10話【あなたとわたし】ト【意味がないこと】
1学期の期末テスト最終日、放課後萌香達は学校の近くにあるファミレスを訪れていた。
萌香「長くツラいテスト期間がようやく終わったよぉ。委員長、勉強教えてくれてありがとう」
真珠星「本当にありがとう、助かったよ。でもさ委員長の勉強時間減らしちゃってごめん」
委員長「穂先さん、謝らないで。人に教えることで自分も勉強出来た訳だし……気にしないで」
萌香「そうだよ!真珠星は気にし過ぎなんだよ!!」
真珠星「萌香もまたには人の事気にして……。だからあの時生活指導に誤解されたじゃん!無実な私が!」
委員長「あの時って?」
萌香は夢見る少女のように目を輝かせて、顔の前で手と手を組み合わせて明後日の方向を見ている。
萌香「運命の人とわたしが出逢った日」
真珠星「それは萌香が勝手に思っているだけで、正しくは萌香が屋上から叫んだ日」
真珠星は少し気だるそうに話す。
委員長「あの騒ぎ輪通さんだったの!?私教室にいたからよく分からなかったけど。昼休みの後グラウンドにいた生徒がザワザワしていたのは覚えているわ」
真珠星「萌香さ〜。あの時誰見てたの?」
そこへファミレスの女性定員が注文取りに来た。
女性店員「お客様、すみませんがご注文お願いします」
萌香達が席に案内されてから約10分以上が経過していた。一向に注文しない女子高生達にしびれを切らしてしまったようだ。
萌香「どうする?」
真珠星「めんどいからドリンクバーで良くね?」
委員長「えぇ。私もそれで」
真珠星「ドリンクバー3つで」
女性店員「かしこまりました。あちらのセルフコーナになります。別のご注文がありましたら、テーブルに設置しているベルボタンで押してお呼び出しお願いします。それでは失礼します」
女性定員は簡単に場所の説明を終え、萌香達のテーブルを去って行った。それを完全に見送った後真珠星が呟く。
真珠星「さっきの店員さん機嫌悪かったよね?」
委員長「えぇ。私もそう感じたわ」
萌香「あたし全然分かんなかった」
真珠星「そういう所なんだよねぇ。萌香って……」
女性店員が来たことにより話題がいつの間にか『気が利く人』に変わってしまったのは女子会ではよくある話である。
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船星「ごめん、お菓子とか何もない家で」
そう言いながら僕は客間の掘り炬燵に座る大神とその友達に陶器で作られた湯呑みに麦茶を注ぎ入れ配膳していた。
何故大神達が僕の家に来ているのかというと、前回ナンパ作戦を考えている時大神と二人で教室に残っていたら、担任と体育教師に邪魔されたからである。その帰り道大神と一緒に帰る際学校から僕の家が近いというを知られてしまった訳で現在に至る。
ようやく1学期の期末テストが終わって一息つけると思っていたのだが……。
大神「気にすんなや。急に来た俺らが悪いんやし」
生徒A「そうそう」
生徒B「食べたくなったら後で漢気じゃんけんして買いに行ったら良いんじゃん!近くにコンビニやスーパーあるし」
船星「漢気じゃんけん?」
生徒A「知らねぇの?」
船星「う、うん。」
生徒B「普通のじゃんけん、ただし負けた奴が全員の好きなモノを奢るんだ。俺の親父がさ家族全員を巻き込んでよくやるんだよな」
船星「そうなんだ。仲が良い家族だね」
生徒B「全然そうじゃねぇよ。半ば無理矢理だぜ、ひでぇだろ」
僕は返答に困り笑うしかなかった。両親が仕事で忙しくほとんど家にいないから家族団欒というのを僕は知らない。だから生徒B君の家族を僕は羨ましいと思った。
大神「そろそろ本題に入ってもえぇか?」
船星「う、うん。あ、あのさそもそも『ナンパ』ってする意味あるのかな?僕には……意味がないことのような気がするんだけど……」
僕はこの機会に大神の誤解を解こうと思った。
すると大神はすごい剣幕で僕を睨みつけている。
僕は心の中で———。
『こ、怖い、何かまずいこと言ったかな。言たかも』
大神「なんやねん船星!お前、好きな女おるからあそこでずっと見てたんとちゃうんかぁ?」
船星「えぇ〜〜!?ち、違うよ……多分」
生徒A「おやおや。話が荒れてきそうですわよ。奥様」
生徒B「そうですわね。奥様私達は退散した方がよろしいかしら」
生徒A、Bはコソコソと内緒話を始め、船星の家を出ようと掘り炬燵から立ち上がったが、大神に呼び止められてしまったのだった。
10話End
お題【あなたとわたし】24‘11/8
【意味がないこと】24‘11/9




