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82.一口コンロ

「ワシはそんなもん作らんと言ったら作らんのだ!

帰れぇーーーー!!!!!

何度来ても同じじゃーーーーー!!!!」


な、なんだ?めっちゃ怒鳴り声がするぞ。


「おい、またボビー爺さんが吠えてるぞ。」


「いつもの事だろ。どうせまた、依頼を断ってるのさ。」


「またかよ。今は打った剣の手入れくらいしかしてねぇんだよな?」


「ああ、でもよ。相当儲けたから金には困ってねぇし

今は好きな物しか打たねぇんだ。羨ましい限りだぜ。」


「ああ、そのくせ、打って欲しいっつう客は後をたたねえんだ。」


「そうだよな。ま、そんだけ腕がいいのは認めるがよ。」


「ああ、あのこだわりの強さじゃあなぁ。」


二人の鍛治職人の見習いが聞こえてきた工房の方を見て話をしていた。この辺りは鍛冶屋の工房が軒を連ねる地域で基本的に火魔法を扱うため火事になる可能性があるので、どこの城塞都市でも城壁の中の住民が住む地域からは遠く離れた場所に指定がされているそうだ。

ちなみにその、怒鳴り声が聞こえてきた工房。

残念ながら俺が今から訪ねる紹介された工房だ。

タイミング悪すぎだろ。ハァ。

いや、そんな事で負けてられるか!

そうだ!俺はコンロが欲しい!よし、頑張るぞ!

俺は工房へと向かうと中にいる人に声をかけた。

ドワーフの老人だ。


「すみません、冒険者ギルドのギルドマスターの紹介で訪ねてきたタクミと言いますがボビーさんはいらっしゃいますか?」


「あ?ワシがボビーじゃ。カミルの紹介か?

なんだ、あんた冒険者か?」


「はい、実は作ってもらいたいものがあってこちらにお邪魔しました。」


「ワシは剣や鎧は作らんぞ。飽きてしもうたんじゃ。

悪いが他を当たってくれ。」


「あの、武器じゃないんです。

調理器具なんですけど、新しい物なので話だけでも聞いてもらえませんか?」


「ん?新しい物?話だけなら聞いてやるよ。

作るか作らんかはまた別の話じゃ。良いか?」


「はい。実は・・・」


俺はまず鉄製の調理ができるキッチンストーブとコンロ、そして風魔法を付与して作るフードプロセッサーやミキサーの説明をした。すると、


「おお!そりゃ面白そうじゃ!ワシはそう言う

新しい物を作るのが好きでの。ありきたりはつまらん!

兄さん、面白いのぉ。気に入ったぞい。それ、作ってやるわ。」


「本当ですか?実は断られると思っていたんですよ。」


「はっはっは。他の鍛冶屋は断るじゃろう。

あいつらは武器や鎧、ナイフが多いし

新しい事は面倒臭がってやらんからな。」


「じゃボビーさんは何で新しい物を?」


「ワシは大きな声はで言えんが武器や鎧のスキルがレベル10でもうこれ以上は上がらんのじゃ。」


「え?そうなんですか?レベル10がマックスなんですか?」


「お主、そんな事もしらんのか?

そうじゃ、だからこれ以上やっても何も変わらんし、

それなら新しい物を作って他のスキルを磨こうと思っての。

だが、来るのは武器ばかりで飽き飽きしとったんじゃ。」


「それはボビーさんの腕がいいからですよ。」


「まあなぁ。

だが、ワシばかりに頼られても次の若い奴が育たんじゃろ?

そう言う奴に仕事回してやらんとな。」


この人、実はめっちゃいい人じゃん。


「じゃあ、作ってもらえますか?

あと、付与魔法は俺ができるので俺がやるとしてこの火が出るところの土台と調整するつまみにあと鍋やフライパンを置くごとくを作ってもらいたいんです。」


「兄さん、絵は描けるか?」


「あっはい!」


「ほれ、これ使え。」


「ありがとうございます。」


俺は渡された木の板に羽ペンでコンロの絵を描いていく。

あと暖炉とフードプロセッサーもだ。


「だが兄さん。あんたこの、薪を使わねえコンロっちゅうもんがあったらこっちのキッチンストーブはいらんじゃろ?」


「あっ、俺はそうなんですけどゆくゆくは商品として販売しようと思ってるんですよ。」


「何?お主、冒険者じゃないのか?

見たところテイマーのようだが。」


「あっ、つい最近特許状を授かって商売もできるようになったんです。」


「おお〜あんたがそうなのか。

ほぉ〜、冒険者と商売か。器用じゃのう。」


「いえ、俺は商売に向かないんですけど代わりに才能のある人に経営を任せてます。」


「なるほど、お主はあれだな。卸業者タイプか。」


「そうなんです。でも騙されやすいし危ないから経営者として表に出なくて済むように周りが環境を整えてくれて。」


「はぁーん。なるほどの。たしかにすーぐ騙されそうな感じじゃな。しかし商品にするにしたってこっちの方が儲かるじゃろ?」


コンロをトントン指で叩いて話をするボビーさん。


「まあ、そうなんでしょうけどね。

きっと高価になると思うんですよ。

だから薪を使った方なら貴族や上級冒険者じゃなくても手に入れられるかなぁと思ったんです。」


「ほうほう、そう言うことか。

なあ、これをアイアンにした理由はなんだ?」


「熱に強くてレンガでは持ち運びができないからです。」


「なるほど、たしかにアイアンも重いがレンガとなるとさらに、重いな。」


「はい。そうなんです。」


「このキッチンストーブから出てるやつは煙突か?」


「はい。筒にして煙を外に逃がす仕組みです。

もしくは家の他の部屋にこの筒を通して部屋を暖めます。」


「なるほど、面白いな。そうなると持ち運びタイプと家に設置するタイプはこの筒の形が変わるなぁ。」


「そうですね。持ち運びタイプは短めになりますね。」


「うん、こりゃ面白いな。こっちのコンロは

薪を使わねえから、かなり軽くなるな。」


「そうですね。ただこの絵は一口ですけど

俺が使いたいのは3口以上欲しいんですよ。」


「そうなるとでかくなるな。」


「はい。一口の物は冒険者が温かいスープが飲めるようにと思ったんです。」


「なるほどな。だが、そいつらに買えるか?」


「どうなんでしょう?コストダウンできれば」


「そうだなぁ。こいつは全体的に熱くなるよな?」


「そうなんですよ。それが問題で。」


「うーん。そうだなぁ。」


「熱が伝わらないような板とかがあれば良いんですけどそんな物ないですもんね。」


「ん?あるぞ。熱が伝わらねえ板じゃねえがそう言う石があるんだ。」


「え?!そんな石があるんですか?」


「ああ、水石って言ってな。熱が伝わらねえから

加工するのは粉にするしかなくてな。

粉にしたやつを水と混ぜて練るとよ、粘り気が出てきて風魔法で水分飛ばして乾燥させると固まって石板に加工できるんだが、

たいして使い道がなくてな。」


「え?防火扉とかに良さそうですけど。」


「そうなんだが、レンガほどは耐久性もなくて熱にはびくともしねえが衝撃には強くねえからあんまり使われねぇんだ。」


「なるほど、そんなに簡単に割れるんですか?」


「落としたくらいじゃ割れねえが防火扉なんてつける家は

お城や大きなお屋敷くらいだ。

キッチンの扉くらいにしか使われてねえんじゃねえかな。

しかもそんな頻繁に家建てる金持ちはそうはいねえからな。」


「そうか。ちなみにその水石って高いんですか?」


「いいや、川に落ちてる石はほぼ水石だぞ。」


「え?そうなんですか?

じゃあ、もしかしてめちゃくちゃ安い?」


「むしろただじゃねえか?

かかるとしても水石なんて拾ってくるやつの日当くらいだろ?」


「それだ!それですよ!」


「うん?」


「キッチンストーブは全体的にアイアンになりますけどその周りをこの水石で覆うことで安全性がアップします!

さらにコンロは水石で作ればいいんじゃないですか?」


「問題は水石に付与魔法が効くかどうかだな。」


「そうですね。もし効かなければ一番上の板はアイアンを敷いてそこに付与魔法をかけます。

どちらにしてもごとくは要りますね。」


「ああ、鍋やら置くところだな。」


「はい。」


「だがもし、アイアンをこの、ごとくだけしか使わないならかなりコストダウンだな。

むしろコンロの方が安くできるぞ。」


「そうですね。ただ性能は薪の暖炉タイプのコンロの方が

オーブンもあるので色々作れるんですよね。

もし水石でコンロが作れるなら、内側はアイアンにして

外側は水石の箱型を作って上部か正面奥に火属性の付与魔法をつけたらこっちもオーブンができますよね。」


「そうだな。水石は軽いしなぁ。」


「あっ!でも、待ってください。

これ、水に濡れたらどうなるんです?」


「ん、どうもならんぞ。こいつは錬金釜で粉にせんと加工できねえから水に触れても何ともねえよ。

じゃなきゃ川に転がってねえだろ?」


「そっか!でも、もしこれが成功すれば

キッチンストーブがいらなくなりますね。」


「そうだなぁ。まあ、薪の良さもあるし

作るだけ作ってみりゃいいさ。

こりゃ楽しみじゃわい。

あとこっちのやつだが、フードプロセッサーか?

こいつはどうする?」


「これも熱が伝わらない方が嬉しいですけど

この水石って刃物にしたら斬れ味はどうですか?」


「あー、こいつはダメだな。刃物にはならんな。

なんせ熱を通さねえから練る以外加工できねえんだわ。

削るにしてもたいして斬れ味はよくねえな。」


「そうかぁー。うーん。」


「おい、タクミ、あの鉱石があるではないか。」


「あ゛忘れてた。」


「おお!喋るのか!すごい魔物だの!」


「え、ええ。酒も大好きな俺の家族みたいなもんです。」


「おお?!酒好きか?!そりゃいい!

この従魔は何と言うんじゃ?」


「グリです。」


「ほーか。グリか。ええ名じゃ。

ところでグリよ。その鉱石とは何だ?」


「我が見つけた鉱石だ。」


「これです。」


「ミスリルじゃねぇか!」


「ええ、たまたまグリが鉱山発見して

今、領主さん達が調査に行ってます。」


「へぇーーーー!!!こりゃすごいの。

てことはお主、ペニーはたんまりあるな?」


「いや、まだもらってませんから何とも。」


「まあ、ここの領主は良い領主だから、きっとはずんでくれるさ。

じゃ、材料費も出せるな?」


「それはもちろんと、言いたいところですが

いくらかかりますかね?それによっては何とも」


「確かにの。間違いないな。よし。

で、刃はこのミスリルを使うのか?

これなら文句なしによく斬れるが何を斬るんだ?」


「あ、肉です。魔物の肉。ぐちゃぐちゃにしたいんですよ。

ちょっとお肉の硬い部分があったのでそれをぐちゃぐちゃに潰して料理したいんです。」


「ミスリルを使って料理か!はっはっはっ!面白いやつだ!

だが、これだけの量があれば包丁も五、六本はできるぞ。」


「あっ、じゃあ皮むき器とミキサーと包丁と

おろし用のスライサー作ってもらえますか?」


「待て待て、よくわからん物まで、出てきおった。

とりあえず包丁はわかるがあとはわからんぞ。」


「じゃあこっちは後回しでキッチンストーブやコンロからやりましょうよ。」


「そうじゃの。こりゃ楽しみじゃ。

とりあえずコンロの方が先にできるはずじゃ。

まずは試しに一口コンロを作ってそのあと3口を作ろう。

それからこっちのやつみたいにオーブンと保温室も下につけるか?」


「そうですね。それでお願いします。

オーブンは板が2枚か3枚引き出しみたいに段にしてアイアンの板を入れたいです。」


「ふむふむ付与魔法の位置はどうする?」


「一番上につけて後は風魔法で対流させて蒸し焼きにできるようになったら嬉しいです。」


「なるほど、それなら一気に温度も上がるな。」


「そうですね。下の段のものもムラなく火が通ります。」


「うむ、いいのぉ。いいのぉ。」


「キッチンストーブは薪の火の力で熱が伝わりますので特に付与魔法は使いません。」


「ふむふむ、よし、じゃあとりあえずこの三つだな。

大きさはどうする?」


「高さは80センチ前後で幅は90センチ前後かなぁ。

その位ないと三口は、厳しいかなあ?

あと奥行きは60センチ前後ないと薪のスペースが確保できないしオーブンも小さくなるよなぁ?どうですかねぇ?」


「そうだな。微調整はワシに任せろ。

一度そのくらいでキッチンストーブと三口コンロのオーブン付きを作るとして始めは一口コンロからだ。

それのサイズはどうする?」


「単純計算で幅30センチ前後で奥行きも同じくらいですかねぇ。高さはどうしましょう?」


「うーむ。脚をつけてやらないと直置きになるから足をつけて

水石の板にごとくのせて10センチ以下じゃないか?

あんまり高すぎても使いにくくなるだけだしな。」


「そうですね。じゃあそれで。」


「じゃあ、一口のやつはできてからでも問題ないがこのオーブンは途中段階の板を組み上げる前に付与魔法を板にしてもらいたいのお。」


「そうなりますね。俺、その時にまたよらせてもらいますよ。」


「うむ、とりあえず一口だな。こりゃ水石を取りに行かんといかんな。」


「あの、もしかして一口は水石があったらすぐに作れるんですか?」


「そうじゃな。ごとくもすぐできるな。

アイアンは売るほどあるからのぉ。」


「あの、水石を今から俺とってきても良いですか?」


「がっはっはっはっ!お主も楽しみで仕方ないか?」


「お主も?」


「ワシは今すぐ取りに行きたいところじゃ。」


「なんか、決まった石とかありますか?」


「いや、どんなもんでも構わんぞ。」


「じゃ、俺今から採ってきますがいくつ位

必要になりますかね?」


「そうだな?ざっと一口コンロなら10センチくらいの石を9つもあれば十分だろう。」


「わかりました!行ってきます。」


「うむ、川はほれ、そこの川で大丈夫だからな。」


「はい!」


そして俺はダッシュで石を適当に拾ってすぐにボビーさんの元に戻る。


「これで大丈夫ですか?」


「ああ、んじゃ粉にするか。」


「俺、錬金釜持ってるんでやりますよ。」


「ほぉー。錬金術も使えるのか?お主器用なやつだな。」


「あははは。」


俺は神の錬金釜を出してすぐに粉にする。


「お主の錬金釜、かなり質の良い物じゃな。

ここまで細かいとは。恐れ入ったわい。

んじゃ、見てろよ。」


ボビーさんは水瓶から水を取り出し粉に少しだけかけて

一気にこね始めた。

するとみるみるうちにパン生地のようになりそれを

手際よく伸ばして30センチ程度の正方形を作り出し

厚みも恐ろしく均等に伸ばし終わると今度はごとくを置くためのくぼみと脚を付け仕上げにボビーさんが魔法をかけた。


「エバポレーション」


こねて粘土のようになって作られた水石の板は水を蒸発させてどうやら固まったようだ。

ボビーさんがひっくり返してカタカタしないか確認しているが

恐ろしく水平で厚みも均等、これぞまさに職人技だ!


「うむ、良さそうじゃ。これに付与魔法を試してくれ。」


「はい。」


俺は火属性の付与魔法を中心にかける。

ちなみに火力調整のつまみはなし。

というのも魔力を注ぐ量で火の強弱が出るから要らないんじゃ

ないかという指摘をボビーさんからうけて、たしかにそうだ!

と納得してつまみは無くした。

つまりかなりシンプルに出来上がる。

さて、付与魔法は水石にかけられるのか。

さらに点火して火が出るかが問題だ。

すると水石の台座は光を放ち中心に魔法陣が描かれた。


「よし!成功だ!」


「どれ、ワシが魔力を注いでみよう。」


ボッ!


「ついた!よし、もう少し注いでみるぞ。」


「うむ、ちゃんと強弱もできるようじゃ。

しかし、微量だが注ぎ続けねばならぬなぁ。」


「となるとやはり魔石がいりますね。」


「うむ、そうなるな。例えばじゃが、低価格の物は魔石なしで

高価な物は魔石をつければ良いのではないか?

そうすれば薪の方も売れると思うぞ。」


「そうですね。それがいいですね。」


最後はごとくだけだが・・・。


「んじゃ、ワシの出番じゃ、ちょいと待っとれ。

作業場で作ってくるからの。」


「はいっ。」


ボビーさんは奥の部屋へと入っていき、しばらくすると緑色の光が漏れてきた。できたかな?

そしてボビーさんは手には六角形の俺が描いた絵と同じような

アイアンでできたごとくを持っていた。


「やった!できた。」


「そりゃアイアンはワシの本業じゃからなっ。」


「はい。では設置お願いします。」


「うむ、よし・・・そうじゃな、フライパンを置いてみるか。」


ボビーさんはフライパンを奥から持ってきて作った

一口コンロに乗せてみる。


「うむ、これでちゃんと火が伝わり熱せられて調理ができるかじゃ。」


「あの、肉を焼いてみてもいいですか?」


「おう、良いぞ。」


んじゃ、やっぱりこの肉だよな。

俺はスライス肉を出してフライパンにのせ魔力を注ぐ。


するとちゃんと熱が伝わり肉が踊るように焼けてきた。

俺はさらに盛って次はステーキ肉だ。

うん、火力の調整も自由自在だ。

これならイケる!


「ボビーさん、そのお肉このタレをつけて食べてみてください。」


「何やら綺麗なサシが入っておったがどれ。」


「んんんんんん!!!!」


「どうしました?!」


「なんじゃ?!この肉!ほっぺが落ちそうなほど旨いぞ?!」


「あっ、ワイバーンの肉なんですよ。」


「それでか?!こんなに旨いのか!!!

いやぁー楽しい仕事に旨い肉!たまらんのぉ!」


「喜んでもらえてよかったです。

ところでまず、この一口コンロの制作代はいくらになりますか?」


「そうだな。これは材料費を含めて8ペニーくらいかのぉ。

アイアンが5ペニーで手間賃が3ペニーってとこだ。

これを売るとなると24ペニーから32ペニーってとこだが、

かなり破格だぞ。」


「32ペニーでも安いんですか?」


「当たり前じゃ、お主、本当に商人には向かんな。

このフライパンが32ペニーじゃ。なんなら50ペニーでも安いぞ。付与魔法がついとるからな。」


「そうですかぁ。冒険者にも買えますかね?」


「うむ、50ペニーでも買えるだろうな。」


「まあ、商品にする価格はおいおい相談して決めます。

俺じゃ価値も適正価格もわからないんで」


「そうじゃな。これが三口の物でワシの卸価格は21ペニーで

オーブン付きとなると61ペニーから70ペニーくらいになるかの。やはりほとんどアイアンの材料費だな。

お主の付与魔法とあとは魔石付きを作ると魔石代もいるな。

コンロはこんなもんじゃ。

薪のキッチンストーブはアイアン代がかさむのぉ。

最低でも350ペニーはアイアン代がかかるの。

こりゃかなり高額商品になるわい。」


「そうですね。そこに手間賃が入ってどのくらいですか?」


「ま、360ペニーくらいかの?」


「そうですか。ただ、付与魔法がいらないので鍛冶屋さんなら

誰でも作れる商品ですね。」


「そうじゃなぁ。同じ物を複製できる者がおるからそういう奴が複製すれば質は劣るが模造品は作れるな。

しかし付与魔法の物は相当スキルがないとできないはずじゃし

もしくはその付与魔法を使えぬと組み込まれぬはずじゃからのぉ。」


「複製魔法使える人がいるんですか?!」


「おう、特殊スキルで数もかなり少ないしスキルを磨くのもかなり大変でせいぜいその系統の複写魔法を使える者くらいじゃがな。」


「あの、実は俺、使えるんですよ。」


「何?!お主、とんでもなく凄いやつじゃな!

だが、それはいいぞ!

ワシは新しいものを作ったら飽きてしまうから同じ物を

作れと言われるのがあまり好きじゃないんじゃ。

商品にするなら、ワシの作った物を複製すりゃあいいが、

どの程度の複製だ?

あまり品質が劣るようなら使えんが・・・。」


「見せますね。」


俺はミスリルを取り出してコピーした。

さらに置いてあるフライパンもついでにコピーした。


「どうぞ。」


「こりゃ、たまげた!なんてこった!お主、完璧じゃねえか!」


「そうですか。もし、ボビーさんが複製してもいいと仰って

許可を下さるなら俺コピーして商品にしようと思います。

そのかわり一台売れるごとにいくらかお支払いするというのでどうでしょうか?」


「あんた、お人好しって言われねえか?」


「え?はい。よく言われます。」


「だよなぁ。黙ってればわかんねえ事をよぉ。

そんな正直に手の内を明かしちまって。

ましてやペニーまで払うとは。」


「だって隠れてコソコソ商売したくないですし

それに、俺の発想なんかより良い物なんていくらでもボビーさんなら作れちゃうと思いますし。

それに制作協力費って事でボビーさんはペニーを受け取る権利があると思うんですよ。」


「じゃあ一台売れるごとに1ペニーくれや。

そしたらお前さんの気も済むじゃろ?」


「えっ!少ないですよ!」


「なぁに。ワシはペニーに困っとらんし

無くなったらお前さんに泣きつくさ。

ハッハッハッハ。まず、そんな事はあり得んがな。

ワシは打った物の修理はするし

それに作ったこいつらがかけたり汚れたり

壊れたりしたらその修理をこっちに回してくれりゃワシは安泰じゃ。

直すのもスキルを磨くによいし、若い仕事の少ないやつらに回してやれるからのぉ。」


「そっか!わかりました!では、複製して

商品販売させてもらいますね。」


「おお、複製魔法持ちの特権だ!大いに使えばええよ。」


「じゃあこの一口コンロ、よければもらってください。」


「うむ、そうさせてもらうぞ。

オリジナルはお主に渡すからの。

で、今日の手間賃やら材料費はこれでチャラじゃ。」


「え?良いんですか?」


「そりゃそうじゃ、作った物を今後ワシが使うんじゃ。それに追加してペニーなどもらえるか。」


「はあ。ありがとうございます。」


「不服そうじゃな。んじゃ、ワイバーンの肉まで食わしてもらってペニーなどさらに取れんわい。」


「そ、そういう事ならお言葉に甘えます。」


「おう、それにこれから新しい物を作らにゃならんしな。

お主もペニーが必要じゃろ。

今日はこの辺にして明日また来るが良い。

明日も一緒に作らんか?」


「はい!お邪魔じゃなければ!」


「よしよし、んじゃ、明日も今日来たくらいの時間にこい。

それまでにアイアンやら水石の作業は進めておくでの。

付与魔法をしてもらいたいからそこまで

やっておくわい。」


「はい。よろしくお願いします。

じゃあ材料費だけ先にお渡ししましょうか?」


「いや、複製魔法が使えるならアイアンの鉱石を増やしてくれるか?

その方が余分な出費がなくて楽じゃろ?」


「はい、ありがたいです!」


「じゃ、この奥じゃ。ついてこい。」


部屋に入るとそこはアイアンの鉱石が置かれた倉庫があり、

かなり沢山置いてあった。


「お前さんが必要なのはこの1/3くらいじゃろ?

そのくらい増やしてくれりゃあいいよ。」


「わかりました。」


俺は部屋にある鉱石全部を一気にコピーして倍量にした。


「うお!なんちゅう量じゃ!お主魔力量を使いすぎではないか?大丈夫か?」


ものすごく心配そうな顔をしてくれるが残念ながら俺はなんともない。


「何ともないですよ。大丈夫です。」


「お主、何から何までズバ抜けておるのぉ。

不思議なやつじゃ。

だが、こんなにもらったら手間賃がとれなくなるじゃないか。」


「今日のお礼と今後のお付き合いの挨拶品とでも思ってください。」


「気前がいいのぉ。つくづく商人には向かんやつじゃわい。」


「俺もそう思います。」


「今日はこのあとは忙しいのか?」


「はい、冒険者ギルドに行かないと行けなくて。」


「そうか。そりゃ残念じゃ。

一杯やりたかったんだがまたの機会じゃな。」


「ボビーとやら、その時は我が相手をするぞ。

ムフフフフフ」


「おう!んじゃ、とりあえず明日また来いよ。」


「わかりました!よろしくお願いします。」


「うむ、じゃあな。」


「はい、失礼します。」


俺たちは店を出て今度は冒険者ギルドに戻る。

そろそろブルーオーガメイジとレッドオーガの解体も終わった頃だろう。


読んで頂きありがとうございます。

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