59.野営地とハニーフラワー
「あと少しで目的の開けた地があります。
そこまで行ったら今日はテントを張りましょう。」
「おう!」
俺たちは休憩を挟みながら山道を進みあと少しで
目的のポイントに到達してテントを張る予定だった。
「おい、見てみろ。ここはマズイぞ!」
「どうかしましたか?」
「あ!あれは!」
「アーロン、ここではテントは張れそうにない。
どこか他に心当たりはあるかい?」
「あの?何が問題なんでしょうか?」
「ああ、そうか、タクミ殿は知らないのか。
あそこに赤色の花があるだろ?」
「はい。」
「あの花はね、この辺りの地域では有名な花で
本来の名前より別名の方がよく、知られているんだ。」
「別名ですか?」
「あぁ、ハニーフラワー」
「ハニーフラワー?美味しそうですね。」
「ああ、きっと美味しいと思うよ。
人族や獣人は手を出さないが
キラービーはあの花の蜜が大好物でね。」
「あの花があればまず間違いなく
近くに巣もありますし必ず蜜を収穫しにきます。」
「ほう、なるほど。」
「キラービーはBランクの冒険者のパーティーで
やっと倒せる強い魔物というのはご存知ですか?
とても危険な魔物です。」
「あっ!そうなんですね。
でも多分大丈夫ですよ。
俺、念話でキラービーと話せるので
交渉しますから、問題ないと思います。」
「そうですか。しかし・・・。」
「俺、キラービーの巣を少し探してきても
いいですか?その間、待たせちゃいますけど」
「あぁ、行っておいで。
私たちはここにいるよ。」
「ありがとうございます。
よしグリ行くぞ。」
「うむ、ポヨ二体に分離できるか?」
ポヨーン、ポヨヨーン。
「ポヨを一体置いていきますので
もしポヨが交戦状態になったらすぐに戻ります。
ポヨ、頼んだぞ。」
ポヨヨーン
「よし、ポヨ行くか。」
ポヨーン
『サーチ、キラービー』
俺はこの周囲を見渡してサーチをかけて
側にいるキラービーを探すとすぐに反応があった!
「やはりキラービーはいるようですので
行ってきます!」
「わかったよ。くれぐれも無茶しないようにね」
「はい!」
反応のあった赤い丸の元に行くとキラービー発見
すぐに念話で話しかける。
『そこのキラービーさん。こんにちは。
君たちの縄張りで一晩過ごしたいんだけど
場所を貸してもらえないかな?
この先の赤い花の開けた所なんだけど。』
『人族が話しかけてくるとは珍しい。』
『そうだよな。俺の住んでたマーニン島の
キラービーの女王さんとは懇意に
させてもらってて、こういう物ももらってるんだ。』
俺は出立する前にご挨拶した女王蜂からもらった
黄色い蜂蜜が固まったような色をした
キラービーの巣でできる石を取り出し
距離は遠いが指でつかんでキラービーの方へ見せた。
『それは・・・。
ふむ、あながち嘘ではないようだ。
それを手にしているものならば
話を無下にもできぬ。
確認をとる。しばし待て。』
『ご挨拶と場所を借りるための一泊の賃料だ。
これを持って行ってくれ。
もし、泊めさせてくれるなら同じ物を倍渡すよ。
他の物がよければ賃料として違うものを出すから
それも併せて検討してくれ。』
『なんだ?何やら甘い香りがするな?』
『あんた用に追加でこれをやるよ。
試しに舐めてみてくれ。』
『うむ』
ペロ
『!!!!!』
『ん?まずかったか?』
『いや、美味くて言葉を失った。
よし、待っておれ。話をしてきてやろう。』
『手間をかけさせて悪いな。よろしく頼む』
『うむ。』
ーーーーー10分後
ブーンブーンブーンブーン
話をしたキラービーと3匹のナイトの様な
キラービーが俺の元にやってきた。
『そなたか?一泊の場所を求めておるのは?』
『そうだ。仲間もいて俺達だけ会いに来た。
他の仲間にはこの石?玉をあまり見せたくなくてな。』
『うむ、貴重な物であるし我ら以外に見せるなと
言われておるはずだからな。』
『そうなんだ。だから挨拶は俺達だけで来たんだ。』
『うむ、よかろう。して場所の確認だが
どこらあたりか、確認して問題なければ
一泊の滞在を許可するとのお達しだ。』
『わかった。
じゃあ確認に付き合ってもらっていいか?
あと賃料はさっき渡したもので良いか?』
『うむ、問題ないが受け渡しはこの場で行う。
他の者に交渉の材料を見られたくない。
お主は玉を持つ者ゆえ、交渉するのだが
念の為という事だ。』
『ああ。じゃあついてきてくれ。』
俺たちはキラービーと共に滞在地に向かい
場所の確認をする。
「タクミ!!!大丈夫なのか?!」
「ノアさん、今交渉中ですので
今しばらく待ってもらっていいですか?」
「あ、ああ。わかった。」
『ここら辺で一泊させてもらいたい。
結界も一応張らせてもらうけど良いか?』
『うむ、そこにおる人族が攻撃してこない限り
我らは一泊の滞在を許そう。』
『助かったよ。ありがとう!
じゃあ戻ろうか。』
『うむ。』
「皆さん、許可がおりましたので大丈夫です。
ここで野営しても大丈夫ですし結界も張って
良いそうです。」
「な、なんと!」
「俺はまだ少し要件があるので、また離れます」
「わかったよ。ありがとう、タクミ君」
俺はさっきの場所に戻ってナイトのキラービーと
始めに出会ったキラービーにホイップクリームを
たっぷり渡してお礼を伝えて皆の元に戻る。
虫だから無表情だが心なしか声のトーンは
上がっていたのでクリームの事、
きっと喜んでくれているはずだ。
ポーカーフェイスでわからんがな。
「只今戻りました!」
「おっ!早かったな!」
「タクミ君、おかえり。」
「タクミ殿、おかえりなさい。」
「お前、何したんだ?あんな獰猛な奴と
交渉できるなんて凄すぎだぜ。」
「おかえりっす〜」
「ノアさん、大した事ないですよ。
俺、マーニン島でキラービーと仲良く
ご近所付き合いしてたんでその流れですよ。」
「キラービーとご近所付き合いだと?!
さすが森暮らししてる奴はすげえな。」
「あははは。始めはキラービーがどれほど
脅威かわかってなくて。
でもなんとかなりましたね。」
「ノア。タクミ殿は優秀なテイマーですから
きっと我々とは異なるのですよ。」
「まあ確かにそう言われればそうだな。」
「よし、アーロン。場所はこの辺りでいいよな?
テント出してくれ。俺らで組み上げるからよ。」
アーロンさんはアイテムボックスからテントの
骨組みになる丸太とそのテントにかぶせる布を
ジャックさんの目の前に取り出した。
そしてジャックさんは土魔法を使いながら
柱を地中に埋めて最後にジョージ君の風魔法で
布を持ち上げ綺麗にかぶせる。
布についている紐を柱に縛って完成!
布は鮮やかな染織が施されとてもお洒落だ。
中には絨毯を敷き詰め室内の居心地も良くしている。
「立派なテントですねぇー!
しかもこの布鮮やかで綺麗ですね。」
「はい。テントは派手なものの方が
なぜか魔物は警戒して近づかないのです。」
「そうなんですか?」
警戒色なのかな?
確かに毒を持っていたりする植物や爬虫類とか
食肉植物だったり全て派手な色してるものな。
理にかなってるのかもしれない。
だけどなんで土魔法だけで作らないんだろう?
「ジャックさん、
なんで土魔法だけで作らないんですか?」
「あ?あぁーそうか。
タクミみたいに魔力量の多い奴や
魔量操作が長けている者は確かに土魔法で
作った方が楽だと思うけどな。
一般的には魔力量も限られてくるから
戦闘用に残しておくのさ。
特に俺みたいなタイプはこういう時は
守りの壁を作らないといけないからな。」
「たしかに!魔力操作のスキルが高いと
魔力の節約にもなりますしね。」
「そうだな。
タクミならどんなテントを作る?」
「俺ですか?うーん。
やっぱりドーム型ですかね?
あれだと雨が降ってもうまく流れてくれるし
風の抵抗も逃してくれるので箱型より安心です。」
「そうか。」
「でも、こんなオシャレにはできないので
布でできたテントなら土魔法で柱を建てて
そこに布をかぶせる形でしょうか?
通気性が良くなりますよね。」
「たしかに熱いエリアだと土壁は
熱気が困るかもな。」
「じゃあ俺は結界張りますね。」
「おう!頼むわ!」
テントは寝るためのテントと食事を
食べるためのテントの二つが用意され
もう一つのテントには丸太に炉台が取り付けられ
テーブルや椅子さらにテーブルクロスに灯台が
セッティングされて、その中はすでにお洒落な
空間へと様変わりしていた。
アーロンさんはテーブルコーディネートというか
もはや空間の魔術師と言ったところだろう。
しかも毛足の長い絨毯まで敷かれていて
そこにグリとポヨがちゃっかり陣取っている。
「さあお食事にしましょう。」
アーロンさんがパンの詰まったバスケットや
スープの入った壺、お肉の入った箱を取り出して
食事の支度を整えていく。
俺もそこに作り置きの鳥もも肉のロールキャベツ
それから人気の高いフライドポテトにケチャップ
あと、野菜とキノコの炒め物とパスタや飲み物を
適当にだす。
「タクミ殿!これは?お野菜のようですが?」
「それはロールキャベツです。
キャベツでお肉を包んでいるんですよ。」
「なんと!これは美味しそうですね!
しかも野菜とお肉が一緒に取れる!
素晴らしいお料理ですね!
香りもとても良い!ああ!素晴らしい」
アーロンさん、ヘンリーさんの健康を誰より
気遣ってるからな。
「お?タクミの飯か!うまそ〜!」
「あっ!カリフワがあるっす!ヤッタ!」
「おいタクミ、我にもよこせ。」
「タクミ君の料理かぁ。
ちゃんと食べるのは久しぶりだね。」
「そうですね。お料理を作ってくださる
プロの方がいらしたので俺なんかのメシは
必要ありませんでしたから。」
「そんなこたあねえだろ?
お前のメシ、すごい旨いぞ!」
「ジャック、コックのみんなもプライドが
あるからね。タクミ君は気を利かせてくれてるのさ。」
「そ、そういうわけではないんですけど。
俺みたいな素人なんか、ね?」
「ははは。そうしておこう。
では、ありがたく頂こうか。」
「いただきまーす。」
みんな早々に目新しいロールキャベツを取り
パクパク食べていく。
「うっめぇーーーーーー!!!
なんだこれ?!食べたら中の汁が口の中に
溢れ出してくる!」
「中の肉も肉厚で旨い!巻いてるキャベジも
とろっとろで旨いぞ!」
「うっめぇーーーーーー!!!
トロトロジューシーっす!!!」
「噛むとお肉だけでない他の野菜の味も致します
しかもお塩の加減もお肉と調和していて計算された
お肉料理と言えるでしょう。」
「うん、美味しい。ンフフフフ」
「本当は牛や豚のお肉で作るんですけど
旅に出る前は鳥しかなくて、牛や豚で作ると
もっと美味しくなりますよ。」
「な、なんですと!こんな美味しい物が
さらに美味しくなるのですか?
ぜひ一度食したいです!」
アーロンさんが目を丸くしながら珍しく
興奮している。
「そうですね。オークならあるんですけど牛が・・・」
アーロンさんが目を光らせ
「牛ですね。ムフフフフフ」
この人絶対ものすごい高級な牛を手に入れそうだな。
「そうだ、調理器具で暖炉ではない
火を使えるものってありますか?」
「そうですねぇ。それ以外ですか?
キッチンストーブ以外は難しいですね。」
「キッチンストーブ?」
「はい、小型の暖炉の上に天板が付いていて
そこに鍋などを置いて調理します。」
ああ、ストーブの上にヤカン置いたりするアレか。
それの料理用で使うのを
キッチンストーブって言うのか。
「あの、そのキッチンストーブって天板から
火が出ていたりしますか?」
「いえ。火は出ておりませんね。
ストーブのところで薪を燃やし温まった天板で
調理するといった具合です。」
「なるほど。火力の調整はどうするんですか?」
「空気の入れ具合で調整しますね。」
なるほど。
という事は熱に強い天板や調理器具が
あるという事だ。
「アーロンさん。その天板の素材ってなんていう
素材ですか?」
「アイアンですね。」
やった!
「アーロンさん、灯台の仕組みってどうなって
いるんですか?」
「炉台の仕組みでございますか?
そうですね。至極単純なものですが
安価なものは魔法陣の刻印が入った羊皮紙が
こちらの灯台の底面に貼り付けられている
だけでございます。
高価なものは付与魔法でそのもの自体に付与が
与えられております。」
「そうか。分類は火魔法じゃなくて光魔法だから
熱とかで羊皮紙が燃えないんですね。」
「確かに火魔法でしたら燃えてしまいますが
光魔法の属性の生活魔法なので火事などは
起きたりしないので安全ですね。」
「じゃあ、火魔法を使いたい場合は
どうしたらいいんでしょうか?」
「火魔法ですか?
そうですね。アイアンの板に魔法陣を刻印して
使うか付与魔法を使えばある程度問題はないかと
思います。
あまりに高熱ですとアイアンも持たないかと
思いますが。」
「アイアンの板。なるほど。
あの、キッチンストーブって一般的なんですか?」
「いえ、庶民の家では暖炉で調理をしますので
貴族の家のキッチンで使用されるのがほとんどで
あとは上級冒険者や商人などがマジックバック
などに入れてこのように野営地で料理をしますね。
暖も取れますので重宝されていますが・・・。」
「おやおや、また新しい物を思いついたのかい?」
「あはは、えーっとそのキッチンストーブを
製作する職人さんって沢山いるんですか?」
「そうだねぇ。沢山ではないけどいるよ。
うちのキッチンストーブを作ってくれた職人は
今でもメンテナンスしてもらってるから
長い付き合いだね。」
「あの、その方を紹介してもらえませんかね?」
「お安い御用さ。
ところでどんな物を閃いたんだい?」
「一つは薪を使った暖炉なんですが
一番上に天板三枚を置いて一つは薪を燃やす
すぐ上にアイアンの棒を何本か通して直火が
できるスペースとあとの二枚は煮込み用に中火
一番外側は保温用でお湯などを温めておく天板。
そして薪を燃やしているところのすぐ横に
オーブンと保温室を作っていくつか料理が
作れるようなものがあったら便利かなと思いまして。
こういうテントに設置したら暖も取れるし
大人数での食事に便利かなって思ったんですよ。
そしてもう一つは薪を使わない火魔法の付与魔法
を使ったキッチンストーブを思いついたんです。」
「薪を使わない?」
「はい。薪を使わなければ持ち運びも楽に
なるかなって思ったんです。」
「確かにそうだね。」
「アイアンの板に付与魔法を用いて火が
使えるようにするだけなんです。
俺が付与魔法をするので魔法陣もいりませんし
使うのも俺なので魔石も必要ないですけど
例えばここにいる皆にも使えるようにするなら
火属性のない方でも使えるように魔石をつければ
調理できますし、これなら薄くて小さなアイアンでも、
どこでも火が使えると思ったんです。」
「タクミ殿、付与魔法でやるならば
きっと魔石は使わなくてもできると思います。
付与魔法は使用者の魔力を、違う属性であっても
その物を動かせるように変換してくれますから。
ちなみに、もし仮にタクミ殿だけでなく他のものも
使えて冒険用、家庭で使う家用、貴族のような大人数を
まかなうための大型の物も作れたりするのでしょうか?」
「そうですか。魔石いらないんですね。
それなら一口、二口、三口と火の出口のバリエーション
を変えれば冒険用、家庭用、貴族の邸宅用と幅広く
使えると思いますよ。
あとは火の調整もできるようにして
それからオーブンとかもこの原理で作れますね。
なんなら上の熱を利用して保温室も作れるし
薪の方なら温めた熱を利用して部屋の床や壁にその熱を
通して暖房効果も得られると思います。
そのかわり大規模な工事がいるので新築のお部屋や
御宅しか難しいと思いますけど。
あとはアイアンの板自体を熱して火は出さずに
熱調理だけのプレートもあってもいいかもしれません。」
「アーロン。」
「はい。」
「タクミはまた、凄い物を考えついたな。」
「そうだな。」
「はいっす。」
「え?」
「薪のものは庶民でも手に入れられそうだね。
魔石が必要かどうかは作ってからという事になるが
もし必要なら富裕層向けになるね。
魔石が入らなければ庶民でもいけそうだね。
でも薪を使わないなら火事の原因がなくなるし
煤の発生が抑えられるからキッチンの増設も
楽になるね。
煙突を追加しなくてよくなるわけなんだから。
それに冒険者は非常にありがたいんじゃないかな?」
「そうですね。画期的だと思います。
さらにアイアンプレートだけというのも
良いですね。それ一枚あれば岩の上にでも置いて
時間経過のある安価なマジックバックに入れた
冷めたスープも温め直す事ができますし
付与魔法で作れるならば魔力を注いでさえすれば
魔力を変換するので属性関係なく魔石なしで使用可能
ですから比較的安価にできます。」
「うん、そうだね。」
「あの?えーっと、それはどういう?」
「今の話、商品化しないのかい?」
「はい?いえ、俺は自分用に欲しいなと
思っただけで・・・。」
「そうか。それはもったいない話だな。
とりあえず、職人を紹介するから納得のいくものを
作ってみなよ。材料費とか私が出すから。」
「は?いやいやいや、なんでそんな話になるんですか?」
「それはタクミ様の商品にゆくゆくなりそうだからです。
商品開発をして頂き商品を売り出して
稼いで頂く支援も我々の恩返しに含まれて
おりますからどうぞ、お気になさらず。」
「いや、そんな、世話になりっぱなしじゃないですか?」
「何を言ってるの?私は死ぬ予定だったのに
今こうしてピンピンしてるんだ。
私が長生きしたらその分私の収入は
増えていくんだから君に恩返しで使っても
なーんの問題もないんだよ。」
「し、しかし!」
「えーいーじゃないか。
貰えるものはもらっとこうよ。
ねっ。グリ殿?」
「そうだ。ヘンリーの言う通りだ。」
「じゃあ、もしも、商品化するなら
始めのお金は返金するっていうのでどうですか?」
「えーーーーー。いらないよぉ。」
「では、タクミ殿。商品化する際の店舗を
ヘンリー様の領地のどこかに出していただければ
税収になりますので、それで如何ですか?」
「そんなんでいいんですか?
売れるかわかるませんよ!」
「はい。もしタクミ殿の商品が大ヒットすれば
我々は支援した以上に貰ってしまうことに
なってしまいますが・・・。」
「全然、いいです!そうしましょう。
俺、こんなに良くしてもらってるのに
さらに甘えるなんて逆に居心地悪くなりますよ。」
「そんなぁ〜。律儀だなぁ。タクミ君は。」
「ヘンリー、こやつはビビリなだけだ。
大金を出されて萎縮しておるのだ。」
「そうなの?まあお金は大事に使わなきゃ
いけないけど変に贅沢するよりよっぽどいいよ。」
「は、はぁ。」
ヘンリーさんの贅沢って一体どんな事だろう。
今でもかなり贅沢な気もするんだけどな。
やっぱり金銀宝石ジャラジャラつけた感じか?
いやいやいや、この人の美貌があれば
そんな物いらないよな。
洋服とか美女をはべらすとか?
いや、それもないだろう。
別に服もどんな物着てもかっこいいし、
それに美女だってお金かけなくても勝手に群がるだろう。
俺には想像がつかない。
「贅沢って例えば?」
「そうだね。むやみやたらに城を築いたりかな。
城ってめちゃくちゃペニーが必要なのさ。
修繕するのにもかなりかかるからねぇ。」
斜め上の解答ありがとうございます。
城ね。そりゃ多額のペニーが必要だな。
「話は変わりますが、ここは随分と
静かですね。」
「あぁ、そりゃきっとキラービーの縄張りだからじゃねえか?」
「なるほど。そうか。たしかにわざわざ
キラービーの所にのこのこ魔物は
やって来ないよね。
来るとしたら本気で大勢で攻めてくるか。」
「そうだな。よく知ってんな。」
「ああ、はい。お隣さんがそういう目にあって
森を燃やされて住処を奪われたって言ってたんで」
「そんな事するのはゴブリンか?」
「はい、そうみたいです。」
「あいつら、すぐそういう事するよな。」
「まあ、静かとはいえ警戒しながら無事に
明日の朝を迎えたいものだね。」
「そうですね。」
読んで頂きありがとうございます。




