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北都
俺が意識を取り戻すと侍の頭と体が丁寧に並べられていた。その脇には血の付いた長剣。最後の瞬間、何が起きたのかあまり覚えていない。そもそも俺はどうやってあいつに殺されて、あいつに勝っ──
「ライセお兄ちゃん?」
「あ、ああ。大丈夫だ」
「このまま北都に入るの?」
「ひとまず様子を──」
雪原を進む彼らの前に1人の少女がふわりと、降り立った。彼女はアカリよりはお姉さんだが、ライセから見れば大差ない子供である。
そんな子供に対して2人は身構えた。ライセは刀を握っている。そこまで警戒したのは彼女が空からやって来たからである。まるで雪の妖精のような少女が、何かの才を持っていることは明らかだった。
「何者だ」
「ジェーミャよ。北都の首長」
「ほう? まさか降伏でもしに──」
「そうよ」
「・・・ふざけるな」
「ねえあなた、とっとと王都を滅ぼしに行かない?」
ジェーミャのおかげでぐぐっと進展します