転機のち再会
最近また暑さが戻ってきましたね。
熱すぎて頭がくらくらしてしまいます。
まぁ、そんなことは置いといて6話です。
ガタッゴトガタゴト。
そんな音が連続して聞こえていた。
「そうか、俺電車で眠って」
そう、ここは電車の中。
10分前―
さて、これから電車の乗り換えようと思う。
上からの命令でな、電車は車両基地に置いてあるらしい。
だから、その車両基地に向かう。
そして僕らを乗せた車は、車両基地に着いた。
そこには、一人の女性が立っていた。
「こちらです。ヴェスター様」
そう言って彼女は、車両基地の中に案内した。
そして、車両基地に入ると
真ん中の列車を指さした。
あの列車にお乗りください。
そう言ってその女性は、車両基地の真ん中の方の列車に案内した。
そして彼女は、一番前の車両に案内した。
一番前の車両に着くと彼女は、運転席に乗り込み車両のドアを開けた。
すると、扉が開いてスロープも出てきた。
そして、僕たちは今に至るって訳。
さて、ここからは簡単に電車の紹介をしていこう。
この電車は、400キロ出せるハイパワーな電車だ。
形は今の新幹線を想像して貰うと早い。
外装は、赤いストライプ柄だ。
かなり派手だと思う。
さて、次は内装。
豪華絢爛な模様に、彩られた椅子上にはシャンデリア、そして絵画が飾られていた。
そして今、僕は革製の椅子に座り、古いレコードから奏でられるクラシックに耳を傾けていた。
そして、発車のベルがなり、僕たちが乗せた電車は動き出した。
悠々とした空間に奏でられるクラッシク音楽、心を落ち着かせていた。
ここだけを切り取れば、とても良い生活かもしれない。
普通の高校生だった僕が、こんな待遇を受けられるのは、ある意味ヴェスターのおかげなのかもしれない。
確かヴェスターって、政府直属調査班とか言ってたけど。
具体的にどんな仕事なのだろう。
そう思い、ヴェスターの居る前の車両に移動した。
ヴェスターは、この車両には居なかったが、前の電車の喫煙室の前で話しているようだ。
気になって思わず、ヴェスターの喫煙室の近くに行って聞き耳を立てた。
「こちらヴェスター、ただいま花咲市から出て、紗那市に向かう予定だ」
「あと、ローラスのみ元の調査を頼む」
そう言って、ヴェスターは通話を切ったようだ。
「んで、さっきからそこに居るのは誰だ?」
怖いほどに低い声色で言う。
無言で息を殺していた僕の努力は失敗に終わった。
仕方なく僕は隠れていた扉の陰から出た。
「って、先輩か」
驚いたように瞳を大きく開けていた、
ヴェスターは元の声色に戻った。
「なんだ、先輩か」
「どうかした?」
「いやなんでも、トイレを探してて」
「トイレなら、もう一個前の車両だ」
そう言ってヴェスターは指をさす。
僕は、トイレのある方向に行った。
そして、トイレで用を足し元いた車両に戻っていた。
さて、さっきの席に戻り一息つく。
だが、一息つこうにもそうもいかない。
対面で美玲が寝ていた。
彼女と僕の間には、妙な距離感が出来ていた。
そう、彼女はあの車の中の出来事からまだ一回も口を開いていないのであった。
彼女は、物静かにクラシック音楽に耳を傾けているようだった。
僕もまた、耳を傾けていた。
聞こえる音は、クラシック音楽、電車の揺れる音、自分の吐息だけである。
話しかけようと努力したいが、静かな空間に圧倒されているかのように2人は黙り込む。
まるで、あの日教会で出会ったように…。
そう、美玲は頭の中で思っていた。
しばらくして、ヴェスターが入ってきた。
もう2時間ぐらいで着くから、そう言い残すと、彼はまた先頭の車両に戻っていた。
「ふぅ、ため息をつき僕の視界が狭くなる」
あれ?なんだか疲れが…。
そう言って僕は、寝てしまった。
「さて、あと2時間か」
そう言って俺、ヴェスターは前の車両の席に座った。
ここの車両は、美玲たちの乗っている車両とは違い、普通の客席だ。
至って普通だ。
さて、缶コーヒーでも飲んで一服するか。
そう言って俺は缶コーヒーに手を掛けた。
ふぅ、一息つくと少しの異変に気づく。
そう火薬の匂い…。
ガシャッ、パリンッ、バリッバリ。
窓ガラスが割れる音がしたと思えば前方から煙が舞い上がる。
しかし、列車は400キロで走行中。
なので、何かに掴まっていないと風で飛ばされそうだ。
煙が舞い上がったと同時に、人影がこちらに向かってくるのが見えた。
「久しぶりだな、ヴェスター」
そう言ったのは、紛れもなくローラスだった。
「調査班の裏切り者が何のようだ?」
俺が言ったとおり、こいつは元政府直属調査班。
「おまえも分かっているだろう、ネラスの担い手を捕まえに来た」
ローラスは、頭を掻きながら言った。
「…」
俺は、黙り込んでしまう。
ネラスは、16歳から20歳までの短い期間の限られたに人が使える。
そしてその力は、世界をも破壊出来てしまう程の力がある。
だから、政府の調査班はその力をすべて調べた。
そして、あることが発覚した。
ネラスは、それぞれの人に個性があるようにネラスもいろいろな力があることが分かった。
たとえば、透視能力であったり、瞬間移動であったり色々だ。
共通して使える力は、武器を一時的に生成出来る事だ。
まぁ、要するに魔法みたいな感じかな。
だから、この力を使うには選ばれた担い手が必要。
担い手は、世界を壊すことも生かすことも可能。
そう、ネラスはそういう側面があるのは事実。
なので、悪用する組織も多く点在する。
トスティアはその一つというわけだ。
「それじゃあ、そこをどいて貰おうか」
そう言って胸ポケットから拳銃を出す。
「ふ、脅すつもりか?」
「何が何でもここ通さない」
拳銃を向けられ、少し動揺するがここを通すわけにはいかない。
これ以上、ネラスの担い手に悪用されては世界を滅ぼしかねないからだ。
カチッ
俺は仕掛けておいた。
時限式の爆弾を起爆させて、電車の連結器を切り離した。
「相変わらず、用意がいいな」
「だがな、車両を切り離したところで、おまえを排除しないと計画に差し支える、じゃあな
かつての相棒…」
そう言いローラスは、トリガーを引いた。
一瞬の出来事がゆっくり見える。
ローラスが放った銃弾がゆっくり見える。
人の最後という時は、ゆっくり見えるのだな。
だんだん俺の脳は走馬燈のような物を見せる。
そして、腹部に猛烈な暑さと痛みを感じ意識がフェイドアウトした。
「…」
「…」
「…」
俺は二人を守れたのか?使命は果たせただろうか?
不安だけが頭をよぎる。
結局、文明の兵器には勝てないな。
ネラスを持たない人間には防ぎようがない。
「…」
一分前、美玲の乗っている車両。
美玲と僕はこの車両で寝ていた。
バシュッ、バリバリゴォー。
爆発音がして、僕らは目を覚ました。
起きてまず視界に入ったのが、前の車両が遠ざかっていく様子。
そう爆発で連結器が外れ、前の車両が遠退いていった。
ブォォンッ、ブォォォォン。
電車とは違うエンジン音が聞こえた。
切り離された車両は、しばらく走り続けて止まった。
そして止まった瞬間、エンジン音も近づく。
車両の爆発で車両の前方の扉が吹っ飛んでいた。
爆発の威力を物語っている。
そう感傷に浸っていたら、車が目の前に止まった。
車はスポーツカーで電気とガソリン両方で走る物だった。
そして、サイドガラスが開いて見えたのは香恋だった。
「早く、この車に乗って」
そう言って香恋は、車のドアを開けた。
「誰が、雌豚の車に乗るかよ」
そう言ったのは今まで黙っていた美玲。
「あんたがだいたい先輩を襲って操ったくせに」
「今度は、車に乗れ?」
「どういう風の吹き回し?」
「と言うか先輩をまた洗脳して…」
「そんなことしないわ」
香恋は強く言った。
「だって、私悔い残らない人生したいから」
そして付け足すように言った。
「それに、実の弟君に会えたのだから」
そう言って香恋は車から降りて僕の手を取り言った。
「もう絶対に弟君を傷つけない、だから私を信じて」
香恋は、本気で言っているようだったので、僕は了承して車に乗る。
そして、気乗りしなさそうに美玲が後部座席に乗った。
キュキュッ、ブヲォォォン。
気まずい空気の中、車は走り出した。
冬の晴天の空が僕らを照らしていた。
冬の寒さに暖かな太陽のぬくもりを感じた。
ここまでお読みくださりありがとうございます。
次回もお楽しみに。