73.コカトリスとウォータージェットボール
「こんにちは〜解体依頼した物を受け取りに来ました」
「ではこの札を持ってあちらのカウンターへどうぞ」
「お願いしまーす。」
俺達はあの後急いで片付けをして転移して
冒険者ギルドにやってきた。
いつも通り受付のお姉さんに声をかけて札をもらい
解体?買取カウンターで札を出す。
「おお!ワイバーン の兄さんか!
ちょっと待ってくれよ、おーいコカトリスできてるか?」
「おう、これだな。
よし、んじゃ早速肉はこれだ。
ところでワイバーン食ったか?」
「えぇ、今さっき。味見程度ですけど激ウマでした。」
「ハァーーーーーー羨ましいなぁ!!!
んじゃワイバーン よりは劣るだろうが
コカトリスは鶏肉の王様だ!
こっちもウメェはずだぞ。」
「はい!食べるのが楽しみです」
「くぅーーーーー!!!羨ましいぜ!
んじゃ買取の方いくな。
今回のコカトリスの買い取りは目と毒袋と皮と羽だ。珍しい事に今回、魔石がなかったんだ。
残念だったな。兄さん。目と毒袋はそれぞれ3ペニーで皮と羽が合わせて10ペニーで申し訳ねぇが解体料が10ペニー
引かせてもらって渡せるのは6ペニーとプラス税だけだ。
悪いな兄さん。」
「かまいませんよ!だってお肉はまるっともらってる訳ですからプラス分が出ただけラッキーです。」
「そう言ってくれると助かるぜ。
中にはごねる奴もまあまあいるからな。」
「そうですか。買取も大変なお仕事ですね。
解体では、重労働なのに、お疲れ様です。」
「おう!ありがとよ!まあ仕事があるだけ
ありがたいぜ。んじゃこれ頼むわ」
いつも通りクリスタロスにドッグタグをかざして
手続きを済ませる。
一般的にはBランク以上の魔物には魔石があるらしいが今回は無かったようだ。
俺としてはトサカさえ手に入れば良かったので
文句なしだ!
チリーーーーーン
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
支払者 : 冒険者ギルド
担当 : イーサン
毒袋3ペニー
目 3ペニー
皮・羽根10ペニー
合計 16ペニー
解体手数料 -10ペニー
総合計 6ペニー
受領 タクミ
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ありがとうございます。あの、そういえば」
「ん?どうかしたか?」
「コカトリスのトサカって通常どうしてるんですか?」
「そうだな。ありゃマジックバックに入れて
30日に一度火魔法の焼却屋にきてもらって
焼却処分するのさ。
他の魔物もいらない部分はそうやって焼却処分するんだぜ。」
「そうなんですか。あの、ギルドマスターって
今日いらっしゃいますかね?」
「ああ、部屋で仕事してるはずだぜ。
受付に聞いてみな。」
「ありがとうございます。」
「おう!また待ってるぜ」
「よし、ちょっとギルドマスターに会いに行っていいか?」
「うむ、問題ない。」
俺は受付カウンターに向かいギルドマスターとの面会をお願いすると確認してくれてすぐに二階の部屋へと通された。
「こんにちは。お忙しいところすみません。」
「いや、かまわないよ。どうかしたかい?
そういや、上物のワイバーンをありがとうな。
今日はどうした?」
「はい、実はご相談がありまして。
今度、俺、商売する事になったんですけど
その材料でコカトリスのトサカを使いたいと
思っていて今焼却処分になっていることを聞いて
よければ安く譲って頂けないかと思ったんですよ。」
「ああ、特許状もらったんだもんな。
そうか。コカトリスのトサカか。
今の所は焼却処分になってるしそれにも
ペニーがかかるからタダで貰ってくれるって言うならこっちとしてもありがたいが・・・。」
「正直、まだ、ちゃんと売れるかわからないので
もし、今後売れ行きが良いなら定期的にこっちから仕入れるというのはどうでしょうか?」
「そういう事ならわかった。
とりあえず、今ある分全部持ってきな。
もちろんタダでいいぜ。
そのかわり、もし、売れるようになったら
いくらか値段つけてくれよ。
そしたら冒険者に還元できるようになるからなぁ。」
「そうですね。でも今のある分タダでもらって
いいんですか?」
「ああ、利益が出るまでタダでいい。
色々店を開くのはペニーがかかるだろ?
このギルドからのお祝いだと思ってくれ。
それに、引き取ってもらうだけでもこっちは
経費削減できるんだ。何の問題もないさ。」
「助かります。ありがたいです。」
「コカトリスは今必要か?なんなら解体倉庫に
話しに行くぞ。」
「では、お願いできますか?」
俺とギルマスは解体倉庫に戻り今あるコカトリスのトサカをもらって俺はマジックバックを一つ
取り出して今後はこの袋に入れて下さい。
とお願いした。
向こうもマジックバックは高価なので簡単に
増やせないから助かると喜んでくれた。
「よし、じゃ城に戻ろうか。」
俺たちは人気のないところに行くと城へ転移した。
城に入ると使用人さんが
「タクミ様おかえりなさいませ。
お夕食のご用意が整っておりますが
お召し上がりになりますか?」
「ありがとうございます。お腹ぺこぺこです。」
「はい、では食堂へどうぞ。」
「はい。あとすみません、グリはお腹空いてないのでグリの分は結構です。
すみません。用意してもらったのに。」
「いえいえ、問題ありませんよ。
では、食堂へどうぞ。」
「はーーーーい。」
「おっ、タクミ!なんか会うの久しぶりに感じるな。」
「ジャックさん、そうですね。
城に来る前は四六時中一緒にいましたからね」
「そうだな。城の生活はどうだ?
少しは慣れたか?」
「はい、皆さんとても良くしてくださいます。」
「そうか。よかった、安心したぜ。」
「そういや、お前商人の特許状を授かったようだが風呂はいつ販売すんだ?」
「お風呂は当分先になりますね。
今のところ化粧品を売ることになってバタバタしてますよ。」
「化粧品かぁーーー。俺ら護衛には縁がねえな。
伝統的スタイル好きの白粉べったり塗った爺さん達なら喜びそうだな。」
「そうですね。衛兵さん達も塗ってる人は、
今まで見ませんでしたからきっとマーニン島の
代官さんは気にいると思いますよ。」
「ああ、あのおっさんはべったりだったからな。
白粉が首のシワにめり込んでて固まってたぜ。」
「綺麗に落とすのも大変そうですね。」
「ああ、あれは中々しつこいだろうな。」
「そういやグリ殿は飯食わねえのか?」
「我は馬をたらふく食って腹がいっぱいだ」
「馬?!」
「あっ、今さっきマーニン島に転移で戻ってたんですよ。」
「そういう事か!焦ったぜ!」
「おい、ジャック、失礼なことを想像したようだが我は家畜には手を出さん。
そのくらいの分別はあるぞ。」
「すまねぇー!そうだよな。悪かったぜ。」
「ふんっ」
獅子の姿のグリは毛足の長いカーペットの上で
ゴロンとそっぽを向いて毛繕いを始めた。
こうしてみるとデカイ猫だな。
「よし、じゃあ俺は行くな!またな!」
「はい!」
俺も飯を食い終わったので皿をポヨに渡して
綺麗にしてテーブルに戻す。
俺の分くらいの洗い物は減らそうという小さな労いだ。
グリ、ポヨを連れて部屋に戻ると俺は
さっそくさっきもらったコカトリスのトサカを
神の錬金釜にかけてヒアルロン酸を取り出す。
そして、美容液が高級シリーズしかない事を
思い出しヒアルロン酸だけの成分の美容液を作り
これを普通レベルの美容液にしようかと思った。
商品を増やせば利益になって買取もできるようになるからと思ったからだ。
価格は8ペニーと容器代2ペニーで合計10ペニー
うまく売れるといいが。
さて一通りやる事を終えたので俺は
マジックボックスを開いてウォーターボールで
風呂に入る。
もちろんポヨも一緒だ。
「あーーー極楽極楽。」
回数を重ねるごとにウォーターボールの扱いに
さらに慣れてきて今では風魔法を使って
風呂の中で小さなスクリューを腰や背中あたりに
あたるように調整してジェットバス風な
ウォータージェットボールができるようになった。
もう、こうなると風呂要るのか?と思えてくる。
まあこの状態だとユニットバスで洗い場がないから
なんだかんだ言ってやっぱり風呂は必要か。
だけどこの城に作るわけにもいかないし、
お金を貯めてグリも気を使わずに過ごせる家が欲しいな。
ここはもちろん快適だけどね。
読んで頂きありがとうございます。




