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29.俺とグリとロックバード

俺がこの地に来てそろそろ半年が

経とうとしている。


グリフィンのグリやスライムのポヨとの

三人暮らしはなかなか充実した楽しい生活と

なっていた。


相変わらずの採取生活を送っているが

やはり魔物の肉は解体できず

グリが調理した魔物を食いたいとねだる日が

増えてきた。

俺だって食いたいけどなぁ。


風呂は最近三人で入るようにもなった。

狩りの後、外の噴水でお湯を出し

俺とポヨでグリを洗ってやる。

グリへのささやかな労いだ。

ゴシゴシ洗うと気持ちがいいと言うグリに

ヤシの実の外側の繊維を使って

デッキブラシを作った。

始め肌に良くないのではないかと

心配していたが、かなり気持ちが良いらしく

目を細めながら次はこっち次は反対と、

指示を出してくるほどの気に入りようだ。

魔物の肌って強いんだな。

ライオンの時にもブラッシングしてやる。

あの、誇り高きグリフィス様が猫のように

足にまとわりついてブラッシングしろと

ねだってくる。

かなり可愛い。俺的にツボだ。

あいつもそれをわかっているのか、

ウリウリ足にまとわりついておねだりする。

だが、結構ブラッシングもやり始めると

なかなか体力がいるから大変なんだよな。

俺はそんな気ままな異世界暮らしを楽しんでいた

ある日、俺たちのライフスタイルを変えさせる

出来事が起こる。




俺たちは森の中で調味料になるハーブを

採っている時だった。

グリはゴロンと横たわり毛づくろいをしていた。

ポヨは俺と一緒にハーブ採り。

というか適当な雑草を這いずりながら食っていた。

どんだけ食欲旺盛なんだよ。


するとグリがむくっと起き上がり


「何かくるぞ」


そう告げ少しすると俺の感知にも反応があった。


ーーーー 警告ーーーー

ロックバード・人族

接近中


状況

交戦中

ーーーーーーーーーー


「なんか戦ってるみたいだな。

こっちにちかづいてるみたいだ。」


するとそれはすぐに目視で確認できる

距離となった。


「な、なんだあの馬鹿でかい鳥?

グリと同じくらいかそれ以上の大きさじゃないか?」


「あぁ、あれはロックバードだな。

なに、あやつはデカイだけでただの鳥だ。

大した魔力もない」


「そ、そうなのか。だけどあのでかさは

結界無しじゃ厳しいんじゃないか?」


「うむ、あの人族ども血を流しておるな。

その匂いをどうやら嗅ぎつけたようだ。」


「ん?血?怪我してるのか?」


よく目を凝らすと四人の人間かと思ったら

一人はぐったりとして地面に横たわっている。

その人を庇うように円になり上から来る

ロックバードのかぎ爪攻撃を紙一重で

かわし剣を突き立てて応戦している。

だがそれは、今にも引っ掛けられ

やられてしまいそうな不利な戦況だ。

俺は知らず知らずのうちに

足が前に進みその場に向かって走り出していた。


「おい、どこへ行く?お主あやつらを

助けるつもりか?」


「いや、だって怪我してるんじゃ

ほっとけないだろ?」


「お主が行ってなんになる?」


「なんともできないけど

結界も俺にはあるし、それに

回復魔法をかけてやればなんとかなるだろ。」


「あの人族は悪い輩かもしれぬぞ?」


「それでも目の前で人間が八つ裂きにされるところなんて、

俺は見たくないんだよ」


「ふんっ。お人好しめ。

仕方のないやつだ。」


そういうとグリは起き上がり

俺をクチバシでつまんで背に乗せてくれた。


「グリ助けてくれるのか?」


「ふんっ。お主に何かあっては

従魔として支えておる我にとって

不名誉になるであろう。

それにお主の短い足で走ってもあやつらが

喰われてしまうぞ。」


「はいはい。ありがとうな。」


照れ隠しで憎まれ口を叩くが

グリが俺に対し優しいのは

出会った時から変わらない。

本当に面倒見の良い頼もしいやつだ。


「頭を低くしてしっかりつかまっておれ。」


そうグリが言い放った途端

猛スピードで空に舞い上がり



バサッバサーーーッ



シュンッ



シュンッ




ザクッザクッ




「ビェーーーーーーッビェーーーーーーッ」




ドスーーーーーーン



ドスーーーーーーン




ドッスーーーーーーン




「うむ終わったぞ。」


「な、なにが起こったんだ?」


「うむ、我が羽ばたき風魔法で

あやつの翼の根元に刃を放ったのだ。

翼がなければ飛べぬだろ?」


確かに目の前にいた大きな鳥が

今は翼をもがれて地面に突っ伏している。

あれではもう、大空を羽ばたくことは

2度とできないだろう。

それにしてもこの光景は凄まじいな。


「とにかく、助かったよ。ありがとう。

グリ悪いがあの人間の所に降りてくれるか?」


「ふんっ。仕方のないやつだな。

治してやるのか?」


「あぁ。ほっとけないんだ。」


「ふんっ。」


グリはゆっくりと風魔法を使いながら

天から舞い降りるかのように

軽やかに着地した。

きっと下にいる人間のことを考えて

あまり砂煙が立たないようにしてくれたのだろう。

なんとも気配りのできる王様だ。


すると下にいる人間が怯えながらも悪態をついていた。


「つ、次から次へと一体どうなってるんだ

この森は!」


「おいっしっかりしろ。ここで挫けたら

死ぬしかないぞ。勝機を見出すんだ!」


「わかってるさ、だけどよっ、こんなでかい

ヒッポグリフ見たことないぞ!チクショー!」


「とにかくヘンリー様だけでも命に代えて

お護りするんだ!」


「「「おう」」」


「・・・あのぉーお取り込み中失礼します。」


「ま、魔物が口を聞いたぞ!」


俺はどうやらグリの頭で全く彼らからは

見えないようだ。


「グリ、俺を降ろしてもらっていいか?」


グリは何も言わず俺が降りやすいように

スーーーッと頭を下げてくれた。


「ありがとう」


俺はスタスタと歩いて悪態をつく人たちの

元へ向かう。


「人間だと?な、何者だ!」


俺は剣を突きつけられる。


俺は両手に武器を持ってないことを見せる為

顔を引きつらせながら両手を上げる。

今にも刺してきそうな勢いなので

結界があるとはいえ恐怖がないわけではない。

すると1人の身なりの良い若そうな男の人が


「よせ、我らを殺すのであれば

わざわざ降りては来ないだろう。」


「はっ。しかし・・・」


「君、すまなかった。

もしや助けてくれたのか?」


俺はそうだと頷く。

すると剣を突きつけていた男が

突きつけていた剣を下ろした。

こえぇーーー。


「あの、怪我をされてるようなので

よければ手当てしても構いませんか?

俺、回復魔法が使えるので。」


「それは」


「お待ちください、何処の馬の骨とも

わからぬやつです。回復魔法と言いつつ

何をするか信用できませぬ。」


おい、えらい嫌われようだな。

死にかけてるぞ。その仲間。


「おい、お前たち。彼に失礼だろ。

我らを助けてくれたんだぞ、

しかも回復魔法までしてくれるなんて

有難いじゃないか。」


「し、しかし・・・」


「では、ポーションを持っていますので

それで治してあげてください。

お仲間さん、さすがに血を流しすぎじゃないですか?」


「ポーションだと?」


「はい、これが気に入らないなら

俺もどうしようもないので帰ります。」


「おい、タクミ。こんな奴ほかっておけ。

じきに別の魔物がそやつの血の匂いを嗅ぎつけて

すぐに現れるぞ。そんな無礼な奴は

喰われてしまえばよいのだ。」


「ヒ、ヒッポグリフが喋った!」


「おい、そこの人間。

我の名誉のために言うがあんな出来損ないと

この我を一緒にするでない。この愚民が!」


「まぁ、グリもう少しだけ待ってくれよ。

あの、使うか使わないかはあなた方次第です。

ここに置いていきますので、使うなり

放置するなりして下さい。

あとグリが言うように、このままここに居ては

危険だと思いますよ。」


「ま、待ってくれ。部下が失礼なことを言って

すまない。それもこれも私が不甲斐ないばかりに

部下を危険にさらしてしまったのが

原因なんだ。どうか許してほしい。

ポーションを使わせていただく。」


「へ、ヘンリー様。」


「うむ、ここでジャックを死なせたら

私は皆に顔向けができない。

大切な部下一人守れないような者など

誰が信頼し支えてくれると言うのだ?

私をどうか信じてくれないか?」


「勿体無きお言葉。承知いたしました。」


「ふんっ。やれやれ。そんな事をしておる間に

そこのやつは死んでしまうぞ。くだらぬ。」


「まぁまぁ。グリ、帰ったらお前の体

綺麗に洗ってやるからさ。な?」


「ふんっ。ビートとロックのソテーもつけろ。」


「ははは。あぁ、わかったよ。」


悪態をついていた1人がポーションを受け取り

匂いを嗅いだあと頷き怪我人に飲ませる。

虫の息で飲めないかと思ったがなんとか

飲み込めたらしい。


体がまばゆい光を放ちみるみるうちに

怪我が塞がり跡形もなく消え、引き裂かれた

服だけがヒラヒラして破れたままになっている。


「な、なんと言うことだ!これほど

回復するとは?!」


「ん?あ、あれ?俺・・・

確かオークジェネラルにやられて・・・。」


「ジャック気がついたか?

よかった。体の調子はどうだ?」


「ヘンリー様。はい、不思議な事に

戦う前より体力も魔力も回復しております。」


「な、何?とにかく無事で何よりだ。」


「よかったですね。

それでは俺たちはこれで失礼します。」


「ま、待ってくれ!」


悪態をついていた人が俺を呼び止めた。


「すまなかった!申し訳ない。

こんなに効き目のあるポーションを

分けてもらって。

あんなに失礼な態度をとったのに。

本当に申し訳なかった。どうか許してくれ。」


「分かっていただけたなら良いですよ。

それよりも早くここから移動しないと

魔物がまた来ますよ。」


「そうだな。君の言う通りなんだが

乗ってきた馬もジャックのように

やられてしまってね。」


「それなら一旦うちに来ますか?

何のお構いもできませんが。」


「いいのか?だが、流石に申し訳ない」


「たぶんですけど、このまま

ここに居れば同じ事になりかねませんから。

もう日暮れですので、ここで一夜を過ごすのは

かなり危険だと思います。」


「確かにそうだ。うーん誠にすまないが

お言葉に甘えても良いだろうか?」


「えぇ。俺もここで置いて行けるほど

薄情じゃないので。来てもらった方が

安心できます。」


「ふんっ。お人好しの阿呆めが。」


「グリ頼むよぉ〜」


「では改めてお願いしたい。

グリ殿もすまぬがよろしく頼む。」


「ふんっ。だが、我の背には乗せんぞ!

乗せるのはタクミとポヨだけだ。

タクミ、我はポヨと帰る。

お前はそやつらと先に帰っておけ。」


「悪いなグリ。帰ったらビート用意しとくな。」


「当たり前だ。行くぞポヨ」


グリ、拗ねちゃったよ。

でも嫌とは言わないところが優しいな。


「では皆さん、俺の肩にでも触れてください。」


「ん?肩かい?こうかな?」


5人の男達が俺の肩に手を乗せる。


「では、手を良いと言うまで

離さないでください。

離されたらその後の保証はできませんから。」


「あ、あぁ。」


それでは


『転移』


「もう良いですよ。」


「えっ?な、何が起こったんだ?」


「何だか景色がぐにゃっとしましたが」


「あれ?ここはどこだ?さっきとは違うぞ。」


「これは一体?」


「もしや転移魔法か?そんなバカな。

転移魔法なんて古の魔法だぞ?今使えるものなど

いないはずだ。それに無詠唱だと?一体・・・」


へぇー。いにしえの魔法なんだ。

神様凄いのくれたんだな。無詠唱?なんだそれ。

グリも始め生意気な!とか言ってたし

確かに古そうな魔法だな。

なんか色々聞かれたりして面倒そうだな。

サクッと家に入ってもらおう。


「皆さん、そちらが我が家です。

どうぞお入りください。」





読んで頂きありがとうございます

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