17話【どうすればいいの?】ト【夫婦】
夏季補習生の発表が職員の掲示板い貼られた金曜日の5時限終了後の休憩中、僕は授業で出題された宿題をしていた。その時血相変えた大神が僕の席に来て勢いよく机を叩いた。そして珍しく落ち込み、吊り上がった眉がハの字になって悲しい顔を僕に向ける。僕は大神にかける言葉を探した。
船星「どうしたの?」
大神「聞いてくれるか船星!俺な、これからどうしたええと思う?」
疑問を疑問で返されても、全く理解出来ないでいると生徒Aが大神に代わって説明してくれた。どうやら大神の名前が夏季補習生の中にあったらしい。夏休みは全てバイトに費やすつもりだったみたいで今更バイトのシフトを変更して貰うのは難しいかも知れないと嘆いている。
船星「僕にどうすればいいか聞かれても困るよ。ここは素直にそのバイト先に説明して、シフト変更をお願いする他ないんじゃないかな」
大神「せやな。俺、頑張って交渉してみるわ。ありがとう!あぁ。そう言えば、職員室前の廊下で萌香ちゃん見たで、なんや悲しんでたり、喜んでたり。表情コロコロ変わって忙しいそうやったわ(笑)」
船星「そ、そうなんだ。あの子も補習生なのかな?」
大神「分からんわ。俺ら名前知らんしな」
チャイムが鳴り休憩が終わった。そして6時限が始まった、僕は慌てて宿題を机の中に入れ、日本史の教科書を机の上に置くのだった。
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学校から帰って来るとリビングから女性の啜り泣く声が聞こえる。
萌香は、恐る恐るリビングの扉をそっと開けると———。
そこには見覚えのない太ったおばさんが泣いていた。
萌香「だ、誰?家間違えた??」
萌香の頭の中はパニックを起こしていた。静かにリビングの扉を閉め玄関の方へ歩きドアに手を掛けた瞬間ガチャりとドアが開いた。萌香は掴んでいたドアノブに引っ張られそのまま家に入ってきた人とぶつかってしまった。
萌香の母親「あら、大丈夫?萌香」
聞き慣れた声、顔を上げると母だった。萌香は幼い少女に戻ったように母親に抱きついた。
萌香「マ、マミィ〜」
萌香の母親「どうしたの!?何かあった?」
萌香「り、リビングに知らないおばさんがいるの!?」
萌香の母親「萌香覚えてないの?2軒隣の町内会の会長さんよ」
萌香「覚えてないよぉ。ってかその会長さんがどうして家にいるの?」
玄関で母親と話しているとT Vを観ながらリビングでくつろいでいる会長がこちらにやってきた。
会長「輪通さん、どうなさったの?」
萌香「すみません。娘がちょっと怖いものを見たらしくて」
会長「まぁ、そうなの?大変ね。悪いけど今、すごく良いシーンだから静かにしてくれるかしら」
萌香の母親「は、はい。すみません。私、外で娘と話して来ますね(苦笑)」
そう言って萌香の母親は萌香を連れて外へ出た。
母親の話を聞く限り、会長は昼過ぎに夫婦喧嘩をしたらしい。夕方になっても自分の家に帰らない為、さっき会長の家に行って、旦那さんに家に帰って来るようにお願いして来たのだ。
会長の旦那「あのぉ妻が長居してすみません。今から連れて帰りますので、家の中にお邪魔してもよろしいでしょうか?」
背丈は低いが、どこかイギリス紳士の様な身なりの整った優しい声の老人が萌香の母親に尋ねた。
萌香の母親「えぇ。会長はリビングにいらっしゃいますよ。玄関から右にある部屋がリビングです」
会長の旦那「そうですか。ありがとうございます」
会長の旦那は軽く会釈し、萌香の家へ入って行く。
数分後旦那と共に会長は萌香の家から出てきた。
会長「輪通さん、お邪魔しました。お茶菓子美味しかったわ。ご馳走様」
会長は機嫌良く旦那と腕を組んで自分の家へ帰って行った。どうやら仲直りしたらしい。
ご近所の話によると会長夫妻はつまらないことでいつも喧嘩するらしく、今回は昼ドラと高校甲子園のTVを観る権利の争いだったのである。
17話End
お題【どうすればいいの】24‘11/22
【夫婦】24‘11/23




