斬首
切断された腕からは血が止まらない。アカリもライセも血を見るのは初めてではないが、その勢いに言葉を失った。侍はその刀でライセの肩をぽんと叩く。
「肉を切らせて骨を断とうとしたか?」
「ど、どういう意味だ」
「・・・さて、不死身のお主をどう殺すかな」
その刃を首に当てる。それだけで皮膚は切れ薄い血を流す。ライセは侍を睨みつけた。
「お前の才はなんだ」
「時間稼ぎか?どうせ貴様は失血で死ぬぞ」
「アカリはどうなる」
「・・・西都であれば生きられるであろうな」
侍は刀をアカリに向けた。その時をライセは待っていた。血が滴る腕を侍に向ける。
「まさか!」
「手がなくても炎は出せる!」
侍は身構えた。居合の構えである。炎を防ごうとしたのだろう。しかし、ライセが生成したのは2本の槍であった。腕から突き出されたように生成された槍が、侍の腹を貫く。
「ぐはっ⁉」
超至近距離、そして予想外の槍の出現。遅れた居合が捉えたのは柄の部分。槍の刃は腹に刺さったまま。
「貴っ様ぁぁぁ‼」侍は最期の一振りをライセに当てる。それは胴を斬り、首を刎ね上げる。相手が不死でなければ、侍は悔いなく逝けたであろう。
「どうせ失血で死ぬ、か・・・」
膝を落とした侍は腹の槍を見て笑う。その背後にはアカリが立っていた。
「爆殺するか?」
侍が振り返ると、彼女は長剣を背負っていた。ライセが放った長剣である。彼はそれを見て刀を腰に納めた。それから間もなく、侍の首がストンと落ちた。