86.俺とテントと浄化槽
「あっ! タクミさん。こんちは〜」
「タクミ君、いらっしゃい。」
「ヘンリーさん、先日は多額の報酬をありがとうございます!目が飛び出るかと思いましたよ!」
「いやぁ、本当はもっと出したかったんだけどねぇ〜。」
「いや、十分すぎて使いきれません。」
「タクミ君は倹約家だなぁ。そうだ!家でも建てる?うちの土地に建てればいいからさぁ。私はうちにずーーーーっといて欲しいけどやっぱりあの城古いし使いにくいよねぇ〜。」
「いやいやいやいや、古いとかそんな事は思った事ないですけどキッチンとかお借りするのが申し訳なくて。」
「まあ、大勢使うから使い辛いよねぇ〜」
「いやいやいや、そう言うわけではないんですが仕事の邪魔をしたら悪いですからね。」
「本当にそんな事は気にしなくてもいーのに。そうだ!タクミ君の専用キッチンを城に作るとか?そうだ!それがいいよ!ね!アーロン?」
「はい、構いませんがそうなりますと全屋敷に作りますか?」
「は?全屋敷?とにかく大丈夫ですから!それにお屋敷で生活させて頂いて隣の部屋に行くのも転移してマーニン島の家に行くのも何もかわりませんから、そんな俺なんかにペニー使わないでください。」
「そっかぁ。なんだぁ残念。」
「ところで話は変わりますがタクミ殿は私に何かご用があるとかジョージから聞いておりますが何かお困りごとでもございましたか?」
「あの、実は・・・」
俺は手短にテントの作りの説明をしてファスティトカロンのヒゲを使ったテントを作りたいので職人さんを紹介して欲しいと話をした。
「なるほど、また便利な物を考えましたね。そして以前お話しされていたアイテムボックスを繋げて部屋の拡張を行いインテリアも備え付けた物を販売すると言う事ですね。」
「はい。低価格の物はアイテムボックスなしで1人ないし2人用。アイテムボックスを付けたものも中身は何も付けていないものとインテリア付きの物を考えてます。インテリアも自分でこだわりたい貴族の方にはこちらの用意するものはきっとお気に召さないかと思うんですよ。」
「なるほど。たしかにそうかもしれません。それとは別に追加のペニーを取ってテントの外側に紋章や好きなデザインを刺繍するというのはどうでしょう?」
「あっ!それいいですね。それだと特別注文になるけど既製品との差別化ができますね。」
「ええ、後は染色などもいいですね。」
「たしかに、フィッツロイ家のテントはオシャレですよね。」
「ありがとうタクミ君。」
「あとは、職人さんなんですよ。作ってくれそうな職人さんはご存知ないですか?」
「そうですねぇ。それでしたらフッフッフッフッフッ」
「ど、どうしました???急に目がガッツリ光ってますけど・・・」
「あ!アーロン、そう言うことか!」
「はい。ヘンリー様」
「え?あの?わかるように説明して下さいよ。」
「実はヘンリー様は領地を他に二つお持ちなのですが、どちらもあまり経営状態がここのところ良くないのです。一つは理由がわかっているのですがもう一つはなぜ、そんなに貧しくなっているのかがわからないのです。そこで調査に今、人をやっておりまして、もう一つの理由のわかっている方から経営の立て直しを行いに30日後位に出立しようと思っていたのですがタクミ様も行きませんか?」
「はい?」
「いえね、そちらの領地にはダンジョンもあって
良い材料が取れるので良い布も手に入るはずですよ。しかもご自分で倒せば布代もタダになりますよ。タダ!ムフフフフフどうです?行きませんか?ダンジョンからの素材がたくさん流れるので
いい職人もあちらの方が揃ってますし。織物などはこちらよりも私どもの向かうザマゼットと言う領地の方が素晴らしい人材が揃ってます。どうです?行きましょうよ!お店もマーガレットさんが上手くやっているようですし30日後ならばお店も多少落ち着く頃でしょう?」
「いや、え?こっちのリッチモンドは大丈夫なんですか?」
「はい。というのもタクミ殿がこの鉱山を見つけて下さいましたので、ここは誰が運営しても傾く事はないでしょう。あっ、もちろん城とか馬鹿みたいに建てたらどうなるかわかりませんが、真面目に普通にやってれば問題ないです。しかもここはこのグランド王国の王家にとっても大事な土地ですから、まずおかしくなる事は無いのです。それにヘンリー様の代わりとして仕事をする代官も有能ですし、もうすでに公共事業である鉛菅の手配も完了しています。あとは随所に職人を派遣して施工するのみです。そういう訳でこちらでの問題はあとは代官に任せ次の問題に手をつけなくてはなりません。」
「あの、その事ですけど川に肉を捨てに来る人とかいますけど、あれ止めさせないと病気の原因になりますが、何か整備する手立てはないんでしょうか?あと街中の排泄物を捨てる人達とかも気になりますし。」
「それですがまず、トイレを建物に設置して浄化槽に流れ込むようにと設置を考えてはいるのですが自動浄化はやはり魔石が必要で建物ごとの設置となりますと、かなり高価になりまして今すぐにはコスト面で実現ができなさそうなのです。そこで浄化魔法の使える者を雇う事も視野に入れましたが浄化魔法は光属性なのであまり人材の確保ができないため従来の方法で汚物を集めて大きな浄化槽を魔石で動かし処理する予定でタクミ殿に浄化槽作成を依頼しようと考えておりまた。」
「そうだったんですか。ちなみに下水とかは作れないんですか?」
「下水ですか。それも考えましたがやはりコストの面で難しいですね。水自体が貴重ですから。それに鉛の事がありかなりの出費で今季の予算は使い果たしてしまいました。鉱山が見つかり実入りはありましたが、すぐには収入にはなりませんし、これは来季の予算となりますので使えないのです。」
「なるほど、経営って難しいですね。」
「いえ、ですがこれで恐ろしい病から解放されるとなれば来季に各建物にトイレを設置してスムーズに回収が行えるようにきちんと取り組むつもりです。」
「今は汲み取り人が汲み取りに行ってそのあと焼却屋が処分するんでしたっけ?」
「はい、そうです。」
「汲み取り人がいるのになぜあんなに汚れているんでしょうか?」
「えぇ、汲み取り人も費用がかかるので、それで貧しい地域は道や川に捨てるものが後を絶ちません。」
「あぁー。なるほど。」
「一応罰金を課してるけど、減らないしねぇ。
それに汲み取り人が集めた物を川に捨ててるからねぇ。」
「そっかぁー。それが今まで当たり前だったんですもんね。汲み取りに関しても汲み取り料をタダにするくらいしか方法はないのかなぁ。」
「その点につきましても手配済みです。やはりタダにはできませんので今後は既存の汲み取り人を全て領地の職員として雇用し、浄化槽に運ばせ処理する事を考えています。そうすれば浄化槽と魔石の組み合わせにしても実現可能なコストになってきますから。そして汲み取り料は家賃にのせます。汲み取り料を税のように徴収すれば道に捨てる者も居なくなるでしょう。」
「反発がありませんか?」
「本来、皆、汲み取り料を支払って汲み取り人に汲み取りさせなければ罰金なのです。それが個々の徴収ではなく始めから支払われるだけの事です。それに反発は抑えます。これを怠れば多くの死者がでる病になりますから。」
「なるほど。ちなみに汲み取り料っていくらなんです?」
「以前は各汲み取り人によりバラバラでしたが今後は、富裕層の地域は1日1ペニー庶民や貧しい地域は1日1ファージングから2ファージングを徴収予定です。」
「そんなに高いわけではないんですね。」
「はい。ですからこれは徹底するつもりです。集めた物は浄化槽で綺麗にし固形物は焼却処分。残った物は肥料として農地へ売却。これで多少はなんとかなります。」
「なるほど。何でもペニーがかかりますねぇ。」
「そうですね。しかしこれは仕方のない事ですしこの領地は幸運です。恐ろしい死の病にかからずに済みますし清潔で匂いに悩まされず生活できるようになります。さらに鉱山も見つかったので実現できるのです。鉱山がなかったら浄化槽の処理場であったり汲み取り人の雇用は難しかったと思いますからそれを思えばかなり幸運ですよ。庶民も命と引き換えると思えば安い物ではないでしょうか?」
「これで安心しました。先日、川掃除をして恐ろしい臭気でやばかったんですよ。いつでも浄化槽作りますから言ってくださいね。」
「はい、早くても来季にならなければ予算がないので、その頃にまたお願いします。」
「あの、何でしたら無料で作りますよ。どでかいやつ。使うのは土魔法ですし、俺の能力と土だけで作れますから。」
「いや、それはいけません!そんなことをして頂いては・・・」
「あの、試運転とかほらお試しって事でどうですか?」
「いやいやいや、以前にもそれはお話ししたはずですよ。」
「わかりました、じゃあこうしましょう。
来季まで試験期間としてリッチモンドで使って頂き耐久性とか故障が起きないかとかそういう情報を俺に教えて下さい。そして来季までの期間で有用性が確認できたら是非宣伝をお願いします。そしたらこちらは宣伝費をかけずに違う領地からきっと浄化槽の発注やもしくは個人宅での発注がくるかもしれません。大きなお屋敷とかきっと結構な汲み取り料が取られてると思いますし浄化槽を取り付けて魔石付きの自動浄化にすればそのお屋敷内は汚物の臭いが消えますからね。あの汚物溜め周辺って結構な臭いじゃないですか?だから個別でつけるという方も中にはでてみえるかもしれません。そうなれば俺は儲かりますし助かります。これはいわば交換条件です。もちろん壊れた時の補修も行います。そして来季からは使用料を頂くというのでどうでしょう?俺としては早く街が綺麗になってくれた方が病気にもなりにくいし住みやすいですから。これは俺にもメリットがあるんです。」
「タクミ君、本当に君はそれでいいのかい?」
「はい、あの川見たら来季まで待つとか悠長な事言ってられませんよ。」
「わかった。君がそこまで言ってくれるなら是非、制作をお願いしたい。アーロン手配できるか?」
「はい。ただちに行います。ではタクミ殿、私達はあとこちらに4日ほど滞在して船で急いで戻りますのでそれから制作の依頼を出してもよろしいでしょうか?」
「あの4日後に迎えにきますよ。俺」
「よろしいのですか???」
「ええ、転移するだけですから。」
ガシッ!
「ぜひ!お願いします!」
肩をつかまれながらやる気満々の目でアーロンさんに頼まれた。
「え、ええ。はい。」
「すまねえな。タクミ、船でレイスにかなり襲われてろくに寝てられなかったんだわ。」
「そうだったんですか?大変でしたねぇ。」
「ええ、非常に助かります。」
「わかりました。じゃあ4日後の朝?夜?どちらがよろしいですか?」
「船で帰るつもりでしたので4日後にとお伝えしましたが、それでしたらヘンリー様、3日後の夕方にでもお願いしますか?」
「そうだね。そうしよっか?」
「では3日後の夕方頃にお願いします。何から何まで申し訳ございません。」
「いえ、なんて事ないですよ。じゃあ、30日後の件は俺一人じゃ決められませんしまた3日後までにお供するか決めておきます。」
「そうだね。グリ殿に相談しなきゃね。」
「はい!ではこれで失礼します。」
「はーいまたねぇー」
俺は転移してマーニン島にもどる。
会話でも改行は必要ないというコメントを頂きましたので改行を外しました。
作者としましてはスペースなどの余白や改行のある方が読みやすいと感じていたので今まで行っていましたが感想欄に読みにくい、改行が多い、必要ない、句読点が多い等頂きました為、私と致しましては改行したい所も書いた後に全て取り払いアップ致しました。
もし、この方が読みやすい又は今までの物で問題がない等、感想を頂けますと有難いです。




