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87.オーブン付き三口コンロ

マーニン島に戻ってくると俺は浄化槽の事を考えていた。

リッチモンドの領都につけたとしても小さな村とかは浄化槽まで運んでくるのは厳しいよなぁ。

それを考えるとやっぱり浄化が出来るような魔法の杖なんてあったら便利なんじゃないかな?

ちなみに杖ってどうやってできてるんだ?

木の棒だよな?まぁまた、話をしていけばいっか。

「おお戻ってきたか。」

「ただいま、グリ、ポヨ。」

「何か成果は出たのか?」

「3日後の夕方に迎えに行くことになったよ。

あとさぁ、グリ、なんかヘンリーさん達の出張に付き合わないかって誘われてるんだけどお前はどうしたい?なんかダンジョン?とか言うのがあってそこで上質な素材が手に入るとか教えてもらったんだけど俺、いまいちよくわかってなくてさぁ。」

「おお、ダンジョンがあるのか?面白そうだな。行ってみるか?」

「ダンジョンって面白い所なのか?」

「ダンジョンは迷宮の魔物だ。」

「迷宮の魔物?」

「あぁ、形態は洞窟であったり洞穴がダンジョンであったり稀に森にある場合もあるな。」

「へぇ、迷宮って言うからには中は迷路みたいになってるのか?」

「そうだな。多くは地下へと続く階層になっていて下へ進むほど襲ってくる魔物が強くなるが

倒せば旨い肉だったりアイテムであったり宝が現れるのだ。」

「え?魔物が襲ってくるのか?」

「迷宮の魔物といったであろう?」

「あ、ああ、俺はてっきり迷子にさせる困った魔物なんだと思ったんだ。」

「まあ、間違ってはいないな。迷わせてそこで外へ出られないようにして中で入って来たものを仕留めて倒れた者から養分を吸い取るんだからなあ。」

「うげっ!エグっ!なんだよそれ。」

「例えばゴブリンやらオークやらが出てきて、そいつらに負けてダンジョンから出られなくなれば養分になるが勝てばいいのだ。そしたらアイテムやオークの肉が手に入るぞ。」

「でもよぉ、それだけでいくと途中で帰ってこれないよな?」

「いや、あれも不思議なものでな、何も出てこない場所があったり途中で転移して外に出られる所もあるのだ。」

「へぇーじゃあ意外に生存率高めなんじゃないのか?そのダンジョンは養分があまり取れなさそうだな。」

「それがそうでもないな。欲にかられて力量以上の階層に進む奴は多くいるからなぁ。それに大地からかなりの魔力を吸い上げておるし襲ってきた魔物を倒す時に魔力を使うとどうやらそれも吸収して養分にしておるようだ。倒した後に現れる肉やら宝も倒した魔力量が多ければ多いほど出てくる物の質も良い。我はいつも最上級の物を手にする事が出来るが弱い魔物がギリギリで倒すと何も出なかったり質の悪いものが出るようだから人族はドロップ率とか言っておるようだがあんな物は魔力量が多ければ良いものが出るのだ。まあ詳しくは我も知らぬがとにかく狩場がまとまっているという事だ。」

「つまり、同じ人族が元気いっぱいで倒した時と弱り切っててギリギリで倒した時とじゃ質が変わるって事か?」

「一概には言えぬが、まあそういう事だな。きっと出てきた魔物で1の力で倒すことはできるが2使えば良い物が出るとか、そんな程度の事だろう。」

「へぇーなるほどな。それだと階層を進むと襲ってくる敵がどんどん強くなるわけだろ?そうするとどうなるんだ?」

「同じ事だ。上の階では1で良かったものが2の力を使わないと倒せないが上よりは出てくるものが良い。

だが、3の力で倒せば上の階よりさらに質の良い上等な肉や宝が手に入る。そんな所だ。」

「なるほど、だんだんわかってきたぞ。」

「ダンジョンによって出るものが違うからな肉のところもあれば光る石のところもあれば武器や鎧であったりとまあ、色々だ。」

「あっ!ゴブリンとかがたまに武器とか持ってんのはそういう所から手に入れてるのか?!」

「そうだろうな。まあ自分たちで作る奴らもいるがダンジョンの物であったり襲った者からの略奪品であったりと色々だろ。」

「そっかぁ。どうする?行くか?」

「うむ、良いぞ。少し最近運動不足だからな。」

「そうか。きっとお前に倒されたワイバーンがそれを聞いて泣いてるぞ」

「ふんっ。我の相手としては不足だ。」

「はいはい、そうですか。だけどまた、長旅になるだろうなぁ。」

「うむ、別に同じ旅をせんでも良かろう。また、飛んでいけば良い。現地で合流すれば良い。奴らが到着するまでダンジョンで過ごせば良いのだからな。」

「それもそうか。もう、身分証もあるから街に入る事もできるわけだしな。」

「ふむ、まあ好きに決めろ。」

「わかった。まだ先の話だけどなぁ。そろそろボビーさんの所にでも行くか。」

「ボビーとはあの爺さんの所か。」

「そうだ。んじゃ魔石外してくるから少し待っててくれ。」

「わかった。」

そうして俺たちはボビーさんの家に向かう。

頼んでいるコンロに付与魔法をかけるためだ。

「こんにちは〜」

「おお、来たか!待っとったぞ。三口のコンロはあとは付与魔法するだけじゃ。それで、オーブン付きはこの板とこの板に付与魔法をつけてくれ。それからオーブンは温度調節もできるとえーんじゃないか?」

「仕事が早いですねぇ!そっか!温度調節いいですね!それならタイマーも付けちゃうか!」

「タイマー?なんじゃそりゃ?」

「時間制限がかけられるようにするんですよ!20分とか30分とかで火が切れるようにするんです。でも庫内は鉄のおかげで温かいままだからそんなに一気に温度が冷める事もないし忘れてて炭になる事も防止できますしね。」


「ハッハッハッハ!そりゃいいな!お主は発想の宝庫じゃな!」

「ボビーさんの助言があってこそですよ。じゃあ付与魔法かけますね。」

俺は付与魔法を二枚の板にかけた。

一つは温度調節ができてタイマー付きで、もう一枚には保温室用として。

温度としては40度から80度くらいに調整できるようにしてヨーグルト作りから肉の低温調理ができるようにしておく。

「できました!」

「よしよし、あとはわしの仕事じゃな。よっこらしょっと。じゃあいくぞ。」

「はい、お願いします。」

「クリエイト!」

置いてあった鉄の板や水石の板がフワッと浮かび上がりそのまま回転しながら一つづつパタパタパタパタと組み上がっていき最後にピカーーーーーッと強い緑色の閃光を放つ!

「よし、成功じゃ。」

ボビーさんがそう言うと光ってた素材が輝きが落ち着きゆっくりと地面に降りてきた。

すっゲーーーー!一瞬で組み上がったよぉ〜!やっぱり魔法ってすげぇーーーー!

降りてきた水石でコーティングされたオーブン付き三口コンロにはなんと、グリの獅子の姿のシルエットが小さく入っていた。

「この絵ってグリですよね?!」

「ああ、商品にするなら盗作防止で入れておいてもいいかと思ってな。小さく目立たんがワンポイントでちょっと入れたかったんじゃ。」

「すっごい嬉しいです!ほら、グリお前も見てみろよ!」

「うむ、我の美しいこのフォルムとディテールがこの絵にはよく描かれておるな。」

「お前、よくそんな難しい言葉知ってんなぁ。本当はグリフィンじゃなくて人族じゃねえのか?」

「お前はバカか。我はそれだけ賢く有能なのだ。」

「はいはい。その割にはいつも口の周りにソースやらジュースやらべったり付けてるけどな。」

「それはあえて付けてるのだ。ポヨにもちゃんと食わしてやるためにな。」

「そうですねぇ〜。」

「面白いやつらだなぁ。さぁ試しになんか作ってみてくれ。」

「はーい!」

俺はまずコンロの火を確認して全てきちんと点火できることを確認。そして下のオーブンや保温室が稼働する事も確認して今から試運転だ。フライパンをコンロにセットしてワイバーンの塊肉を置いて表面を焼いて焼き色をつけていく。全体的に焼けたら今度はオーブンへ。あとは温度とタイマーをセットして放置。火魔法のオーブンは火力が強いから予熱時間もかなり少なく一気に庫内の温度を上げられるのも利点だ。そして壺に作っておいたタレを準備しておいて焼き上がったらこれにドボンッと入れて漬け込むだけ。まさに男の料理だ!

「おお!しまった集中しておって飯食うのを忘れとったわい。悪いがちょいと飯を食わせてもらうぞ。」

「あっ!じゃあこれ食べてくださいよ!俺の大好きな店屋の味に近づけたメシなんです!」

「お?なんとも香ばしい香りだがやけに茶色いのお。しかも下の白い粒はなんじゃ?」

「特製ソースとでも言うんですかね。まぁ食べてみてください。はい、スプーン」

「・・・ん、んん。では頂くかな。」

「んん?う、旨いぞ?!なんじゃこりゃ?!こんなに茶色だから焦げて失敗したのかと思ったぞ!

それがなんと言う深いコクとこの何とも言えない香ばしさに甘じょっぱいタレ!しかもこの粒によくあうのぉ〜。しかもこの厚めに切った肉!これは何の肉じゃ?」

「それはピンクオークジェネラルですよ。」

「なに?これがあの高級肉か?!脂のノリも良くて食いごたえもあるしこれだけ濃厚な甘めのタレなのにしつこくはない。むしろ脂がサラサラと溶けるように甘くて旨い!旨い!旨いぞ!はっ!何と言う事じゃ。もう、のーなってしもうた。」

悲しそうに器を見つめるボビーさん。しっかり食べてもらおう!

「おかわりありますよぉ〜いっぱいあるんでどうぞ食べてください。お水もいれますねぇ。」

「おぉ!!!!すまんな!!!ありがたく頂くわい!」

「いえいえ」

チーーーーーーン

おっ!どうやら仕込んでおいた肉が焼けたな。んじゃ壺に入れよう。

俺はオーブンを開けて肉を確認するとジュージューいい音のするワイバーンのお肉ちゃんが良い香りと共に顔をだした。うおっ!これだけでもかなりうまそう!いや、いかん。ここで食ったらダメなやつだからな。さっ!壺だ。壺。俺はつけだれの中に肉を放り込んで蓋をしアイテムボックスに入れた。保温室はどう試そうか。ヨーグルトでも作りたいところだが流石に時間がかかるし、鑑定しよう。うん、ちゃんと保温も可能だし問題ないな。だけどやっぱり魔石が欲しいな。

「ボビーさん、これに魔石って付けられますか?」

「おお、コンロの右上に蓋があるじゃろ。そこを開けてみろ。くぼみがあるから。」

コンロの右上?あっこれか。

パカッ

あっくぼみだ。これだな。よし、はめてみるか。俺はアイテムボックスから魔石を取り出してはめてみる。すると緑の淡い光が全体を覆ってすぐに消えた。

「おお、魔石も持っとるのか。流石じゃのぉ。ほれ、使ってみろ。」

「はい。」

俺は魔力を少し流してコンロに火を付けてみてそこから魔力を流さずにしてみたがちゃんと火は付いている。うん、魔石もちゃんと動いてるな。よしよし。

「うむ、問題なさそうじゃな。」

「はい!こんなにも早く作って頂いてありがとうございます!」

「なに、ワシも楽しくての!やはり新しい物を作るのはワクワクするからな。」

「例えば商品の販売を始めると特注の製品とかもきっとでてくると思うんですけど作ってもらえたりしますか?」

「そうじゃのお。やはりそうなるな。うーん。よし、こういうのはどうじゃ?この辺りの職人にワシから仕事を振るというのでも構わんか。最終的にはワシがチェックは入れるしできの悪いものはもちろんださん。」


「その辺りはお任せしますよ。それに、付与魔法は俺じゃないとできないと思いますし俺も参加しますから。」

「ほうか。じゃ、最終工程だけワシとお主でやるっていうので、悪いが人を挟むからその分値が張るが良いか?」

「いいですよ。特注品ですし、それに周りの方にも潤って欲しいですからね。」

「お主は本当に職人タイプじゃな。商人にしとくにはもったいないわい。ワシのところでスキル磨かんか?」

「俺、不器用なんですよぉ〜」

「そうかぁ。残念じゃなあ。」

「ちなみに跡継ぎはいないんですか?」

「おっ?ワシの跡継ぎは王都で店を構えとるぞ。」

「へぇーーーー。流石ですね!」

「自慢の息子じゃ。おっ!孫娘もおるがお主、嫁にどうじゃ?」

「いやいやいや、そんな、何を急に。」

「お前さんのような男ならワシの目に入れても痛くない可愛い孫娘を嫁にやっても良いと思うてのお」

「そういうことは本人同士が決める事ですよ。それにそんな可愛い娘さんなら彼氏の一人や二人もうすでにいらっしゃいますよ。」

「そうかのぉ。ワシが生きてるうちにひ孫の顔が見たくてのぉ。」

「大丈夫ですって。すぐですよ。」

こっちは結婚早いからな。

「よし、んじゃ今度はキッチンストーブじゃ。ありゃ明日に作るかの。流石にこれだけの大きな物を組み上げると1日一台が限界じゃわい。」

「そうなんですね。魔力をそんなに使うんですね。他の仕事ができなくなりますね。こりゃ手間賃値上げしないと割にあいませんね。」

「他の職人ならそうかもしれんがワシはそんなに他の仕事を持っとらんでな。全然かまわんよ。」

「そうですかぁ〜うーん。」

「まあ、気にするな。それよりこのタレ売ってないのか?孫娘にも食わしてやりたいのぉ。これなら安い肉でもうまく食えるからなぁ。」

「タレの販売かぁ。そっちも進めないとなぁ。なんか、やる事が多すぎて全然進んでないんですよ。」

「そうかぁ。才能がありすぎるのも大変じゃのぉ。」

「いや、そういう訳ではないんですけど、俺が商売の才能がなさすぎてうまく進められないと言ったほうが正しいかも知れません。」

「それなら、それを得意とする者に振ってやって多くの者を富ませてやればいい。小者の商人なら利益の独り占めをする奴も多いが大商会にまで上り詰めたもんは大抵多くの人間を富ませながらさらに大きな利益を生む。中には職人の賃金を下げて利益を生み出す奴もおるがお主はどうやら職人を大事にしてくれそうだからな。できれば商人と職人の良い関係を築いて欲しいもんじゃ。」

「そうですね。俺もどちらかというと販売とか苦手みたいですし、ボビーさんと物を作るのは楽しいですから他の職人さんとも良い関係を築いていきたいですね。」

「そうかそうか。ますます、孫娘の旦那に欲しいのぉ。」

「いや、ですから」

「おい、ボビー、その辺にしとけ。年寄りのお節介になるぞ。お主の大切に思う孫娘ならば、きっと良い男を連れてくるであろう。信じてやるのも愛情だぞ。」

グリがすごい良いこと言ってる。その辺はやはり王だからなのかな。

「そうじゃな。どうも、孫というのはいかん。可愛くて仕方がなくてなぁ。つい、お節介をしたくなってしまう。娘の時も可愛かったがこれ程までではなかったんじゃ。不思議なもんじゃ。」

「そういう者だ。ひ孫なんてきっともっと可愛いぞ。」

「流石に長生きは言うことが違うのぉ。」

こうして和やかな時を過ごして明日のキッチンストーブの製作を任せて今度はグリのとったポイズンスネークをさばいてもらうために冒険者ギルドへと向かった。


読んで頂きありがとうございます。

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