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【△が48、□が74、×が14……誰?】

 


【△が48、□が74、×が14……誰?】



 ※※※※※※※



 《2017年4月15日(土曜日)AM10:44》



「何だこりゃ!? こんなのわかんねーよ!」


 中村に送られてきた問題は、ヒントも何もない……ただ三角と四角とバツの数が指定されているだけの謎の暗号だった。

 3人には同じ問題が送られてきているはずなので、成績が学年トップの山城ならわかるかもしれない……中村は山城とついでに西田の方を見た。すると、


「はぁ? こんなのわかるワケないだろ!?」

「えぇっ……どういうこと?」


 西田はまだしも山城までお手上げ状態だった。3人は釜無川に架かる「武田橋」の上で動きが止まってしまったのである。


「何だよこの三角形が48とかって?」

「おい何言ってるんだよ、三角形は1個だけだぞ! ほとんど丸だけだ」

「えぇっ、何言ってるのは山城だろ!? あと四角形が74って……?」

「は? そんなの……僕の問題にはないぞ」

「え?」


 中村と山城が言い争いをしていると西田が、


「あっ……あのさぁ……2人とも何言ってる……の? 『小文字』と『長音』を消すんじゃ……」



「「はぁ!?」」



 このとき初めて、今までと問題のパターンが違うことに3人が気付いた。


「ち……ちょっとみんな! 問題文見せてくれ!」


 中村がそう言うと山城と西田がスマホを差し出した。3人で輪になり全員のスマホ画面を確認した。すると、


 中村のスマホ画面に表示されていた問題文は



【△が48、□が74、×が14……誰?】



 山城のスマホ画面には



【○●△○○○○□○○○○○○×○○○○○○○○○○○、●は何?】



 西田のスマホ画面には



【転部してきた部員から『小文字』と『長音』を取り除いて進め】




「「問題文がみんな違ってるー!!」」




 そう、今回は3人に別々の問題が送られてきたのだ。


「これは……3人の問題を合わせてひとつの答えを導き出すのか?」

「それとも……3人それぞれ答えを出して組み合わせるの……かな?」

「くそっ! どっちにしろこれだけじゃ何にもわからん!」


 そのとき、


 〝ピコンッ〟〝ピコンッ〟〝ピコンッ〟


 3人のスマホに再びメッセージが送られてきた。


「何だこれ……ヒントか?」

「そうみたいだけど……何か変だよ」

「これも……3人別々だよな?」


 追加で送られてきたメッセージにはこう書かれていた。


 中村には


『君はクイズ研で新人なんだから西田君に自己紹介をしなさい』



 山城には


『君に必要な答えは●だけ! 残りの答えは中村君にあげなさい』



 西田には


『取り除いた小文字と長音は山城君にあげなさい』



「これって……そうか! それぞれの答えがヒントになってるってことか?」

「え……じゃあ……3人で協力しないとできないってことだね」

「よっしゃー! じゃあやってやろうじゃん!」


 3人は全員でそれぞれの問題をひとつずつ解くことにした。



 ※※※※※※※



 春の穏やかな風が吹く釜無川……に架かる武田橋。その橋の上で3人の男子高校生が、穏やかではないがやる気に満ちあふれる表情でスマホに向かい合っていた。


「まずは……どうするの?」

「とりあえず、西田君の問題から解いていこう! これは中村の自己紹介だけでヒントになるからな」

「おいオレだけ呼び捨てかよ! まぁいいや……それが一番無難だな」


 西田に出された問題は


【転部してきた部員から『小文字』と『長音』を取り除いて進め】


 というものだった。この問題にある「転部した部員」とはもちろん1年の途中でサッカー部から転部してきた中村のことだ。


「じ、じゃあオレが自己紹介したら何かわかるってことだろ? じゃあするぞ……え、えーっと……2年5組、中村トモキでーす……」

「…………えっ終わりかよ!」

「そっそれじゃあ何のヒントにもならないよ」

「いっいいじゃねーか! こんな往来の激しい所で自己紹介なんかできるかよ!」


 すると山城が


「そっか……ナカムラトモキ……小文字も長音も入ってないな」


「「え?」」


 中村と西田は山城の言うことが理解できていなかった。


「え? じゃないよ! つまり自己紹介に出てくる『何らかのワード』から小文字と長音を抜けば答えが出るってことじゃないのか? でも中村の名前には小文字の『っ』『ゃ』『ゅ』『ょ』も長音の『ー』も無かった……例えばこれが『恭二』という名前だったら『きょうじ』そこから『きょーじ』になって小文字と長音を取り除けば『きじ』になるだろ?」

「あぁそうかー」

「お前ら何だと思ったんだよ」


 山城は呆れかえってしまった。


「名前じゃなければ……とりあえず他にわかること……そうだ、こっちから質問してみよう」

「そっそうだね……それじゃ、えーっと……血液型は?」

「A型」

「好きな食べ物は?」

「ラーメン、あと麺類全般」

「うん、何となくわかってきた……趣味は?」

「んー、ゲームかなぁ……」

「えっ!? ねぇねぇゲームって何が好きなの? あっあの、ボクはね……」


 突然、西田がまるでスイッチが入ったかのように話しかけてきた。


「おっおい西田! それ関係ないだろ……それにしても困った! さっきから『えーがた』とか『げーむ』とか長音は出てくるけど小文字が出てこない……」


 山城は埒が開かないやりとりに少々イラついてきた。だが西田のスマホの問題文をもう一度見直したとき、


「あっ!! 何でコレに気が付かなかったんだ……」


 問題文の中の違和感に気付いた。


「えっ何?」

「この問題文……何か変だと思っていたんだけど」

「何か変?」

「転部だよ! 何でわざわざこんな普段使わないような言葉を問題文に入れたんだろうって思っていたんだ! 別に『途中から入った』でもいいじゃないか!」

「そ……そりゃそうだけど……だから?」

「部活動だよ! 中村! クイズ研に入る前、何部にいたんだ?」


「えっ……サ()()部だけど…………あっ!!」


「「サッカーだ!!」」


「小文字も長音もある! サッカーから小文字と長音を取ると……」

「サ『ッ』カ『ー』……(サカ)だ!」


「えっまさか……それって坂を進めってこと?」


 太り気味で運動の苦手な西田があからさまにイヤそうな顔をした。それもそのはず、彼らのいる武田橋を渡った先には急な上り坂が待ち構えていたのだ。


「ま、まぁ……まだ結論を出すのは早いだろう……他の答えで『打ち消す』ことも考えられる」

「そっそうだね」

「まぁこれで西田の答えはわかったから……次は山城の問題を解こうぜ!」


 山城に出されたのは


【○●△○○○○□○○○○○○×○○○○○○○○○○○、●は何?】


 という問題だった。


「あぁそれなんだが……僕は初め、この記号の個数を数えて26個あったから、これはきっとアルファベットの数だと思ったんだが……」


(え? 記号の数でそんなことがわかったの?)


 中村と西田は、山城の頭の回転の速さに驚いていた。


「すごい山城くん! で、わかったの?」

「いや全然」

「えぇっ!」

「当てはめてみたんだが、黒丸がB、三角がC、四角がH、バツがO……何の法則性もなかったよ! しかも黒丸しか関係ないって意味がわからない……」


 すると中村が


「それってさぁ……単純に数字かもしれねーぞ! でもって必要なのが黒(丸)ってことは記号もフェイクかもな……黒は2番目またはBって考えると『黒』と『2またはB』を掛け合わせた言葉かも? さっきの『大福』みたいなひねくれた問題も出してくるからなぁ国母(アイツ)……」

「そうか! じゃあ『B黒(ビークロ)』とか『黒2(くろに)』とか……でもこれじゃ意味わからん」

「2つを含めた言葉でいいじゃん! 『双羽黒(ふたはぐろ)』とか『黒いB地区(ビーチク)』とか……」

「双羽黒って……ずいぶん昔の力士の名前が出てきたな……っていうか何だよ黒いB地区って?」

「ビーチクって言ったら乳首じゃん……そういや国母の乳首って何色なんだろ?」

「えっ、えぇええ!?」

「知らねーよ! ったく……下ネタかよ」


 そのとき、西田が何かに気付いた。


「ね、ねぇ……さっきのボクの問題で取り除いた言葉を山城君にあげろって……」

「そうだ忘れてた! ええっと……確か『ッ』と『ー』だよな?」


「そう、『ツ』と『ー』……あっ、それって『TWO(ツー)』ってことか?」

「そうだ! (two)だ……ってことは黒いツー、ツーは黒……」

「ツーが……黒?」

「それだ! ツーが黒……つーがくろ……通学路だ!」


「通学路? 坂? いったい何なんだ?」


「あとは……中村の問題だ! だが何となく目星は付いている」

「?」

「アルファベット……こっちで使うんだよ!」


 山城は完全に自信があるようなそぶりだ。中村には


【△が48、□が74、×が14……誰?】


 という問題が出された。


「いいか、僕への問題で記号は全部で26個ある。だが僕への問題『(ツー)』を解くのに、これだけの記号の数は必要ないはず」

「うん……確かに」

「それなのに記号をわざわざ26個も使ったのはなぜか? それは中村への問題でアルファベットを使うからだ!」

「え? オレの?」


 山城は中村のスマホ画面を見ながら説明を始めた。


「まずは三角が48……これは三角形を48個そろえることじゃなくて、三角が何を意味するか……僕への問題にも三角形がある。この26個の記号にアルファベットを順番に当てはめると三角形は3番目……つまり『C』になる!」

「……?」

「同様に四角形、バツの場所はそれぞれ『H』『O』に置き換えられる。で、記号からアルファベットに置き換えたモノを端から読んでいくと……」


「C48H74O14……何だこれ?」

「何か……化学式みたい」

「そう、化学式だよ! しかも有機化合物だ」

「えぇっ、でもこれ何の物質? ボク化学選択してるけどわかんないよ」

「西田、こういうときは……そのまま検索してみればいいんだよ」


 山城は出てきた化学式をそのまま入力して検索してみた。すると……


「イベル……メクチン?」


「何だそれ? オレには全然わかんねー」

「あっ、それ聞いたことある!」

「?」

「ボクん家、イヌ飼ってるんだけど……それ確かフィラリアの予防薬だよ」

「えっ、だから? そのイベルなんとかが……誰のことなんだよ?」

「わかんないのか!? イベルメクチンと言ったら『大村智博士』だろ!」

「えっ、誰?」

「ほらっ、2年前にノーベル賞取った……」

「……あぁあのじいさんか! そういや県内ニュースとかで大騒ぎしてたよな」

「ったく脳筋が……県内の偉人くらい名前覚えろよ」


 大村智博士は2015年、ノーベル生理学・医学賞を受賞した。犬用のフィラリア予防薬や、熱帯地方に多い寄生虫感染症の治療に使われるイベルメクチンの発見や開発に貢献した人だ。韮崎市出身で、韮崎市名誉市民でもある。


 全ての問題文の暗号を解き終えた3人は武田橋を渡り切ろうと再び歩き出した。


「で、出てきた答えが『大村智博士』、『通学路』、『坂』なんだが……結局どういう意味だ?」

「それな!」

「あっ、あそこに東屋があるよ! あそこで考えてみない?」

「ホントだ……橋の上なんかでだべってねーで初めからそこに行けばよかった」


 3人は再び横断歩道を渡り、反対側にある公園に向かった。



 ※※※※※※※



 交差点の角にあったのは「甘利沢川さくら公園」という公園だ。釜無川にほぼ垂直に流れ込む甘利沢川という川の左岸に造られている。

 3人はこの公園にある東屋のベンチに座って、3つのキーワードから連想されるものを導き出そうと考えた。だが、ベンチに腰掛けようとしたとき、


「何だ? あの看板」


 そこには「幸福の小径」と大きく書かれた看板が立っていた。よく見ると「韮崎市名誉市民・大村智博士ノーベル医学・生理学賞受賞記念」と書いてある。


「そうか、ここって大村博士に関係する場所か……」

「あっ、こっちに何か説明が書いてあるよ!」


 西田が発見したのは大村博士と「幸福の小径」について書かれた説明版だ。それによると、大村博士は少年時代に自宅から学校までこの甘利沢さくら公園がある坂道を歩いて通っていたそうだ。


 つまり、()()()()が少年時代に通っていた()道……()()()だ。


「なるほど、解決はしたけど……」

「ここを上れってことか?」

「えぇっ! ボク絶対にムリ……」


 甘利沢川に沿って造られたこの公園は、東屋がある場所から一番上まで1キロメートル以上続く上り坂だ。次の目的地はこの坂道を上っていかなければならない。

 中村は元サッカー部で体力に自信があったが、道を間違えて走って戻ってきた山城と、元々体力に自信がない西田には酷なミッションだ。



 ※※※※※※※



 甘利沢川さくら公園はその名の通り、たくさんの桜が植えてある公園だ。だがそのほとんどが開花時期の遅い八重桜で、この日はまだ咲きそろってはいなかった。

 代わりに対岸の右岸は桜が満開だった。そんな春の訪れを感じられる「公園」、もとい、「坂道」を3人の男子高校生は上っていた。


「はぁ……はぁ、きっきつい……もう、ムリ」

「やっぱ……さっき走ったのが……応えてきたかな?」


 まだ坂の中間あたりだが西田と山城はかなり弱っていた。特に西田は肥満体型で運動が苦手なのでもはや限界といった感じだ。

 体力の有り余っている中村は余裕だった。本当ならこの2人に「頑張れ」と叱咤激励してもう少しペースを上げたいところだが、


(こいつらも頑張っているんだ……今はこいつらのペースに合わせよう)


 と、2人を信じてゆっくり慌てず上っていこうと考えた。


 やがて山城の体力も回復してきたので、ダウン寸前の西田の背中を2人で押しながらゆっくりと歩き続けて、ようやく公園の最上部の広場にたどり着いた。


「あぁ、疲れたー!」

「ボッボクもう死ぬ……はぁ、はぁ……」


 広場にはベンチがあり、山城と西田は早速そのベンチに腰をおろした。すると目の前に大村博士の銅像が目に飛び込んできた。


「誰だあのオッサン?」

「中村……お前は学習能力がないのか?」


「そっそれよりも……はぁ、はぁ……ボクのどが渇いた」

「そうだなぁ、水分補給した方がいいよな……トイレ休憩もしたいし……あっ、そこにコンビにあるじゃん! 西田(の呼吸)が落ち着いたら行こーぜ!」



 ※※※※※※※



 3人は公園の西側にあるコンビニエンスストアに立ち寄った。


「あぁ、生き返るー」

「おいおい西田、まだ何も飲んでねーだろ」


 3人は飲み物と……少し昼食時間には早いが、かなりお腹が空いてきたのでおにぎりやサンドイッチを手に取りレジに向かった。

 店内ではBGM代わりに地元のFM()()()が流れていた。


「あれ? これって忍野萌海じゃね?」

「あっホントだ」


 ラジオ番組のゲストで出演していたのは、忍野萌海という山梨で活動している地元アイドルだ。かつてはΦ(ファイ)ブレイクという地元のアイドルグループに所属していたが、グループが全国進出する際にある事情で山梨に残らなければならなくなりグループを卒業、現在はソロで活動している。


『今日はスタジオの前に大勢のファンが詰めかけて来てますねー』

『あっ、ありがとうございまーす!』

『いやー大変だったでしょ? これだけサクラを仕込むの……』

『ちょっ何てこと言うんですかー!! みんなファンの子ですよー!』


 どうやら公開放送のようだ。


『さて、今度の新曲なんだけど……これってカバー曲だよね?』

『はい、この曲は1980年に石野真子さんが歌った〈春ラ!ラ!ラ!〉という曲なんですけど……』

『なーるほどー、いよいよ作詞家や作曲家も(忍野に)作るのが面倒くさくなったからカバーでいいやってことになったの?』

『ななっ何言ってるんですかー! それってカバーを歌う全てのアーティストに失礼ですよ! 謝ってくださーい!!』

『それでは忍野萌海で〈春ラ!ラ!ラ!〉、どうぞ!』

『こらー、無視すんなー!』


 まるで漫才のようなDJとのやり取りの後、曲が流れた。


「なんか……ヘンな歌詞」


 中村はレジで精算をしながら、この昭和のヒット曲の存在を知った。


 コンビニで買い物をした3人は再び公園に戻り、大村博士の銅像がある広場にあるベンチに座り昼食をとりながら休憩をしていた。


「忍野ってさぁ、もはやアイドルじゃなくて芸人やった方がいいよなー」

「ホントだよ、アイドルじゃキツいけどあのツッコミなら通用するかもな」

「なぁなぁ、Φブレイクの中じゃ誰がいい? オレは本栖千景かなー」

「えっ……ボクはどっちかというとカントリバースの方が……」


 カント(can't )リバース(reverse)とはΦブレイクのライバル的存在のアイドルグループだ。本来は「キャント」と読むところだがなぜか「カント」と読むらしい。


「えっ、何だそうか! 西田はカントのファンか!?」


 突然、山城が食いついてきた。


「う、うん……そうだけど」

「そっかー、山梨はΦブレファンが多いから肩身が狭かったんだが……」

「そうなんだ! 山城くんも? あぁ、うれしい」


 2人はがっちり握手した。


「で、カントでは誰推しなんだ?」

「ボクは……多摩川二子、ニコ姉だけど……山城君は?」

「あぁ、僕は利根かすみだ!」

「えぇっ、かすみんってロリじゃん! 山城くんロリコンなの?」

「おいちょっと待て! かすみんは高校1年、1歳違いだぞ!」

「えぇー、でもあのキャラはちょっと……」


 山城と西田は好きなアイドルで意気投合した。すると中村が、


「なぁなぁ……センターの荒川夢乃は?」


「あれは……問題外!」

「そうだよ……ネガティブイメージ多すぎ」


 そんな他愛もない会話で盛り上がっていると


 〝ピコンッ〟


 国母先生からメッセージが届いた。


『どうしたの? 動きが止まっているけど』


 GPSアプリで位置情報を把握している先生は、かれこれ20分以上動きのない3人を心配していた。


『今、コンビニで飲み物買って休憩してます!』

『あらそう、水分補給は大事だからいい心がけよ』

『はーい』

『ところで、目的地はこの道をもう少しまっすぐ……突き当りまで進んで!』

『りょ』

『じゃあ今のうちに次の問題を送っておくわね! ゴールまであともう少しだから頑張ってね』


 〝ピコンッ〟


「あっ、次の問題が来たぞ」


 3人はそれぞれのスマホを確認した。



【青き水を口で折って丁ど田のほうにいけ】



「またわけのわからんことを……」

「でも、ここまで来たらやるしかないな」

「うん……がんばろう!」


 銅像の隣にある説明版には大村博士が語った「人生の心得七か条」が書かれていた。正直、人生と言われてもピンとこない男子高校生に刺さる内容ではなかったのだが、その中のひとつの言葉に目が留まった。


 《役目についた折には、自身の能力をもって、全力を尽す》


「よっしゃ、全力を尽くしてゴールしてやるぞ!」

「おー!」


 3人は大村博士の銅像の前で誓い、目的地に向かった。


最後までお読みいただきありがとうございました。


次の話は12時21分頃投稿予定です。

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