欺瞞と焦燥
最近熱くなってきましたね。
そんな日はエアコンの下でずっと寝ていたいです( ´∀` )
それでは本編どうぞ。
そして、僕は言われるがまま寝転んだ。
香恋は、何かを地面に書き足して、呪文のようなことを呟いていた。
そして、しばらく空を見上げていた。
青い空、何気なく雲は流れていく。
しばらくして、呪文を唱え終わったようだ。
辺りは、光に飲み込まれていった。
光は、眩しくどこか暖かい。
しばらくして、光が消えていった。
空を見上げていると香恋が顔を覗いてきた。
「終わったわよ」
香恋は僕にそう伝えた。
「何をしたの?」
僕はそう言うと彼女は不敵に笑いながら僕の髪を触る。
「ふふ、あなた本当に騙されやすいのね」
「どういうこと?」
そう聞くと間もなく、美玲が空き地に降り立った。
「っく、遅かったか」
美玲は、何もかも知っているかのように言葉を吐き捨てた。
しばらくして、僕の身体が熱くなっていくのを感じた。
その熱は、体全身に広がって行くのが分かった。
ついには、全身に痛みが走った。
その痛みは、言葉で表現できないような痛みで体全身が痛い。
そうこうしていると、僕の意識は遠く消えていった。
「ふふ、本当に男って単純」
「純粋に物事を捉えることしか出来ない馬鹿な生き物」
香恋は、皮肉のように言葉を吐き捨てる。
「それは、あなたが男の純情な心をもて遊ぶからでしょ」
「それより雌豚、私の恋人に何したの?」
美玲は、銃口を香恋に向けながら話す。
「ふふ、何だと思う?」
香恋は嘲笑う。
「それより、先輩大丈夫ですか?」
美玲が話しかける。
返事がない。目がうつろになっている。
まずい、非常に。
「ふふ、彼は今洗脳状態よ」
まぁ、ネラスは所詮本人が能力を開花させない限りは操り人形同然。
「なんで操れるの?」
「それは、秘密」
「さぁ、始めましょう」
そう言って彼女は、持っていた剣を振りかざした。
素早く私「美玲」は、銃口を香恋に向けたが遅かった。
香恋は、見切ったかのように催涙弾で眼をくらませてきた。
それと同時に、動きに合わせて先輩は私に襲いかかってきた。
武器は、持っていないが一発一発の拳が俊敏で避けられない。
バシィッ
鈍い音がして私を地面に叩きつける。
そして、もう一発拳が飛んできたのを見切って私は避けた。
「ふぅ、危なかった」
しかし、攻撃しようにも先輩を傷つけるわけにはいかない。
だから私は守りに徹するしかなかった。
「ふふ、これじゃあ攻撃できないでしょ」
「好きな人に攻撃なんて出来ないものね」
「ましてや、元彼に」
嘲笑うように香恋は見下す。
そこから感じたのは、彼女は冷淡な人間である。
そう感じた。
バシィッ
またも攻撃が当たってしまった。
痛烈な痛みが私に走る。
先輩、先輩、先輩…。
心は先輩という度に走馬燈のような物を見せる。
痛みを忘れるぐらいに。
「あの夏、電車の出会い」
「それから、楽しかった思い出」
そう、楽しかった思い出。
西洋風の教会の中、協会の椅子に腰掛け私は告白した。
協会のステンドグラスが光を通して美しい色を映し出している。
そんな中、気恥ずかしさと静けさだけが協会に立ちこめていた。
そう、私は彼とはこの教会で出会った。
私は両親を亡くしていた為、人生なんてって考えていた。
そんなときに、私はある男性に惹かれた。
私は「私はこの世界では神、いや神の代行者と言うべきでしょうか?」なんて言ったけど、それは嘘。
まぁ、神に近いような能力ネラスの使い手ではあるのだけど。
とにかく、あのときの私は彼の気を引きたかった。
だから、ネラスの能力で教会に移動したの。
そう、私の能力は武器の能力向上と身体能力強化、そして小範囲移動。
そんなことは、置いといて。
私は、あの教会で告白した。
告白は成功した。
そして、夢のような毎日だった。
「そう、夢のような」
「ふふ、美玲は完全に無意識に堕ちたようね」
そう、彼女はしばらく殴り続けられていた。
痛ましい姿にとても普通の人では目も当てられない程の状態だった。
「さて、とどめを刺しなさい」
そう言うと先輩は香恋に長剣を渡された。
そして、そのまま振り上げた。
「私はここで人生終わりか」
愛する人に殺されるなら本望か。
そう頭で思った。
そう思っても涙は隠せなかった。
声も出さずに涙だけが数滴地面にこぼれる。
そして、彼の剣は後数センチで私の頭に当たりそうになった。
思わず目をつぶる。
怖い、怖い。
恐怖心だけが私を支配していた。
しばらく経って、痛みが感じていないことに気づく。
なぜだ?
そう思って彼を見上げると、剣は数ミリで当たる距離まで迫っていたがそこで停止していた。
そして、彼を見つめると私と同じように泣いていた。
それを見て私は気が抜けて腰が引けてしまった。
そう、彼の催眠は解けていたのだ。
「っち、なんで催眠が溶けた?」
香恋はそう舌打ちした。
「もぅ良い、使えない」
「もう私が倒す」
そう言って香恋は長剣を取り返し振りかざす。
私は、腰が引けて動けなかった。
「シネー」
そう言って香恋はとどめを刺そうと長剣を振り上げる。
僕は彼女の記憶を完全ではないが思い出した。
付き合っていた頃の記憶、出会いそして楽しかった日々。
このまま彼女干しなせて良いのか?
いや違う、俺、俺は彼女を…。
そう思ったとき体が自然に動いていた。
香恋が剣を振り上げた間に入る。
そして、体が熱くなる。
守りたい物をイメージする度、身体から沸き出る力。
そうして僕は、気がつけば全身が波動のような物に覆われた。
そして光がらせん状に僕の手のひらにまとわりついた。
しばらくして、光が消えて物体が現れた。
美しい剣身をした剣が出てきた。
キイィッン
香恋の長剣とぶつかり、甲高い金属音が響きわたった。
そして剣からは、火花が飛び散った。
それだけ剣のパワーが剣に伝わったのだろう。
途中、彼女は分が悪くなったのか逃げ出した。
空き地から地面を強く蹴り、屋根に上った。
そして彼女は、屋根を駈けていった。
追いかけよう、そう思ったとき彼女は僕の裾を持った。
「行かないで」
どこか寂しげな彼女の顔を見ていたら追いかける事を忘れていた。
彼女は何も言わず、ただ裾をつかんでいた。
しばらく経って、彼女が手を放した。
僕は何も言わずただ彼女の頭をなでた。
そして、彼女の応急処置をしていた。
はあ、これからどうしよう。
ため息をつきそう思う。
ブヲォォォンッ、ブウォォォォン、キキッイィィィ。
遠くから音が聞こえる。
ブワオォォォォン、キキッイィィィ。
そして、僕らの目の前に車が止まった。
車に搭載されているスピーカで話してきた。
「あー、そこのリア充聞こえるか?」
「私は政府直属調査班レバン・フィーセ・ヴェスターだ」
「トスティアという組織を追っている」
ダンディーな声で、とても男らしい体つきの人だった。
「うん?君たちネラスの使い手のようだね」
「体から瘴気を感じるよ」
「乗りたまえ」
「さぁ早く」
仕方が無いので彼を信用して車に乗ることにした。
車はガルウィングで上にドアが開く。
なれないドアから車内に入ると見慣れない内装が広がっていた。
豪華絢爛と言わんばかりの革張りの椅子に手前にテーブルがある。
車内は、スポーツカーなのに結構広い。
ちなみに6人乗りだ。
しかし、後ろの2席は機材が詰まれていた。
「この機材なんですか?」
彼は答えた。
衛生経由型オートマティックAI システム。
「つまり、現代で結うところのSI○I先輩みたいなAIコンサルタントですか?」
僕は彼にそう言う。
「そうそうそんな感じ」
「というか、君詳しいね」
「まぁ、車内のシステムは追々詳しく説明するよ」
「それより、自己紹介をしよう」
「さっきは、慌ただしかったからね」
「改めて私はレバン・フィーセ・ヴェスター」
「ヴェスターって呼んでくれ」
ヴェスターは、淡々と話しを進める。
「好きな物は、タピオカミルク嫌いな物は蜂だ」
「乙女っぽいだろ」
ヴェスターはどや顔をしていた。
「それ、自分で言いますか?」
「霧傘美玲です」
「私は、先輩の彼女です」
香恋は、あきれ顔をしつつ自己紹介をした。
「いきなり爆弾発言だねー」
「以後、よろしく」
「あぁ、君は自己紹介しなくて大丈夫先輩って呼ばして貰うから」
ヴぇスターは、含み笑顔をしていた。
「え…」
突っ込む間もなく、僕は先輩と呼ばれることになったのであった。
「さて、出発だ」
ブフォンッボフッ。
「あ、エンストしたちゃった」
「テヘッ」
ヴぇスターは声に似合わずお茶目だ。
「テヘッ、じゃないですよ」
「早くエンジン掛けなおしてください」
僕は思わず突っ込む。
「辛らつだねー先輩」
ここまでお読みくださりありがとうございます。
次回もお楽しみに!