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アトリエからのギブリ

「うぐ、ゲホゲホ」

ここは?

視界が安定しない中立ち上がろうとする。

しかし、立ち上がれない。

なぜだ、そう思いベッドの端を見ると首輪の様なものが繋がれていた。

四方は真っ白な壁に覆われていた。

この部屋は、窓がなくただベッドと机がある簡素な部屋だった。


「これじゃあまるで」

そう言いかけた時、ノックする音が聞こえた。

そして、ノックをした人物が入ってくる。

部屋は薄暗く見にくいが、顔は男の様だった。

その人は、部屋のガスランプに火をつけた。

俺は思わず目を閉じる。

「...」

「起こしてしまったか」

そう優しくダンディーな声を響かせる男が言った。

「それはどうでもいいのでこの首は外してくれません?」


「だめだ」

「なぜですか?」

「言いにくいのですがあなたホモですか?」

「君を逃さないためだよ」

いや違ったヤンデレかな?

でもこの人男だからホモっていうのもあながち間違いじゃない様な?

「僕、彼女持ちですから体は何もしないで下さい」


「...」

「本当にやめて下さい」


「まあ、本当は怪我を治すために繋いでいるのだけどね」

「こうでもしないと君は恐らく怪我を完治させずに行ってしまうと思ったからね」


「紛らわしい言い回ししないで下さい」

「絶対画面の向こうの人軽く引いていますから」


「悪い、まあ親父ギャグ程度に受け止めてもらって構わない」

「それじゃあ収集がつかない様な?」

「細かいことはいいのだよ」

「まあとりあえず、君の仕事は寝て怪我を完治することだな」

そう言って部屋を出て行った。

やる事がないので寝ることにした。


翌日、僕は大分早く起きてしまった。

怪我はまだ残っているがこうしている間も仮面の女は街を焼き尽くしている。

そう思ったらここに長居するわけにはいかない。

「ここに食事置いておくぞ」

今日もまた暖かい食事を置いていった。

「なんでこんなにしてくれるのですか?」

思わず疑問をぶつける。

「それは、あいつと重ねてしまうからかな」

小声で彼は呟く。

そうそう、もう手錠と足かせは外そうと思う。

もう傷は癒えただろ、そう言いつつその二つを外した。

そして、彼は食べた食事の片づけをするため出ていった。

さて、しばらく経って僕は部屋を出た。

まず部屋から出ると久しぶりの光に手で目を覆う。

目が慣れてきたときには、長い廊下が右側に広がっていた。

造りは、西洋風の洋館を彷彿とさせるデザインだった。

「大きな家だな」

そう思い歩き出す。

足音の反響した音が静けさの中聞こえる。

そして扉から光が漏れている所に着いた。

何故だろう、思わず扉を開ける。

すると、部屋の熱気が廊下まで出てきた。

しばらく経ってその熱気は落ち着いた。

暖房が付けっぱなしなことに気がついた。

ここは、山岳に近いのかとても寒い。

さて、部屋に入ると。

画材が散乱していた。

2階構造になっていて下に降りられるようになっていた。

赤い絨毯の階段を降りて一階に降りた。

そこには、一つのキャンバスが天窓の光で照らされていた。

照らされたキャンバスに目を向けると、どこかみたことのあるデッサンが飾られていた。

「それは、僕の弟をモーチーフにしたデッサンだ」

突然の声に僕は驚く。

すると、二階にはあのダンディーな男がいた。

その男は、そのデッサンの所まで歩いてきた。

「弟は、国の直属の調査班でね」

「それってもしかして、ヴェスターのことですか?」


「知っているのか?」

そして、彼にこれまでの事を話した。

「そうか、弟はその仮面の女の手下に」

ショックを隠せないのか頭を掻いていた。

「外の空気吸ってくる」

そう言って彼は外に出た。

それを追いかけたが途中で見失ってしまった。

家から出ると山岳地帯に出た。

山に切り開いた道路が幸い一本しか無いのでそこを歩いた。

「久しぶりね」

道の前には、あの仮面の女がいた。

怒りで取り乱さないように抑える。

「香恋と仲間は生きているのだろうな?」

そう聞くと彼女は急に笑い出す。

「私に買ったら教えてあげる」

そういい彼女は武装を展開してきた。

武装は剣であった。

僕も急いで武装を出そうとした。

しかし思うようにいかない。

その間に彼女は武装が完全に準備が整ったので襲いかかってきた。

剣が下腹部ギリギリに切りつけてきた。

危険を避けられて安堵したが、それも一瞬で終わった。

次は、後頭部目掛けて拳が飛んできた。

重い音とともに吹き飛んでしまう。

「うぐっ」

声が反射的に出る。

ヴェスターの仇そう思いつつ、武装を再度展開した。

すると、僕の手に光の輪が発生した。

そして、その輪は剣の形を描く。

剣が生成された。

今度は成功した。

そう思った瞬間、右から剣が切りつける。

キィンッ。

甲高い音が響く。

力は互角で剣が触れ合っている。

カタカタと震えてあたった剣同士の音が聞こえる。

そして、剣を前に倒し体重をかけるが負けじと仮面の女も同様のことをした。

きりがない、そう思ったので左手に入れていた短剣で切り裂こうとするが避けられた。

「天明よ、力を与えたまへ」

呪文のような言葉を放つ。

体がさっきより軽くなった。

僕はあの時の感覚を思い出す。

そして、次の瞬間には彼女の仮面の右端を切り裂いていた。

彼女は、怒ったのか僕に剣を振るが遅い。

その間、彼女の下腹部の対角線上から上に向かって切りつけた。

「これで、ヴェスターの借りは返したな」

そう思ったが割れたのは仮面だけだった。

彼女は、仮面の破片で少し血が出ていた。

「なぜ」

思わず声を出す。

そうその仮面の下の正体に驚いた。

「ミカルダさん?」

そうイメルダの母親だったのだ。

「嘘ですよね、ミカルダさんが黒幕なんて」

「驚いた?」

「でも、なんで」

彼女にそう聞くと急に不敵に笑いだした。

「ネラスの創造主を私は消すことが目的よ」

「まぁ香恋は例外だけど」


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