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61.到着!リッチモンド

「城が見えましたよ!」


「ようやくだね。しかし早かったねぇ!」


「あぁ、タクミ、これから忙しくなるな!」


「やっと、やっと、着いた〜!」


「いやっほー!」


俺たちの前方に巨大にそびえ立つ山のような

夕日に赤く染められた城がグリの上からよく見える。

ワイバーンの肉も手に入ったとあってか

心なしかグリもいつもよりウキウキで

スピードも速く本来なら陽が沈む頃の到着予定が

かなり早くここまで来れたようだ。


「タクミ君、あそこの中庭に降り立ってくれ」


『グリ、あそこの中庭に降りてくれ』


『わかった。』


「ヘンリーさん、わかりました。」



バサバサバサバサ


ドスーーーーーーン



「な、なんだ!魔物だ!なぜ?!

結界はどうした?!」


「皆の者!死守せよ!」


「みんな!落ち着いて!私だ!

リッチモンド公ヘンリーである!」


生活魔法のビックスピーカーを使って

この場にいる人達にヘンリーさんの声を届ける


「りょ、領主様???」


「たしかに、領主様だ!」


「領主様がいらっしゃるぞ〜!!!」


衛兵さんからこの城に詰める人、皆が大パニック!

デカイ魔物が突然降り立つしそこから領主が

颯爽と降りてくるわで、もう!てんやわんや!

この場を静める為グリに獅子になってもらう。


「おい!獅子になったぞ!

俺は夢でも見てるのか?!」


「イテッ!お前自分の頬でためせよ!

イテテテテッ!だからイテェッて!」


「夢じゃないのか?じゃ一体これは?」


「お前達!騒ぐんじゃねえ!

これは訓練だ!お前達の反応と対応力を

見るためのものだ!

全く対応ができてねぇーじゃねえか!

本番ではお前達は今頃肉片になってるだろう!

いつ何時、魔物の襲来があっても民や城の者を

守るのがお前達の仕事だ!

お前達はグランド王国の強き矢だ!

万策尽きたと思うな!決して屈するな!

心が折れれば矢は飛び立てぬ!

自らに宿る熱き炎を燃やせ!

お前達が屈すればお前達の守るべき愛妻や子は

さらなる災難に遭うことになる!

お前達の愛しい人を守れるのはお前ら自身だ!

誰も助けてはくれぬぞ!

自ら断崖絶壁の縁に立て!

さすれば初めて新たなる風が吹きお前達を

強きグランド王国の矢として飛び立たせてくれるだろう!」


「おおおおおおおおお!!!!」


「さあ!お前達の持つ牙をとげ!

日々の鍛錬こそが非常時に役立つのだ!

持ち場に戻れ!」



ジャックさん、凄い。

騒然としていたこの場が一つになったよ。


「さすがだろ?ジャックは。」


「はい。ヘンリーさん。」


「彼は衛兵に訓練をつけておりますから、

この場を抑えるのは適任です。」


「まあ、真っ赤な嘘だけどな。」


「ジャックさん、かっちょいいっす!」


「我はまるで悪者だな。」


「そんな事ないぜ!グリ殿。

今日の水浴び、俺も手伝うからよ!

グリ殿、噴水行こうぜ!」


「うむ、ジャック、ポヨ行くか。

ヘンリーお前は色々忙しいであろう。

今日はお前は自分のなすべき事をせよ。」


「グリ殿、すまないね。

明日の朝の水浴び、楽しみにしてるね。」


「ああ、ジャック、ポヨ行くぞ。」


「タクミはヘンリー様と一緒に行ってくれ。

ノア、アーロンもバタバタするから

タクミ殿の案内任せたぞ。」


「わかった。」


こうして城に着いたイケメン軍団と俺たち一行。

グリとポヨは噴水へ。

俺は城内へと向かう。

この城は石造りのかなり年季の入った建物。

どちらかというと住むより戦いに向くような

雰囲気のお城だ。


「タクミ君。

ここはとても古い歴史のある城でね。

私のお祖父様が所有していた城を6歳の時に

亡き父より譲り受けたものなんだ。

曾祖父が内戦の際にこの城を勝ち取り、その後

祖父がここを拠点に活動して、亡き父や今の私がある。

非常に重要な歴史の鍵をにぎる城さ。

だが、どうも造りが古くて窓が少ないから

住居は別棟を増築して少しばかり住みやすくしている。

一年の間にここにずっといるわけではないから

住居はこぢんまりとした造りにしたんだ。」


「そうなんですか。

ではヘンリーさんの一族の姿を

じっと見守ってきてくれたお城なんですね。」


「そうだね。後にお祖父様はこの城を離れて

拠点を変えるんだけど、その変えた場所に

それは素晴らしい城を建ててね。

そこの名前をこの城の名前というか

ここの地名をつけたのさ。

それだけ大切にされていた土地と城なんだよ。」


「そうなんですね。

ヘンリーさんはこのお城を大切に受け継いでいるんですね。」


「まあね。古過ぎて維持費が物凄くかかるから

建て直した方が安いくらいさ。

いつもアーロンが頭を抱えてるよ。あははは

他の貴族が新しい住み心地の良い家を

建てているのが時に羨ましいよ。

でも仕方がないよねぇ〜。」


意外だけど由緒正しい貴族もそれなりに

抱える悩みとかあるんだなぁ〜。


「ご主人様、おかえりなさいませ。」


「「「「「おかえりなさいませ」」」」」


うわっ!なんだこのズラっと並んだ人々!

これ、みんな使用人さん?!

ヘンリーさんの貴族っぷりを改めて感じるわぁ。

すげぇ〜。


「うむ、みんな息災かい?

留守を守ってくれてありがとう」


男性のピシッとしたロマンスグレーが素敵な

紳士にお礼を言うヘンリーさん。

中に入るとそこに小柄な金髪でグレーの瞳をした

可愛らしい女性が涙を滲ませながら微笑みを

浮かべて待っていた。


「ただいまメアリー。」


「旦那様、おかえりなさいませ。

ご無事でなによりでございます。

お体は本当にもう、よろしいのですか?」


「あぁ、この通りさ。

心配をかけたね。」


「旦那様、それはようございました。」


「さ、サロンに行っても良いかな?」


「これは失礼しましたわ。

こちらの方ですね。恩人のタクミ様は?」


「そうだよ。メアリー。」


「はじめまして、

ヘンリーの妻メアリーでございます。

サロンへご案内しますので

そちらで是非旅のお話を聞かせてくださいまし。」


彼女が微笑んだ瞬間、花が開くように

このゴツゴツした石の城に春が来たかのように

花がパーっと咲いた気がする。

美人というより可愛くて心癒されるそんな

可愛らしい奥さんだ。

ヘンリーさんは物凄く美形だから

奥さんも超絶美人かと思ったら可憐な人で

安心感を与えるタイプ。

こういう人がこの美男子の心を鷲掴みするんだな。


サロンに通されるとお茶の準備がされて

先程お出迎えしていたはずの男性が

お茶を出してくれた。

サロンは外観とは違い白い石の壁で造られていて

目を引くのは立派な暖炉。

暖炉の上の方にはタペストリーが飾られて、

これもとても精巧な刺繍が施されたとても高級そうな物だ。

床は木のフローリングになっていて

部屋の雰囲気は重厚感があるがそこに女性らしい

お花が飾られ温かみのある木製の上品な

テーブルと木の作りの長椅子にクッションが

置かれた過ごしやすそうな部屋。

きっとメアリーさんの指示のもと手入れがされているのだろう。


「下がってよろしい。あとは私がいたしますわ。」


「はっ。奥様。」


ガチャッ


「タクミ様。

この度は夫の病を治してくださいまして

誠にありがとうございます。」


「いや、そんな、たまたまポーションが

効いただけですので。」


「たまたまとはいえ、世にはないポーションを

作り出し無償で提供してくださったとか。

さらに、見ず知らずの夜盗とも思える相手に

そのように手当てを施し、さらには

素晴らしいお料理でもてなして下さったとも。

誠にありがとうございます。

心よりお礼申し上げます。」


「そ、そんな、本当に偶然でしたし

それこそヘンリーさんが強運の持ち主だったんですよ。」


「これからは、どうぞ我が家と思って

御心のままに当家にてご滞在ください。」


「ありがとうございます。」


「旦那様、お食事までの間

おやすみになられますか?お召し替えされますか?

それとも旅の話を聞かせてくださいますか?」


「そうだね。旅の話は食事の時にして

まずは服を着替えようかな。ハニー」


「はい。かしこまりました。旦那様。」


おお!めっちゃラブラブ。

心なしか部屋がバラに包まれたようだ。

そこでメアリーさんがあのベルの

マジックアイテムを鳴らして使用人さんを呼ぶ。


「旦那様のお召し替えをお願いしますわ。

あと、アーロンやタクミ様のお手伝いと

ご案内をお願いできるかしら?」


「かしこまりました奥様。」


「では皆様、後ほどお目にかかりましょう。」


こうして俺は個室に通され着替えをする事に。

あぁ、風呂入りて〜な。

時間もありそうだし、アイテムボックスの中で

入るか。

あっ、ポヨがいないわ。

ポヨも呼ばなきゃな。

『グリ、グリ〜。聞こえるか?

ポヨを一体こっちに寄越してくれ。

俺も風呂入りたいんだ。

ジャックさんに頼んで一体案内させてくれ。

一言言わないとスライムだー!って

また大騒ぎになりそうだから』


『うむ、わかった。』


よし、これで準備はできたしそのうち来るだろ。

風呂入ろ。


俺が髪や体を洗い終えてのんびりと

ウォーターボールの湯に浸かっているとノックがした。


「タクミ〜。ジャックだ。入るぞ〜。」


「はーい、どうぞ。」


「おう、ポヨとグリ殿を連れてきたぞ。あははは

お前面白いことしてんな!」


「すみません、こんな姿で。」


「いや、いーな。風呂。

お前の家で風呂に入ってから俺もすっかり

風呂愛好家の仲間入りだ。」


「俺の後でよければ入りますか?

もちろん新しいウォーターボール出しますから。」


「ん?いーのか?わりぃなぁ。」


「いえ、ジャックさん水浴びに付き合って

びしょ濡れですし、風邪をひかないためにも

温まってください。」


「いや〜ありがたい。

んじゃ、お言葉に甘えて入らせてもらうよ。」


俺はタオルで体を拭いて綺麗な服に着替え

ポヨにウォーターボールを吸収してもらい

新たなウォーターボールを出して

ジャックさんと交代する。


「じゃあ、ジャックさん、ごゆっくり。

あと、これ使ってください。

こっちが髪用でこっちが体用です。」


「おう!相変わらず上等な石鹸だなぁ。

ありがとよ!」


俺はアイテムボックスからオーギル伯爵から

もらったブラシでグリをブラッシングしてやる。


「グリ、噴水はどうだった?」


「うむ、広くてなかなか良かったぞ。

あれなら本来の美しい姿でも水浴びできそうだ。」


「そうか。そんなに大きな噴水だったのかぁ。

よかったな。」


「うむ」


「それにしてもこのブラシとけばとくほど

艶が出るなぁ。マジックアイテムとかなのか?」


「ほう、我の美しさに磨きがかかるな。」


「はいはい。今日は一日お疲れ様。

よく頑張ったな。

今日は食後にマタタムブ出してやるよ。」


「おっ!それはよい!ムフフフフ。

オークも食いたいぞ。」


「そうだなぁ。キッチンを使わせてもらえないと難しいから

今日の夕飯は諦めてくれ。明日以降で使わせてもらえるように話してみるよ。」


「うむ、仕方がない。」


「おーい、タクミ〜。

そろそろ出るけどどうしたらいーんだ?」


「あーそのままにしておいてください。

ポヨが片付けてくれますから。」


「わかった!」


しばらくしてジャックさんがスッキリした表情で

即席風呂から上がってきた。


「あーさっぱりしたぜ!

やっぱ風呂はいいなぁー!

ヘンリー様に宿舎につけてもらおうかな。」


「それはいいですね。ジャック。」


「あっ!アーロン。いつの間に!」


「ええ、今さっき。

あなただけ湯浴みとは羨ましい。」


じーっ。


ああ。美形の睨みって怖い。


「あははは、いーだろ!

かなりさっぱりしたぜ!」


「そのようですね。

やはりクリーン魔法があっても

湯浴みの爽快感にはかないませんから。」


「アーロンさんも入られますか?」


「いえ、あいにく御食事の支度が整って

しまいましたので残念ですが。」


「そうですか。それは残念。

また時間ができましたら声かけてください。」


「タクミ、アーロンは城に着いたら

時間なんか取れないから気にすんな。」


「そんなに忙しくなるんですか?」


「えぇ、留守にしていた分と

今後の事もありますので、少しずつ

仕事は片付けておりましたが

やはり全部とまではいかずだいぶ残っております。」


「そうですか。」


「ですから当分、我慢ですね。

タクミ殿に早く職人や商人を紹介して

ギルド登録もしていただき風呂の商品を販売

していただきませんと。ンフフフフフ。」


「は、はぁ。」


「では食堂へと参りましょう。」


食堂へ行くとサロン同様、素敵なインテリアで

コーディネートされた天井が高く広い部屋で

上から立派なシャンデリアのような

灯台が吊るされ、ここにも立派で重厚な暖炉と

貴族が登場する映画などによくあるクロスが

敷かれた長机と両サイドには椅子が並べられていた。

机の中央にも灯台とお花が置かれている。

おしゃれだなぁ〜。

暖炉に近い中央の席にヘンリーさんが座り

その横に奥様、もう片方の空いている席に

俺が案内され席に着く。

そして他の席に旅のメンバー達が座る。

その後続々と料理が運ばれてくるのだが

城の形をした細工された料理?が中央に置かれた。

なんだこれ?

帰還祝いということでコックさんが一生懸命

作ったようだが、これ、正直言ってまずい。

ヘンリーさんも渋々食べているがマジでまずい。

アントルメとかいうらしい。

噴水とかも作られていてワインがプシュッて

吹き出していたり一度調理されて組み立てられた

孔雀まで乗ってる。ちなみに羽根つき。

他にも魔物の肉を焼いてから煮た料理とか

やたらきつい香辛料とかで俺の舌にはあまり合わない。

でもここではこれが主流の味付けなんだろうと

周りを見渡すとあまり手が進んで無い。

となりに座っていたジャックさんにだけ聞こえる

声で


「あまりみなさん、食が進んでないようですが

どうかされました?」


「あぁ、このアントルメのせいだ。

普段の食事はここのコックもうまいんだが

一応祝い料理で伝統的な味付けだから

うまくねーんだわ。」


なるほど。俺だけじゃなかったのか。


「・・・そうでしたの。

そんな事があったんですのね。

ノアは高い所が苦手だったなんて驚きですわ。」


「そうなんだよ。メアリー。

そうだ。明日は早朝、グリ殿の水浴びを

噴水でするからね。」


「まあ!素晴らしいですわ!

旦那様、見学させてくださいませ。」


「ああ。もちろんだとも!

良いかな?グリ殿。」


「うむ、好きにしろ」


「グリ殿ありがとうございます。ウフッ」


それにしても仲良いな。

こういう貴族って政略結婚じゃないのか?


「それでは皆様、そろそろデザートはいかがですか?」


「そうだね。沢山頂いたし甘いものとお茶がいいな。」


「はい、ではサロンにてお出ししますので

ご移動をお願いしますわ。」


「ああ、そうしよう。」



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



サロンに移動してデザートを頂いた後

メアリーさんは外せないようがあるとかで席を

外しイケメン軍団と俺とグリ、ポヨだけになった。

すると


「明日から忙しくなるよタクミ君。

職人達の手配がまだつかないから

先にギルドに登録に行こう。」


「わかりました。ありがとうございます。

それにしてもヘンリーさん。

ご夫婦仲がとても良いんですね。」


「ああ。そうだね。

僕達貴族は、大体政略結婚だから普通は

もう少し堅苦しいかもしれないけど

メアリーと僕は幼馴染なんだ。

だから特にこれといって違和感もないし

メアリーの兄上は私と親友でね。

まあ政略結婚ではあるが、

メアリーはよくやってくれてるし

たとえ、幼馴染ではなかったとしても彼女とは

きっとうまくやっていけていると思うよ。

それにもし、僕が死んでも彼女の元には

きっとすぐに、縁談が舞い込むさ。」


「ご本人は再婚なんていたしませんわ!!!

とか言いそうだけどな。はっはっはっ。」


「それ、言えてるぜ。

メアリー様は昔からずっとヘンリー様の後を

ついて離れなかったからな。はっはっはっ。」


「それだけ愛されているという事ですね。」


「そうっすよ!」


こうしてこの日は残りの時間をリスボンやロカイを

日の当たる場所に設置したり領地の地図を見せてもらったり

城の中を案内してもらったりとゆっくりと過ごした。


読んで頂きありがとうございます。

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