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陰謀

ちょうどその頃、新橋のオフィス街近くにあるその病院は患者たちが寝静まる中、一つの部屋だけこうこうと明かりがついていた。

聖ホーリー医科大学付属病院…ここはすぐ近くに聖ホーリー医科大学のキャンパスがあり、ここ四、五年でガンの治療や難病の治療の研究で大きな成果を上げている。しかしその社会での高い評価の裏で、ここの医局では恐ろしい計画が進められていた。内部では中肉中背の白衣姿の男、白髪交じりのグレーのスーツ姿の男、やや青白い顔をした紺のスーツの男がソファーで密談していた。

「白石社長、ゼトラマックスのことで厄介な動きはないか」

「はい、今のところは何とかなっております。ただ東西新聞の連中が我々の動きを探り出そうとやっきになっているようです」

「森川先生、そちらの方は?」

「中央薬事審議会にはにらみをきかせてある。ゼトラマックスの事を公表したらメンバー全員を降ろすと」

「私の方も殺しのプロを町に放ってある。我々の計画をかぎつけた者は全て抹殺するつもりでな」

「そうして頂かないと私どもも困ります。あの薬にはわが社の社運がかかっているんですから」

「私もゼトラマックスの秘密が知れたら、政界にいられなくなる」

「その辺は心配なく。森川先生、白石社長。私のほうですでに手は打ってある」

「しかし、ゼトラマックスが恐るべき毒をもつ殺人兵器のような薬とは誰も思わないでしょう」

「何せ表向きには抗がん剤として出しているわけだし、ちゃんと抗がん剤としての機能は果たしていますからね。その薬に人間の体に著しい変化を起こす作用があるとは気づかれまい」

 この話をしていたのは、自由民政党の代議士で元厚生大臣であった森川光三郎、南製薬の社長・白石健一郎、そして聖ホーリー医科大学学長の顔を持つ、医療機関メディカのナンバー3・東郷裕一の三人である。

「ですが、ひとつだけ気になることがあります」

「気になることだと?」

 森川の言葉で東郷が険しい顔を見せる。

「近頃噂になっている闇の仕置人・ダークパンサーです。巷では現代の黒騎士と呼ばれているようですが…」

「なにっ!」

 白石の言葉を聞き、東郷の表情がガラッと変わった。

「どうしたのですか、東郷先生」

「そいつの邪魔が入ったせいで、高浜めぐみと南原隆行を始末し損ねた」

と東郷は悔しそうに顔を歪ませた。ブルーのサングラスの奥で、その目は真っ赤に血走っている。

「高浜は私の秘書だったが、いまや裏切り者…。あの女は私が白石社長からリベートを受け取っていた事を東西新聞社と警察に告発したらしい。このままあの女を野放しにしていたら、我らの計画にも支障が出てくる」

 森川は苦虫を噛み潰すように言った。部下だった者の裏切りに対するショックと恨みで、心なしか声が上ずっている。

「それにダークパンサーにも消えてもらわねば…何としても」

「ダークパンサーを知っているのか」

「夜ごと現れては法で裁きにくい悪を懲らしめているらしい。でも正体は誰にもわからない。だが彼にゼトラマックスの秘密を知られたらまずい事になる。だからこそ警察とマスコミの動きを封じる必要があるというのに。あの女は告発に出てきた。このままでは私の立場が危なくなるのも時間の問題だ」

「そうなると高浜めぐみにも消えてもらわねばなりませんな」

「まあそれについてはこの東郷を信じて下さい。総帥にご報告しておきますが、総帥のことです。きっと手は打ってあるでしょう。私の方からも手は打っておきます。今に東光大学病院も大変な事になりますから」

 東郷は冷静な口調で言った。そして、

「水沢…いや、シルバーホーク」

 と一人の男を呼んだ。

「先の任務ご苦労だったが、又お前に頼みたいことがある。お前は今東光大学病院にいるが、その関係者の動きを探って欲しい」

「南原先生のことでしょうか。それなら私めにお任せを。看護婦たちの動きもマークしておきます」

「もし不審な動きを見せた者がいたら、発見次第即刻抹殺しろ。例え仕事の仲間であろうとも」

 東郷は強い口調で言った。

「ははっ!」

 シルバーホークと呼ばれた男がこっくりとうなずいた。

 だが、この時三人のやり取りを、監禁されていた部屋の小さな隙間からじっと息を殺して見つめていた少女がいた。かおりである。

 彼女は三週間前にここに連れてこられて以来、ほとんど食事をとっておらずかなりやせてしまっていた。更に一度脱出を試みようとして失敗してしまい、殺し屋たちからのリンチにあって、傷だらけの身体で森川たちのいる部屋の隣にある狭くて薄暗い部屋にロープで身体を縛られて監禁されていたのである。かおりはPHSを持っていたが脱出に失敗してリンチにあった時にそれを壊されていた。その為に小夜子と誠に自分の居場所を知らせることが出来なかったのである。

「奴らは一体何のためにゼトラマックスを…真実を知らないまま死んでしまった人がかわいそうだわ。許せない!でもこのままじゃ終わらないはずよ。絶対チャンスは来る!」

 かおりは森川たちの企みに怒りを覚えていた。しかしその一方で逃げ出せるチャンスが必ず来る事を信じていた。


 誠は日比谷公園の遺体発見現場に来ていた。

「警部!」

 誠に連絡をしてきた広域捜査課の巡査・結城ありさが、誠の元へ駆け寄った。

「ありさか、お疲れ様。遺体の身元はわかったか?」

「川島理恵さん、三十歳です。東光大学病院の看護婦です。後もう一人は北原悠里さん、川島さんと同い年で、中学時代からの親友だったそうです。死亡推定時間は午後八時ごろ、別の場所で殺されてここへ運ばれたのではないかと思われます」

「そうか…同級生か。その二人の遺留品で何か気になるものはあったのかい?」

「この手紙です」

 ありさはそう言って、川島理恵の遺体のそばにあった手紙を誠に見せた。


ゼトラマックスをどうして禁止しないの。南原先生は必死になって、真相を探っていると言うのにどうして誰も知らないふりをしているの。悠里たちもあの薬が恐ろしい副作用を持っているのを知っているのに。早く警察に知らせなければ。


 手紙の文面にはこれだけが手書きで書かれていた。

「もしや、北原さんは?」

「北原さんは、南製薬の新薬開発研究員でした。ゼトラマックスの開発にも関わっていたのではないかと思います」

「ちょっと遺体を見せてくれないか」

 誠はそう言って、遺体の上にかぶせてあった青いシートを外した。ガサッと音をさせながら現れた遺体にはそれぞれ五ヶ所以上にわたってナイフか包丁で深く刺された跡があった。

「ひどいことしやがるぜ」

 誠は怒りをかみ殺すようにつぶやいた。その時、

「警部、北原さんのかばんから、こんなものが」

とありさが一枚のディスクを誠に見せた。

「ん?もしかしたら…これはゼトラマックスの秘密を解く鍵になるかも知れない。すぐに戻ってデータを調べてみる必要があるな。あ、ちょっと待っていろ」

 誠は何かひらめいたのか、さっと自分の携帯電話を取り出し、自宅の番号を呼び出した。

「もしもし、黒田です。あ、お父さん?どうしたの?」

 呼び出し音が三回鳴った後、小夜子の声が返ってきた。

「今日比谷の方にいるけど、ゼトラマックスの秘密を解く鍵が見つかりそうだから、お前と哲ちゃんにも協力して欲しいんだ。哲ちゃんはそばにいるか」

「うん、今ちょうどそばにいるわ」

「よし、お父さんは仕事場に一旦行くけど、着いたらお前のノートパソコンにゼトラマックスの秘密を解く鍵になるディスクのデータを送るから、それを哲ちゃんの新聞社宛てに転送してくれないか。哲ちゃんたちの方でも取材でそれが必要になるかもしれないから」

「いいわ」

「じゃあな、小夜子。なるべく早く帰るから」

 誠は父親の顔に戻って言った。


 それから一時間ほどたった頃、小夜子は自分のノートパソコンを立ち上げ、誠からのメールを受け取った。メールの内容はこの様なものだった。


小夜子へ

お父さんたちが日比谷の遺体発見現場で見つけた被害者の持っていたディスクに入っていたデータを添付するよ。

ちなみにお父さんの仲間が調べたところによると、殺された二人の被害者・川島理恵さんと北原悠里さんの死亡推定時間は午後八時ごろで、別の場所で殺されてここへ運ばれたらしい。ちなみに川島さんは東光大学病院の看護婦で、北原さんは南製薬の新薬開発の研究員だったそうだ。ゼトラマックスの開発にも関わっていたみたいだぞ。

哲ちゃんにも同じものを送ってあげて欲しい。

ただしこのメールは取り扱いに十分注意して欲しい。頼んだぞ。

お父さんより


「また犠牲者が出てしまったか」

 哲夫は悔しそうにつぶやいた。

「でも川島さんが東光大学病院の看護婦、北原さんが南製薬の関係者となると、かなりこの事件の核心に近づいたわよ。きっと」

 小夜子が言った。

「そういえば、一つ気になることがあるんだ」

 哲夫が添付されてきたデータを見ながら言った。

「東光大学病院の中で薬局はやられたことはあっても、薬剤師の中にまだ被害者が出ていない。でも普通だったら、病院の中で薬の秘密を知っているのは、看護婦さんより医者や薬剤師だろう?」

「そういえば確かにおかしいわね。私も病院の薬局のクラークをしている友達を知っているけど、薬剤師の先輩から色々話を聞いているみたい。抗がん剤っていろいろな輸液や注射や点滴に使う水と混ぜて、薄めて使うことが多いんだけど、ゴムの手袋をして調合の作業しないと危険なんだって」

 小夜子が言った。

 その時リビングの電話が鳴った。

「もしもし、黒田です」

 小夜子が慌てて電話を取ると、

「小夜子か、お父さんだ。メールで被害者のことは知らせたけど、司法解剖の結果、その被害者の血液の中から、抗がん剤が検出されたんだよ」

「えっ、抗がん剤が!?」

「もしかしたら…その薬はゼトラマックスかもしれない。死因自体はナイフで刺された傷なんだけど。その前に何かされた可能性があるな。ちょっと哲ちゃんを呼んでくれないか」

「待ってて、今代わるから」

 小夜子は哲夫に受話器を渡した。

「誠か、どうしたんだ」

 哲夫が聞くと、

「司法解剖の結果、被害者の二人の血液から抗がん剤の成分が検出されたんだ。二人とも皮膚の細胞が一部崩れ落ちてる」

 と誠が答えた。その声は心なしか激しい怒りを帯びていた。

「ひどいな、なんてことだ」

「二人ともかなり激しく抵抗したみたいで、衣服はかなり乱れている。信じたくないが、もしかしたら東光大学病院の職員の中に、犯人がいる可能性があるな」

「犯人はどうかわからないが、抗がん剤を注射されたか、体にかけられた可能性はあるな。小夜ちゃんが教えてくれたんだけど、抗がん剤っていろいろな輸液や、注射や点滴に使う水と混ぜて薄めて使うことが多いらしいが、ゴムの手袋をして調合作業しないと危険みたいだぞ。いや実は俺と小夜ちゃんも気になった事があるんだよ」

「どういうことだ?」

「誠、以前東光大学病院の中で薬局はやられたことはあったけど、薬剤師の中にまだ被害者が出ていない。でも普通だったら、病院の中で薬の秘密を知っているのは、看護婦さんより医者や薬剤師だろう?普通だったら薬剤師が医者に処方の事で意見することだってあるはずなのに、薬剤師が告発しないのは変だと思わないか?」

「そういえば…確かにそうだな。こりゃあややこしい事になりそうだな」

「とにかく明日、東光大学病院にあたってみるぜ」」

「ああ」

 哲夫の言葉に誠はうなずいてから、

「帰りが遅くなりそうだけど、小夜子の事頼むぞ」

 と言って電話を切った。その時、

「黒木さん、このデータ見てよ!」

 と小夜子が叫んだ。受話器を置いた哲夫が、

「どうしたんだ」

 と聞くと、

「やっぱりこれ、どう考えてもおかしいわ。臨床試験でも薬の組み合わせによるだろうけど、ゼトラマックスがちゃんと効いた患者さんは、あんまりいないみたいだもん」

 と小夜子が言った。

「どれどれ」

 哲夫が小夜子のパソコンを覗き込むと、いろいろな種類の抗がん剤と、ゼトラマックスを比較したデータが表示されていたが、他の抗がん剤に比べてゼトラマックスが効くタイプと効かないタイプがはっきり分かれており、しかも効果もあるが副作用が桁違いに出やすいことが、試験結果で明らかになっていた。

「うーん、確かにこれはちょっと実用化する薬の臨床試験結果にしては極端だし、ちょっと副作用が多すぎるね。それなのにどうして認可されてしまったのか、そしてこうやって告発しようとしてる人が殺されている。やっぱり何か裏がもう一つあるな」

 哲夫はしばらく考え込んだ後確信に満ちた表情で言った。その目はいつも以上に鋭い光を放ち、口調もしっかりしている。

「えっ!?黒木さん、どういうことなの?」

「東光大学病院の関係者にも、メディカにつながってる人間がいるぞ。しかも仕事は薬剤師だ。川島さんを殺したのはきっと同僚だろうな」

 哲夫は更にしっかりとした口調で言った。しかしその目はどこか悲しげになっている。

「そんな…人の命を預かっている仕事をしてる人がそんな悪事に関わっているなんて信じたくない!」

 小夜子は悲しそうに怒りをぶつけると、哲夫が止めるのを振り切って泣きながら自分の部屋に駆け込んでしまった。

「小夜ちゃん…すまない。君も死にかけたところを医者や看護婦さんに助けられて元気になったばかりだったのに…。ごめんな」

 哲夫には小夜子が怒ったわけが痛いほどわかっていた。あの夜、あと十分病院に着くのが遅かったら、自分の命はなかったかもしれない。実は小夜子はその時お世話になった看護婦から聞いた話を、後で誠と哲夫に打ち明けていたのである。小夜子はその時の事を思うと、病院で人の命を預かる人が悪事に関わっているという事を信じたくなかったのである。哲夫もその気持ちが痛いほどわかるだけに、やりきれない思いで一杯だった。


次の日哲夫は東光大学病院に向かうと、薬剤部を訪ねた。その時、

「黒木か、久しぶりだな」

 と一人の男が声をかけてきた。

「君は…」

 哲夫は一瞬驚きの表情を見せた。人一倍記憶力のいい哲夫だけに、はっきりと聞き覚えのある声だったのである。だが次の瞬間、

「光山じゃないか!」

 と哲夫は懐かしそうに笑顔を見せた。哲夫に声をかけてきた男・彼こそ哲夫の幼なじみの光山聖純だったのだ。

「二十五年ぶりだな。刑事を辞めたと聞いてびっくりしたけど、新聞記者で頑張っているとはな。正義感の強いお前らしいぜ」

 光山が懐かしそうに言った。

「まさか、お前がここで働いているとは思わなかったよ」

 哲夫も信じられないと言うような表情で言った。

「お前は大学を出てすぐに刑事になったけど、あれから俺は薬科大学に入り直したんだ。その後薬剤師になってから二つ病院を変わって、今ここでチーフをしているんだよ。親父がガンで亡くなったから、何とか病気の人たちのために力になりたくてね」

「そうか…。お前も苦労していたんだな」

 哲夫はポンと光山の肩を叩いた。そして、

「早速なんだけど、聞きたいことがあるんだ」

 と用件を切り出した。すると光山は、

「ああ、ゼトラマックスのことか。ここじゃ話しにくいし、お昼だから外に出よう」

 と言って哲夫を食堂に案内した。

「黒木、あの薬は、俺たちの方ではとっくに治療に使うのは中止すると決定したはずなのに、一人変な行動をしている奴がいるんだ」

「変な行動?」

「実は俺は会議でその話をした日に当直だったが、夜中に少し休憩しようと外に出ようとしたところを黒覆面の奴らに襲われて抗がん剤をかけられたことがあるよ」

「えっ!」

「すぐにお風呂に駆け込んでシャワーを浴びて次の日皮膚科の先生に診てもらったから、大事には至らなかったけど、それ以来部下の様子までおかしくなっちゃったんだよ」

 光山が心配そうに言った。

「自分も何かされると思っているのかもしれないな」

「大丈夫、俺たちも警察も頑張っているから、それだけは信じろ」

 哲夫はそう言って光山の肩をポンと叩いた。

 が、その時、一発の銃声がにぎやかなランチタイムを一瞬にして恐怖の時間に変えた。

「きゃあっ!」

 悲鳴をあげながら食事をしていた客が逃げ出す。

「一体どうなっているんだ」

 光山が戸惑いの表情を見せる。

「光山、すぐここから一旦避難しろ!ガードマンの人を呼ぶんだ!」

 哲夫が黒覆面の男を見つけ、とっさに叫ぶと男の方向へ自分のボールぺンを投げ込み、男に飛びかかった。そして男と格闘しながら、男が哲夫に向けた注射器を奪い、自分の背広に入れると、

「えいっ!」

 と男の腹にパンチを打ち込んだ。

 男が気絶したのを見計らって立ち上がると、哲夫はそっとその場を離れ、光山を探した。しかし、しばらく歩いたところで光山はお腹を押さえながら倒れていた。その白衣はかなりの出血のせいか血で汚れている。

「光山、どうした!」

「ガードマンを呼びに行って戻ろうとしたら、いきなりナイフでやられた」

「光山、お前がかけられたのはこの注射器の中のものか」

 哲夫が注射器を見せながら更に聞くと、光山は黙ってうなずいた。

「ちょっと待っていろ」

 哲夫はそう言うと、自分の使っている大判のハンカチーフでしっかり止血帯をしばり、受付に駆け込んだ。そして戻ると、

「すぐに仲間の先生が来る。安心しろ。俺は友達に連絡してくるからな」

 と言って玄関を出た。そして、一一〇番に通報した後、誠の携帯電話を呼び出した。

「もしもし」

 三回呼び出し音が鳴った後、誠の声が入ってきた。

「誠か?俺だ。今東光大学病院にいるが、食堂が発砲にあった。あと俺の幼なじみが襲われた」

「え、なんだって!?名前と仕事はわかるか?」

「光山聖純、偶然だけど東光大学病院の薬剤部のチーフだよ」

「本当か。助かって欲しいな。ゼトラマックスの秘密と内部事情をよく知っているだろうから」

「そこで頼みたいんだが、ガードマンが二十四時間体制で警備しているとはいえ、何があるかわからん。だから、ここは広域捜査課の出番だと思ってね」

「よし、そっちは俺たちに任せろ。今ちょうど哲ちゃんの後輩でもあった圭一郎を除いて皆揃っているから、すぐ準備する」

 誠は任せとけと言いたそうな口調で答えてきた。

「頼むぞ」

 哲夫はそれだけ言って電話を切った。



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