首長に知られて
「ここがお墓?」
「うん。弟のね」
「2人いたの?」
「いや、こっちは・・・知らない人」
ライセとアカリは森の中でそれぞれの家族を埋葬した。残された彼らは子供であるが、代わりに面倒を見てくれる大人はいない。彼らは独りで生きなければいけなかった。
「やっぱりダメか」
「火、つかないの?」
「僕の才は復讐したいときにしか、発動しないみたい」
「だから騎士を倒すときは魔術が使えたのね」
ライセは並べた薪に手の平を向けるが、そこから炎はでない。
「私の家に住めば良いじゃない」
「戻っても騎士がいるかもしれない」
「じゃあ実験室は?」
「あそこも同じだろう」
「でもずっと森で暮らすの?」
「いいや、僕たちは王国を滅ぼす」
「王国が滅んだら誰も殺されない?」
「もちろんだよ」
「じゃあ、私はお兄ちゃんについてく!」
2人が寄り添って眠りについた頃、街では行方不明だった騎士がバラバラの状態で発見され、衝撃が走っていた。首長の金城フトシは王都へ上級騎士の派遣を要請した。
「こ、この街を守れ! 王都から反逆者認定されては、我ら全員首が舞うぞ!」
玉座に座り、冠をかぶる丸い男は目の前で整列する騎士たちを怒鳴りつける。