15話【冬になったら】ト【たくさんの思い出】
双子の姉からの手紙の書き出しは大体決まっていた。
『“春“になったら〜』、『“夏“になったら〜』、『“秋“になったら〜』と四季が入っている。
今回届いた手紙の書き出しは『“冬“になったら』だった。
今、季節は夏真っ盛り。季節外れにも程がある。手紙の内容はこうだ。
『愛する妹へ 冬になったらあなたは何をしていますか?わたしは雪で雪だるまや、かまくらを作るのが好きです。もう15歳になるのに子供っぽい遊びをするでしょ(笑)だって田舎だもの。この前、村の集会で長老達が家に来て居間で話している内容を偶然聞いてしまいました。わたしは16歳の誕生日に見知らぬ男性と結婚させるらしいのです。村の掟に従って。………助けて!可崘わたしはまだ結婚したくない!それに彼氏もいるのよ!お願い!!助けて!!』
姉に彼氏がいることを今回の手紙で初めて知った。「助けて」と言われても私は村の長老達に嫌われているので手も足も出ないと思う。
姉の身勝手さに対する怒りともう一つ最後に書き殴った文字を見て寒気がした。
【わたしの代わりになって】
冬になったら私は16歳になる、その時私の未来はどうなってしまうのかしら……。
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休日明けの月曜から1学期の期末テストの結果が教科ごとに順次返却された。本日、金曜日の昼休み終了後に夏季補習生の発表が職員室前の掲示板で張り出されることになった。萌香達は5時限終了後10分という短い休憩を使い職員室前の掲示板を見に来ていた。
萌香『どうか、補習生に入っていませんように』
萌香は心の中で祈りっている。掲示板から少し離れた距離で真珠星と委員長は萌香を見守っていた。
返却されたテストの結果を見れば、掲示板へ行かなくても一目瞭然なのだが、安心感を得たいのだろう。
萌香と同じように数人ほど自分の名前を探している。
5分後。俯いた顔で萌香は戻って来る。心配になった委員長が萌香に声を掛けた。
委員長「輪通さん、どうだったの?」
萌香は顔を上げ委員長の問いに答えた。
萌香「……名前……あった」
真珠星「本当に?」
萌香「うん……。やだよ〜!補習〜」
萌香は涙目になって真珠星に抱きついた。
真珠星はやれやれと言わんばかりに萌香の頭を撫でる。委員長が優しく萌香に声を掛けた。
委員長「輪通さん、補習が終われば夏休みが始まるじゃないの。予定が合えば一緒に遊びましょう。私、輪通さん達とたくさんの思い出を作りたいわ」
萌香は委員長の言葉で元気を取り戻し、真珠星から離れ委員長の両手を握りぶんぶんと上下に振りながら感謝していた。
15話End
お題【冬になったら】24‘11/18
【たくさんの思い出】24‘11/19




