赤い鎧
ライセたちは街へ戻ろうとした。しかし、彼らは木々の隙間から様子を伺っていた。なぜならあまりにも街が静かで、誰も歩いていないからである。そして何より、道が血で染まっていた。
「・・・ひどいな」
「で、でもなんで!? 誰も何も悪いことしてな──」
ライセはアカリの口を抑えて、その場に伏せた。近くの家から騎士たちが出てきたからである。鎧を揺らすその中でただ1人、斧をかつぐ騎士がいた。その騎士の鎧は赤かった。もともと赤いのであろう。しかし、返り血で染まった分、より濃くなっている。
「隠れているなら出てこい騎士殺し!!」
騎士殺し。それはきっと自分のことだろうと、察したライセは自分の口もおさえる。
「貴様が出て来ぬ限り、街の血が止まらんぞ!」
赤い騎士はそう叫ぶと、次の民家へ向かう。ライセは分かっていた。自分が出て行かなければいけないと。
「・・・お兄ちゃん」
「アカリは森に──」
「あの赤い鎧は、上級騎士だよ」
「上級だろうと、特級だろうと俺は復讐する」
「なら私も行く!」
「待っていなさい。良い子だから」
頭をなでても歯を食いしばったままの彼女を見て、ライセは手を握った。
「僕の後ろにいるんだよ?」
「うん!!」
道に出てきたライセは赤い騎士を指さした。
「騎士殺しはここにいるぞ!」
自分だったらどんな才が欲しいでしょうか・・・