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一時の休息と好意の真相

秋の風が吹いてきましたね。

さて、話は前回野続です、

それではどうぞ。

この作品はフィクションです。

「じゃあ、改めて出発」


そうして車は、走り出した。


ブウォンッ、ボファウン。


ヴェスターがアクセルを踏むたびエンジン音が鳴る。


「というか、思ったんだけど」


「なんだい、先輩」


そう言いながらヴェスターが言う。


「この車、うるさいのですが」


真剣な顔で言った。


「そりゃー、今バルブ開いているからね、閉じると静かになるよ」


そう言ってヴェスターは、ハンドブレーキの横にあるタッチパネルを押した。


すると車は次第に静かになっていった。


「まぁでも、気分が出ないじゃん、音が出ないと」


ヴェスターは、にこやかな笑顔をしてた。


「あんたは、どこぞのヤンキーか」


僕は、思わず突っ込んでしまった。


「まぁ、そんなことは置いといて」


「追手が来たみたいだよ」


ルームミラーを見てヴェスターが言う。


黒い車に乗っていて、こちらもスポーツカーのようだった。


そう追手とは、敗走した香恋だった。


香恋サイド、車内。


香恋は、苛ついていた。


それもそのはず、利用しようと企んでいたからであった。


「計画のためにも、絶対に彼を…」


「コンピュータ、前の車の行き先予想をしなさい」


コンピュータ「了解しました、解析システム起動、システムオールグリーン解析まで4から五分の見込みです」


「じゃあ、その間カーチェイスと行きますか」


「コンピュータ、安全装置解除ともに車線誘導システムオン」


「さぁ、飛ばすわ」


そう言って香恋は、アクセルを踏んだ。


メーターは、振り切って100キロを超えた。


「いいね、この音たまんない」


そう、香恋はほくそ笑んでいた。


一方、ヴェスターの側の車。


「おいおい、かなりスピード出してきたぞ」


「カーチェイスでもするつもりか?」


「いいだろう、元族の力見せてやる」


「まあ、嘘だけど」


そう言って彼はアクセルを踏んだ。


2つの車は、道路を高速で移動していた。


街中ということもあって、かなり曲がりくねっている場所もある。


「くそ、カーブか」そういって彼はハンドルを切る。


すると車は、ドリフトをしながらカーブを抜けた。


一方、香恋も同じく少し遅れてドリフトをしてカーブを抜けた。


2つの車は、轟音を上げながらもカーブを次々と抜け、ついには町の端っこまできていた。


「行き先予想完遂、品咲パーキングエリアかと思われます」


「はぁ?ここ高速じゃないんだけど」


香恋は、苛立ちを隠せない。


「仕方が無い、この先の高速乗るか」


そう言ってヴェスターは、E○Cカードをと入り出す。


「運転中に片手運転怖いから止めて」


僕の言うことを、彼は訊かなかった。


カードセットよしっと。


そして、決戦の場は高速に移った。


しばらくして、香恋も後ろから追い上げてきた。


香恋&ヴェスター「っく、接戦だな」


車の現在の速度は156キロに達していた。


そのとき後ろから、赤いランプをつけた車が走ってきた。


察「うん、あの車76キロオーバじゃないか」


察「そこの2台、止まりなさい」


「あ、やべ」


そう言ってヴェスターは、さらにスピードを上げる。


一方香恋、「っち」


舌打ちして、その車両の近くに寄せた。


「コンピュータ、煙幕」


「了解」


彼女の車の後方から煙幕を出した。


察「お、オワッ」


その車は煙幕にやられスピードを下げて停止した。


「さて、これで楽しめるわね」


そう言って前を向いたときだった。


「な、消えた?」


そう、追っていた車が消えたのだ。


一方ヴェスター、次の品咲パーキングで休憩するか。


そう言って彼らを乗せた車はパーキングエリアに向かった。


ヴェスターは、パーキングエリアに着くと、一服吸ってくると言って、真っ先に喫煙所に向かった。


車内は、美玲と二人きりになった。


「あーあ、行っちゃった」


僕は、そう言うが美玲の反応がない。


反応が返ってきたとしても、「うん、そうだね」の繰り返し。


彼女は、どこか上の空だった。


理由は、分からないがそっとしておくことにした。


悪い、悪い、遅くなってと言ってヴェスターは帰ってきた。


気を利かせたのか、彼は肉まんを三つとコーヒーを買ってきた。


「さて、敵をまいたようだし、出発だ」


そういって彼はエンジンを掛ける。


「あれ?あっ」


「ガソリン切れた」


「いや、悪いね」


そう言ってガソリンスタンドまでガソリンをヴェスターは取りに行った。


その間また美玲と二人きりになった。


「あのさ、俺美玲にひどいことしちゃったよね」


僕はそう問いかけると、美玲は俯き加減に言葉を話す。


「最初の日、終業式終わりの帰り道で記憶が消えた事に気づいたの」


「辛かった、好きな人に名前すら覚えてもらえてなかったからね」


「それで思わず、走って先輩の前から消えてしまったの」


「その後の話をしてあげるね、先輩」


そう、私はあの後、先輩が何で私の名前を覚えていないのか調査しようと思ったの。


そしてわたしは、政府直属調査班の情報保管庫にハッキングしてファイル82というファイルを手に入れたの。このファイルは、ネラスの機密文書が書かれた文書ファイルなの。


そう、それがすべての始まりだった。


昔、私は不思議な力が使えたの、短距離移動が念じるだけで出来た。


そう、この力こそネラスの力だったの。


それで私はね…。


何度も悪いね先輩、ガソリンをポリタンクで持ってきたヴェスターが言う。


あれ、俺お邪魔だったかな?


ヴェスターが入ってきた瞬間、美玲は黙り込んでしまった。


気まずい中、ヴェスターがガソリンを入れ終わりエンジンを掛けた。


エンジンがなり、ヴェスターが気まずい空気の中、パーキングエリアから車を出した。


そして、一行を乗せた車は、高速道路を走るのであった。


一方香恋は、車を路肩に止めてローラスに取り逃がした事を報告していた。


「報告お疲れさん、また後日、折り返し連絡する」


そう言って、車内電話は切れた。


「さて、少し移動しようかな」


そう呟いて私は、インターを降りた。


どことも知らない所にね。


インターを降りてすぐの喫茶店惹かれて、駐車場に車を止め店に向かった。


木造の小洒落た建物で、木の匂いが鼻をくすぐった。


そして扉を開け、正面のバーカウンターの席に腰かけた。


するとすぐに、店のマスターが出てきた。


「注文は?」


彼は、低めの声で野太い声だった。


「オリジナルブレンドのホットで」


そう私が注文すると、彼は手慣れた手つきでコーヒーを淹れた。


彼は無言でコーヒーを注ぎ、出来上がった物を何も言わずに私の目の間に置く。


私は、コーヒーをしばらく見つめていた。


そして彼は、私の事を見透かしたのか、カウンターに手を置いた。


「お客さん、悩み事かい?」


そう野太い声で言った。


私はコーヒーを少しすすり答えた。


「そうなの」


「私には、生き別れた弟がいるの」


「親が事故死してから、私はローラスに拾われたわ」


「そして弟は、母の叔母に拾われた」


「私は親戚にお金がないからと拾われず、施設に入れられていた」


「その時、ローラスが施設から私を引き取ってくれたの」


「そして私は親戚を憎んだ、そして弟も」


「とにかく、憎かった」


「憎悪の気持ちが抑えられないほどね」


「そして私は、ローラスに言われて組織(トスティア)入ったわ」


「ローラスに、今まで育てて貰った恩返しをしようと組織に入ったの」


「でも、組織に入って気がついたの」


「組織は政府非公認組織で、違法作業を厭わない集団だったってね」


「そして、私たち組織の目的はネラス(紋章)の使い手を探して利用する事」


「世界を支配する為にね」


「政治、経済、戦力保有全て手に入れる為にね」


「そしてある日、ネラスの使い手(主人公)を見つけたの」


「そして、それは私のよく知る人物だった」


「そう、生き別れた弟だったの」


「私、最初はとても憎かった」


「私を引き取らず、弟だけ引き取ったからね」


「でも、それは弟を見たら変わったわ」


「見た目は少し大人びていたけれど、かっこよくなっていたわ」


「そう、弟の成長した姿を見ていたらどうでも良くなっていたわ」


「身内は、弟くんしかいないからね」


「そう思ったら、なんか憎しみは消えていたの」


「そこから、彼への愛情が生まれた」


「家族としてのね」


「だから、いくら私が弟に復讐をしようと企んでも、愛情に邪魔されて出来ないの」


そして香恋は、コーヒーをもう二口すすった。


「それで今の悩みは、組織に残るか、弟君の力になるか悩んでいるの」


そして香恋は、コーヒーを飲み終えた。


今までマスターは黙っていたが、私の話が終えると口を開いた。


「君は、何がしたいんだ?」


返ってきた言葉は、意外な言葉だった。


私は、その質問に沈黙してしまった。


するとまた、マスターが口を開いた。


「お客さん、あんたは人生の交差点に立っている」


「僕が言えるのは、アドバイスだ」


「その先は、自分で決めなければいけない」


「どの場面でも言えるが、結局他人は他人だから」


「そう、決めるのは自分」


「何だってそう、人が怒られているとき自分は見知らぬ顔」


「他の人もそうだ、自分が大切他人を思うなんてなかなか難しい」


「言葉で書くのは簡単、だが行動に移すのは、難しい」


「だからまずは、行動からしてみればどうだろうか」


「失敗は成功の元というように、結果は必ず付いてくる」


「それが今、僕が出来るアドバイスかな」


「お客さんがどうしようと僕は止めない、だから悔いの無いように生きてほしい」


そう言い終わるとマスターは口を閉じた。


静けさが立ち籠める喫茶店、コーヒーの匂いだけが悠々と漂っていた。


そして私は代金を払い、店を出た。


青々とした空、さっきよりより一層おいしく感じた。


少しのびをして、私は車でその場を去った。


喫茶店のマスター。


「僕は何で、悔いの無いように生きてほしい、なんて言ったのだろう」


「まるでそれじゃあ、俺が悔いのあった人生を生きているようじゃないか」


マスターは、カウンター裏の収納スペースから一枚の写真を出した。


その写真は、白黒の写真で女の人と写っていた。


その写真を見て彼は一人、涙を流すのであった。

ここまでお読みくださりありがとうございます、

次回もお楽しみに。

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