、船星に息継ぎ法を教えた。

休憩中に男性の話を聞いていると船星より2年上つまりこの学校の生徒で3年生の水泳部部長をしていることが分かった。午後から部活で使用する為午前中は夏季補習で忙しい顧問に代わって水泳の補習生の監視及び準備運動に来ていたらしい。


水泳部部長「明日も、補修で来るのかい?」


船星「あ、はい。」


水泳部部長「そうか、じゃあまた明日な!気をつけて帰れよ」


船星「は、はい。ご指導ありがとうございました」


船星はその先輩に向けて深く頭を下げた。

そして夏の太陽の下で、汗をかきながら船星は家路に着くのだった。


_______________________


 水泳の補習二日目。船星は昨日と同じように1コースめで泳いでいた。

水泳部部長に教えてもらった通り息づきをすると、25m一度もプールの底に足をつけずに泳ぎ切ることが出来た。

Uターンしてもう一度25m泳いた後プールから上がり、プールサイドで体育座りで休憩をとっていると、水の入った500㎖のペットボトルを持った男性が船星の頬に当てた。

船星は思わず———。


船星「冷たっ!?」


と言って、見上げると昨日息づきを教えてくれた大柄(ガタイ)のいい男性、水泳部部長が隣で立って白い歯を見せながら笑っていた。


水泳部部長「お疲れ。見てたぜ、お前の平泳ぎ。まだぎこちないが、最初に比べたらちゃんと息づき出来てる。家で練習したのか?」


僕は照れくさそうに、頷いた。

家でしていた息づきの練習方法は、水の張った洗面器を顔につけて10秒ごとに顔を上げる方法だった。この方法は水泳部部長が子供の頃に通っていたスイミングスクールの先生から教えてもらったらしい。

水泳部部長は今でこそ人に教えるほど泳ぐのが上手くなったが、子供頃は船星のように息づきが下手でよく息を止めて泳いでいて、スイミングスクールの先生にいつも怒られていたそうだ。

十分な休憩を取った後船星は再び泳ごうとすると、足元がふらついてしまいそのまま倒れた。

どうやら熱中症と軽度の脱水症状それに微熱も有る。船星は大きめのタオルで体に巻き付けられてそのまま保健室に運ばれた。

2〜3時間後目が覚めた。ベッドで寝ていた船星は上半身を起こし周辺を見渡した。


船星「どうして、保健室にいるの?」


その声を聞いた。男性なのか女性なのか見分けがつかない中性的な顔をした保健室の先生が、カーテンを開けて船星の額に手を当てた。


保健室の先生「熱は引いたみたいですね。学年と名前言えますか?」


船星「あ、はい。1年B組、船星 渉(ふなぼし わたる)です」


保健室の先生「気持ち悪いとかまだ体が熱いとかありますか?」


船星「いえ。ありません」


保健室の先生「そうですか。では着替えてから、今から渡す用紙を持って牛海(うしかい)先生の所に行って捺印貰って来て下さい。あぁ、それと水泳部部長にお礼言って下さいね。ここまで運んで来てくれたの彼ですから」


船星「分かりました。ありがとうございます」


船星は保健室の先生から【診察結果】と書かれた用紙を手渡された。仮病で保健室のベッドを使おうとする生徒を減らす為に作られた学校の規則だ。

船星は枕元に置かれたTシャツをとりあえず着て、プールへ向かい、水泳部部長にお礼を言うとしたが、水泳部部長は船星に唐突に謝罪した。船星の体調不良に気が付かなかったのは自分のせいだと言い出した。

しかし船星は自分にも非があると言い互いに詫びる。そこにちょうど牛海がいたので、捺印を貰いたい旨を伝えると、船星から用紙を受け取り職員室へ向かう。


牛海「着替えたら、俺の机の上にこの紙を置いておくから取りに来いよ」


船星「は、はい。……あの補習は?」


牛海「ん?あぁ。今日で終わりだ。お疲れ!」


船星は補習が終わりほっとしたと同時に少し寂しさも感じた。

せっかく知り合えた水泳部部長に会えなくなるのが残念だなと思うのだった。


19話End


お題【太陽の下で】24‘11/26


  【微熱】24‘11/27

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