79.Aランク昇格
講習は1時間ほどで終わりそんな難しいものではなかった。
内容は緊急依頼がかかった時の対応とか護衛任務の時の
過ごし方とか、これ、講習する必要あるの?と
聞きたくなるような依頼者に対しての対応の仕方まで。
例えば礼儀正しくするとか当たり前の事ね。
そういう内容の講習だった。
もっと冒険者らしい講習かと思っていたけど実際
冒険者で講習を受ける人なんてある程度経験してきてるから
そういう講習は逆に必要ないらしい。
「とまあ、こんな具合だが、お前にはいらないかもしれないな。
公爵とずっと一緒にいるくらいだから必要最低限のことは身についているんだろう。」
「いえ、緊急依頼の時とかのこと知らなかったので勉強になりますよ。
ドッグタグが点滅したら緊急呼び出しって初めて知りました。」
「まあ、その呼び出しを使うようなレベルの冒険者は
基本Aランク以上だからな。」
「そうなんですね。」
「ああ、という事で、今日からお前はAランクだ。」
「はぁ?あげすぎじゃないですか?」
「上げすぎな物か!
グリフィンだけでもすでにSランクなんだぞ?
それを従魔にしてるんだ。何もおかしい事なんてないよ。」
「まあ、グリはたしかに最強かもしれません。
うーん、わかりました。」
「んじゃランク書き換えな。」
カミルさんがヴェラムを取り出してスラスラと文字を書き
「タクミ・イトウ Aランク 昇格!」
するとドッグタグが前に特許状を発令された時のように光り出した。
「よし、これで問題ない。んじゃ明日、取りに来いよ。報酬」
「はいっ。」
「そうそう、よかったらたまってる依頼引き受けてくれねえか?」
「物にもよりますけどいいですよ。」
「じゃあよぉ、これなんてどうだ?」
「そうですね。これならポヨにぴったりですね。」
「そうか、助かるよ。あまりにも酷くて流石になり手がいなくてな。」
「おい、どんな依頼なんだ?」
「川の掃除だよ。」
「うむ、たしかにポヨにぴったりだな。」
「んじゃ早速行ってきますよ。」
「頼むな。かなり汚えからよろしく頼むわ。」
「ちなみに範囲はここからここで詰まってるみたいだ。
この詰まりをとって川が流れればもういいからよ。」
「わかりました。聞く限りでは事故が起こりそうな感じですね。」
「そうなんだ。決壊寸前だ。よろしく頼む。」
「はーい」
俺たちは目的の川までトボトボ歩いて行くと腐敗臭がしてきた。
「おいおいおい、ここ、城壁内だよな?
なんでこんな肉の腐った匂いがするんだよ?!」
「タクミ、結界を早くしろ」
俺はすぐに結界をして匂いをシャットアウト!
どうなってんだよ?これは???
川に向かって歩いて行くと理由が目の前にあった。
不法投棄です。
しかも内臓とか諸々の生肉。
鑑定をかけると鳥とかのお肉。
どうやらお肉屋さんとか革のなめし職人とかが焼却屋に
払うペニーをケチって川に捨てにきてるようだ。
こんな事してたら川だって詰まるし病気になるぞ。
「ポヨ、とりあえず頼めるか?」
ポヨはすぐに分裂してあちらこちらに点在してゴミ処理を始めた。
俺も風魔法を使って川の水を堰き止めてポヨが流されないように工夫しながら作業を進めた。
ーーーーーーーーー2時間後
「フゥーーーーーー。なんとか終わったな。」
「だが、どうせすぐに捨てに来るのだろ?」
「だろうなぁ。なんとかならないのかな。」
「そんな物イタチごっこだ。
いくら環境を整えたところでやる奴はやるぞ。」
「グリ、魔物のくせに人の心理がよくわかるな。」
「長生きだからな。我を敬え。フフフ」
「ハイハイ。」
「んじゃ行くか。」
俺はクリーン魔法をかけてさらにポヨに綺麗にしてもらい転移で冒険者ギルドへ。
「あら?もう終わったの?」
「ええ、ポヨが頑張ってくれましたから。」
入ったらカミルさんとちょうど鉢合わせた。
「あの、焼却屋って高いんですか?」
「そんな事も無いはずなんだが、やる奴はやるんだよ。
一応罰金も科してるんだけどな。」
「へぇー」
「これは俺らが考える事じゃ無いさ。領主や国が考える事だ。
受付行って完遂報告してこい。」
「はいっ。」
俺たちはカウンターに行き依頼完遂チェックをお願いした。
これは現場に見に行かないとわからない内容なので報酬も明日となる。
「よし、そろそろいい時間だし城に戻るか。」
「そうだな。今日は夕飯はワイバーンの肉を食わせてくれるんだろうな。」
「ああ、もちろんだ。」
俺達は城に転移した。
「グリ、水浴びするか?」
「そうだな。ポヨ付き合え。」
すると城の方からアーロンさんが手を振っている。
「あれ?なんか呼ばれてるのかな?」
「おい、タクミ。きっと鉱石の事じゃないか?
お前は行ってこい。」
「わかった。んじゃ後でなぁー」
「タクミ殿!!!」
「は、はいっ!」
「タクミ殿!鉱石を見つけたとはまことですか?!」
「え、ええ、これです。かけらを持ってきました。
あと、何かに使えるかなぁーと思って
塊も持ってきちゃいました。
公爵家の物になるとは知らずにすみません。
お渡しします。」
「いえいえいえいえ、問題ないです。
そちら、お納めください。
他にも報酬として出させて頂きますが
これはとても使える鉱石ですから是非お持ちください。」
「そんな事より、ありがとうございます!!!
ブルーオーガメイジを倒して住民を助け、さらに
鉱石発見とは!!!しかもミスリルですよ!
ミ、ス、リ、ル!ムフフフフムフフフフムフフフフ」
「そんなに喜んでもらえるとは良かったです。」
「すぐに発掘調査隊を送って調査後採掘となります!」
「そうですかぁー。良かった良かった。」
「どの位の量があるかわかりませんので
なんとも言えませんが報酬、楽しみにしていてください。
ムフフフフフフフフ、あはははははははは!!」
やばっ。相当喜んでるわ。
とりあえず、この鉱石はもらっていいんだな。
ラッキー。
さて、ちょっとキッチンに行くか。
「すみません、火をお借りしますぅー。」
「どうぞ、タクミ様。」
メイクモデルをやってくれた使用人さんが
休憩室でまったりしていた。
この時間はみんな休憩時間。
もう少ししたら夕食の準備だからちゃっちゃとやろう。
俺はスライスした肉を置いてあるフライパンに乗せて
どんどん焼いていく。
すると匂いを嗅いでコック長がやってきた。
「タクミ様、この肉!もしや!」
「あっ、わかります?ワイバーン ですよ。」
「や、やはり!この芳しい香り!あぁ〜羨ましい。」
「コック長さんは召し上がった事あるんですか?」
「ええ、勉強のためにほんの少し以前に食べましたが・・・。」
「そうですか。これ、使わせてもらってるお礼です。」
焼けたお肉を皿に盛ってどうぞと差し出す。
「え!よ、よろしいんですか?」
「使わせてもらうお礼です。
休憩の邪魔してすみません。」
「とんでもない!では、後片付けは私やりますので使い終わったらそのままにしておいてください。
ポヨちゃんが見当たりませんからね。」
「あっ。すみません。じゃ、お言葉に甘えて。
あと、このタレもよかったらどうぞ。
つけて食べると美味しいと思います。」
香りを嗅いでタレだけを味見するコック長さん。
さすが料理人だ。
「うん、このタレもサッパリしていて美味しいですね。
では、一口目は何も付けずに。」
パクリッ
「う、う、うまいーーーーーーーーー!」
「この口の中でとろける感じ!
まさにワイバーン ですね。」
「どうもここと、もう一つの部位がそういう感じでした。
あとはジューシーで肉汁溢れる部分や色々部位によって
食感とかも異なりますね。」
「そうですか。そんな贅沢に食べ比べしたことが無いので。
あーここで働いててよかった!」
うん、幸せそうだ。
さて、ドンドン焼いていくぞー!
ーーーーーー1時間後
よしこんな物だろう。
俺は今日食べたステーキ肉とスライスした肉の
焼いたものと、しゃぶしゃぶした物を追加で用意した。
ゴマだれが欲しいところだが、ゴマがないので
たまりとリスボン水で作ったポン酢風なつけダレを
用意してアイテムボックスにしまう。
「ありがとうございました!」
「いえ、こちらこそ素晴らしいお肉をありがとうございますタクミ様。またどうぞ」
「はーーーい、あっ今日はメイン料理をこれ食べるので俺やグリの分はパンとかサラダを出してもらえると嬉しいです。」
「承知しました!」
さて、部屋に戻ってグリのブラッシングでもするかな。
俺が部屋に戻ろうとするとマーガレットさんが
城に来ていた。
「あれ?マーガレットさん、もうお店終了の時間ですか?」
「はい、それが予約にしていたんですが皆さん早めにお越しになって急いでやっていたら少し早く予約のお客様が終わりまして
今日は切り上げてきました。
一般の方が来られても一応お売りできないものですから。」
「そうですか。ちょっと待ってくださいね。
サロン使っていいか確認します」
「よろしいですよ。サロンにお通しする予定でしたから。」
「メアリーさん!」
「ウフフ、私も結果が待ち遠しくて」
「なるほど。実は俺も今日一日、ずっとソワソワしてたんですよ。」
「わかるわぁ〜さぁ、参りましょう。」
俺たちはサロンに入ると侍女さんがお茶を入れてくれる。
「では、今日の成果ですが予約頂いた全てのお客様から
鉛白粉の回収が済みまして、さらに皆さま我が商会の
商品をとてもお気に召して下さいまして基礎化粧品から
コントロールカラーなどのお化粧品に日焼け止めクリームなど
殆どの方がお買い求め下さいました。」
「おお!!!」
「もちろん転売防止でお一人様各一点までの販売とさせて頂きましたがゴネられる方もやはりいらっしゃいました。
主に大商会の奥様ですが。」
「転売しそうですわね。」
「ですから、そうなりますとお売りすること自体難しくなりますがと強気に出まして事態の終息に致しました。」
「あらあら、どちらの奥様かしら?
そーんなはしたない事しようとする方ウフフ」
メアリーさん、目が笑ってない。
基本お花が咲いてる雰囲気なのにね。
「あまりにも目に余る行動を取る方は今後目を光らせ入店禁止に致しますがよろしいでしょうか?」
「はい。マーガレットさんにお任せしますよ。」
「ありがとうございます。
では、本日の売り上げですが、総合計で6879ペニーとなりました!」
「ろ、ろくせん?!そんなに?!」
「はい、全てのお客様がフルセットお買い求め下さいましてこのような結果となりました。」
「オホホホホホ、よかったわぁー。
今日はいい夢がみられそうだわ。」
「やりましたね!マーガレットさん!」
「はい、始めの初期費用が材料費なども含めて3000ペニーですから1日で利益が3879ペニーです。」
「ということはこのまま、あと六日したら・・・」
「はい、相当な利益が予想されますわ。
おめでとうございます、主人。」
「まあ、始めのうちは物珍しさで売れるかもしれませんが、正直詰め替えが売れるかどうかが問題ですのでまだ、喜べませんがとりあえず安心しました。」
「そうですね、しっかり良い接客をしてリピーターを作らないといけませんわね。」
「おめでとう、二人ともウフフ」
「メアリーさんこそ、ここまでのご助力ありがとうございます。」
「私はお化粧してもらっただけよー。
明日からも頑張ってね。マーガレット」
「はい、頑張りますわ。ウフフフフ」
読んで頂きありがとうございます。




