44.ウォーターボールと新しい服
俺は気がついてしまった、
ウォーターボールってマジで便利だという事を。
今、俺の目の前でジャバジャバと
どでかいウォーターボールの中で水浴びしている
グリとポヨがいる。
そう!ウォーターボールってよくよく考えたら、
器いらないじゃん。
だってそうだろ?
サルビーフッヘン獲ってる時だって
これで包んで捕獲してたわけなんだから。
なんで今まで俺は気がつかなかったんだろう。
という事でバスタブもとい風呂釜いらずの
俺特製風呂で水浴びを堪能するグリ。
かなり気持ち良さそうだが流石に外で俺も
裸になるわけにはいかない。
ここは我慢だ。
「おーいタクミ〜。そろそろ出るぞ〜。」
「わかったぁ!
ポヨ〜その水全部飲んでくれ〜。」
すると目の前でポヨが小さい体のくせに
グングン水を吸い取り始めた。
これで汚れも水も全てポヨが処理してくれるので
汚水の問題なんてない。
ポヨすげぇ〜。
「おはようっす!
なんか凄い光景っすね。」
「あっ、ジョージ君おはよう。
そうだよな。俺も驚き中だよ。
ポヨのあの小さな体のどこに
あの大量の水が消えていくのか
不思議で仕方ないよ。」
「それもそうっすけど
あんなでかいウォーターボール、
よく出せますね。」
「あぁ、威力がゼロだからじゃないかな。
攻撃にはならないからね。
暑いところに行ったらこれだけで
商売できるかもな。
水浴び3時間いくらとかね。」
「あっ!たしかにイイっすね。
あっつい所だと泳ぎたくなりますよね。」
「あっ。ジョージ君
もしかして食事に呼びに来てくれた?」
「そうでした。
つい本題を忘れる所でした。
あはは。あまりにも凄い光景でつい。」
頭をポリポリかきながら
恥ずかしそうにするジョージ君。
「ごめんね。すぐ行くよ。」
「焦らなくて大丈夫っす。
あと20分ほどしたらって話ですから。
アーロンさんから外にいるから
声だけかけてくるようにって言われたんっす。
お手伝いする事があったら手伝うようにって」
「そうなんだ。相変わらずアーロンさんは凄いね
どこから俺たちの姿が見えたんだろう。
とりあえず風魔法はグリが自分でかけるから
大丈夫だよ。ありがとう。」
「はいっす。場所は昨日の食堂っす。
わかりますか?」
「あぁ。大丈夫だよ。」
「じゃあ俺は先に戻りますね。」
「わかった。後でね。」
「うぃっす!」
「うーむ。やはり水浴びは朝にかぎる。」
「さっぱりしたか?」
「うむ、気持ちの良いウォーターボールであった。」
「それは良かったよ。」
俺は乾かした毛並みをブラッシングして
グリとポヨと一緒に食堂に転移した。
時間がブラッシングでギリギリになったからな。
「おはようございます。皆さん。
遅くなりました。」
「おはようタクミ殿、グリ殿それにポヨちゃん。
まだ時間はあったのに焦らせてしまったようだね」
「いえ、そんな事ないですよ。」
「じゃあ、少し早いがみんな揃ってるし
食事を始めようか。」
「かしこまりました。」
チロリーーーーン
男性のピシッとした召使いさんが
あのマジックアイテムのベルを鳴らして
続々と料理が運ばれてくる。
朝からやはり肉が多いが果物や羊の乳に
牛乳や果汁のジュースのような飲み物
チーズや野菜も用意してくれてある。
これはかなり嬉しい。
朝から肉はグリは問題ないが俺には重すぎる。
「では、いただこうか。」
「いただきまーす」
「皆さん、食べながら聞いてください。
食事を終えましたら城の運河から船に乗り
グランド王国の本土へと出立致します。
船での滞在は問題がなければ7日から8日ほどで
本土の港に着きそこから17日間かけて移動し
リッチモンド城に向かいます。」
城から直で乗船ってさすが貴族だな。
それともチャーター船とかなのかな。
船で一週間で陸路は17日かぁ。
長旅になるなぁ。
やっぱりシャワールームくらい
作っておけば良かったかな。
これは失敗したかもな。
グリはウォーターボールで水浴びさせて
ポヨに汚水を飲んでもらえばなんとかなるけど
問題は俺だよな。
クリーンはあるけどシャワー浴びたいよな。
時間経過ありのアイテムボックスの中で
俺もウォーターボール出して
ポヨに掃除してもらうか。
それしか方法ないよな。
それか家に・・・いや待てよ。だめだ。
船は進んでるわけだから家には戻れても
船に戻ってこれないよな。
これはアイテムボックスシャワーしかないな。
「・・・というわけで街を経由しますが
道中、森の中を通ることになりますので
くれぐれも気を引き締めて・・・」
やべ、聞き逃してるわ。俺。
しっかり聞いてもよくわかんねぇけどな。
俺よりそういう事は実は
グリがしっかり聞いてくれている。
「ほう。という事はお主らは全員グラニで
移動するということか?
普通の馬ではその半分の距離しか進めまい。」
「はい。その通りです。
2時間程走って30分程休憩を入れ
1日8時間ほど走る予定です。
グリ殿、問題ありませんか?」
「うむ、我なら問題ない。」
「なぁ、グリ
普通の馬だと半分しかって
もっと休憩がいるってことか?」
「いや、速さの問題だな。
普通の馬ならその半分以下の速さで
とぼとぼ歩いて、あやつの言っておった8時間が
限界だろうな。」
てことは2倍以上の速さで歩いて休憩は
普通の馬と一緒でいいってことだよな。
うーんと、人間の徒歩が時速4.5キロくらいだろ
それで普通の馬は常歩で1時間だいたい
6kmくらいのはずだから人より
普通の馬はちょっと速いくらいか。
魔物の血を引くグラニ種だと倍以上って事は12kmくらいかな?
普通の馬だと1日50〜60km
調子が良いと80km行軍できるっていうから
単純に2倍して100km〜160kmくらいを
1日で進むって事か。すげえな。
人間なんて徒歩で1日30kmが限度って聞くぞ。
「おい、グリは本当に大丈夫なのか?
1日にそんなにも俺を乗せて移動するんだ。
しんどくないか?」
「お主、何度も言わせるでない。
馬ごときにできて我にできぬわけがなかろう。
我なら獅子の姿で一日中でも歩いて進めるし
飛べば目的の城まで1日とかからんぞ。」
「おまえ、いったいどんだけ速いんだよ。」
「ふん。まぁあやつらに合わせて
のんびり旅をするのも良いかと思ってな。
途中の街でまた美味いものが食えるかもしれん
ムフフフフフ」
「そういう事かよ。
なんかおかしいと思ったんだよ。
いつもなら馬なんかと!とか言うのに
今回黙って聞いてるから変だと思ったんだ。」
「フフフフフ、途中でオークでも出たら
我が獲ってやるから、どこかで捌かせろ。
そしてタクミが調理すればムフフフフ」
「おい、よだれ。したたってるぞ。」
ジュルッ
「ふんっ。」
「タクミ殿、昨日用意させたお召し物が
出来上がりましたのでご確認とお召し替えを
お願いします。」
「あっ、はい。ものすごく嬉しいです。
本当にありがとうございます。」
「気に入ってもらえて何よりだよ。
さぁ着替えておいで。
その格好のままでは目立つからね。」
「はい!」
俺は皆さんに礼を言って着替えをするため
別室に向かった。
出来上がったものは
白いシャツ2枚と革製のベスト1枚に
首元まであるシングルの長袖付き上着1枚
ピタッとした厚手のパンツ2枚と
ふわっとした膝下まである黒いハーフパンツ2枚
下着2枚と膝近くまであるブーツだ。
洗い替え用という事でパンツは黒と茶色を
各1枚ずつ作ってくれた。
これはかなりありがたい。
しかも作りもしっかりしているし
何よりデニムと比べると生地が柔らかい。
これも後で複製スキルでコピーして
寝巻き用にしよう。
布団に洋服と俺にとっては最高のプレゼントだ!
「よっと。こんな感じかな。」
着替えた服はアイテムボックスにしまって
ヘンリーさん達の待つ部屋に急いで戻る。
「皆さんお待たせしました。」
「大丈夫だよ。よく似合ってるね。
では乗船しようか。」
「はい」
読んで頂きありがとうございます。
誤字報告もありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします。




