27.俺とグリとポヨのまったりとした1日
ポヨが来た事で最近俺の生活は
一段と快適になった。
主に水回りだ。
魔石をグリに獲ってきてもらって
アイテムを作ろうかと思っていた所に
ポヨが来たので細かいものは後回しに
していたのだが、
どうやら俺が作ろうとしていた物が
いらなくなりそうだ。
まず全自動洗濯乾燥機。
これは魔石をはめるだけの状態だったが
利便性と服の傷み具合を比べて
使わなくなった。
なんとポヨがチリやホコリ、汚れを
綺麗に食べて分解し服は傷まず
色落ちもないという、素晴らしい結果を出した。
まるでクリーニングだよ。
そのおかげでジャケットまで綺麗にできた。
ゴシゴシじゃぶじゃぶ洗わないわけだから
当然シワもない。
しかも洗ってないから乾燥も必要ない。
そして時間だ。なんと五分もかからない。
これだけ凄いと洗濯機は使わないので
アイテムボックスにしまった。
捨てるというか解体も考えたが
もしポヨが進化して
汚れの分解ができなくなった時に
困るのでしまうことにした。
次に食洗乾燥機。
これも用意しようと思っていたが
ポヨが綺麗さっぱりピッカピカにしてくれる。
という事で俺は洗い物すらしなくて良くなった。
時間もこれまた五分とかからない。
正直浄化槽も必要ない気がしてきた。
というのも俺が風呂を出ると
洗濯を終えたポヨが待っていて
風呂をピッカピカに掃除もとい食事を始める。
だから浄化槽で使っているのは
トイレと野菜などを洗う生活用水だけだ。
下手すると浄化槽までズルズル這って行きそうな
勢いだ。それに最近床もやたら綺麗だ。
床もズルズル移動しながらどうやら
床みがきまでしている様子。
前は俺やグリの毛やら羽やらが落ちてたのに
最近見かけない。
スライムって一家に1匹必要な
魔物なんじゃないのか?
そうすると掃除の仕事が確実になくなるな。
城塞都市とかあまり清潔じゃないって
あったけど皆んなスライム飼えば
確実に清潔になるだろう。
それにしても
こいつ一体どんなスライムになるんだ?
こんなに食わせて危険なやつになったら
不味いよな。
愛情たっぷりで育てよう。
まぁ、その辺りはグリが十分注いでるけどな。
でもそれを本人に言うと
「ふん、我は強きものぞ。
強きものが弱き者を加護するのは
当たり前のことぞ!」
とか突っぱねるんだよな。
照れ隠しがまた可愛いよな。
グリフィスちゃん。
やっぱり君はライオンではなく
ニャンコだよ。
さて今日の飯は何にするかな。
ポトフでも作るか。
ジャガイモ、人参を洗って玉ねぎも
皮をむき俺は大きい野菜がゴロゴロしてるのが
好きだから材料は全て大きめに切る
ジャガイモは半分、人参は大きめの乱切り
玉ねぎも半分だ。そして鳥もも肉、
コンソメを入れてコトコト煮込むだけ。
それにサラダはカルパッチョとトマトスライス。
マーニンビートのピクルスとオリーブオイルを
混ぜてドレッシングに。
今日はパンでいこう。
バターを置いたパンを手で軽く炙る。
うん、バターの香りが芳ばしくて食欲を誘う。
さて、
「おーい、できた」
「おるぞ。はよ食わせろ」
「わっ!後ろにいたのかよ。」
グリがよだれを垂らしてお行儀よく?座って
待っていた。
「うむ、バターというものの香りに誘われての」
「お前、本当にグルメだな。ライオンが
香りとか言うなんて前の俺なら
想像すらできないよ。」
「御託は良い。早く食わせろ。」
「はいはい。お待ちどうさま。召し上がれ」
俺はポトフや炙ったパンをグリの器に
盛り付けてそっと出してやる。
最近、ポヨにもシュガービートの絞りかすを
与えるようにしている。
神の錬金釜で本来は消えてなくなるのだが
それも釜に残るようにイメージして
スライムフードにしている。
さて俺も食べるかな。
食べ終わった後はポヨが洗い物を
担当してくれるから随分ゆったりと
飯が食える。
今日は噴水を少し改造する予定だ。
というのもグリが
「我も湯浴みがしたい」
と言い出したからだ。
「いや、鳥って湯で洗ったら油分とかとられて
肌にあんまり良くないんじゃないのか?」
「ん?何を言っておる。そんなことはないぞ。
我はたまに湯の湧き出る泉で湯浴みもするぞ」
魔物だから普通の動物とはやはり作りが
違うのだろう。
「でも肌が乾燥とかしないのか?」
「せぬなぁ。むしろ人族よりも
我らの肌は強いからお主の使う
石鹸などで洗ってもお主のように
乾燥?などはせぬな。」
「そ、そうなのか?」
「うむ、人族が一番肌が弱いのではないか?」
「なるほど、じゃこれ使うか?」
俺はグリフィン印のラベンダーの香りがする
肌に優しい洗顔石鹸を取り出した。
「おぉ!これは我の美しい姿が描かれておる
それに優美な香り。これは良いの。」
「匂いとか強くないか?なんなら
香りがもう少し弱めな物も作るぞ。」
「うむ、そうだな。ではそうしてくれ。
人族と違い鼻が良いのでな。」
「わかったよ。湯浴みは噴水でできるように
改造するよ。お湯が出るように少し
手を加えるだけで済むから。」
「そうか。うむ、ありがたい。
朝方は寒いのでな。」
「そうだよな。わかった。魔力を軽く
注げば温度が変えられるように
作っておくからできたら教えるな。」
「うむ、楽しみだ。」
こうして噴水改造と魔物用の石鹸を
作ることになった。
噴水はすぐできるけど
問題は石鹸だよな。
香りはラベンダーのオイルとかはやめた方が
いいよな。
多分匂いが強すぎるしそれに油分が多いと
羽に影響が出るような気がする。
それを考えると香り付けには
オイルじゃなくて乾燥させた粉末を使おう。
それもごくわずか。
香りは気に入っていたようだから。
俺がわからないくらい入れれば
あいつには十分香るだろう。
あとは配合だな。
材料はこんなところか。
人間用は色々追加しても良さそうだけど
動物用はシンプルにいこう。
オリーブオイル、ココナッツオイル、
パームオイル、ラベンダー粉末、苛性ソーダ
色々分量を変えて作ってみよう。
ーーーー1時間後
ようやく納得のいく分量のものができた。
香りも俺にはほとんどしないし
洗い上がりはスッキリするが
乾燥はしない。
髪の毛に俺も使ってみたが
乾かすとサラサラになるのが特徴だ。
だが分量一つで恐ろしく変わるな。
オリーブオイルだけだとしっとりするけど
これはグリにはしっとりし過ぎる気がする。
人間用のシャンプーにはいいかもしれないな。
オリーブオイルとココナッツオイルだと
髪がサラサラになるが泡立ちがイマイチ。
そこでパームオイルを少し足して
泡立ちを良くした。
そして最後に香り付けの粉末。
これは俺にはわからない世界なので
グリを呼んで小、中、大と三つの
ラベンダー粉末を配合した石鹸を
嗅いでもらい好みの石鹸を選んでもらった。
グリは中がお好みのようだ。
次にこの分量の石鹸を神の錬金釜で
紙石鹸のイメージにする。
たぶんこの方がグリには使いやすいだろう。
俺が洗ってやるのもいいが
自分でもできるようなら
きっと嬉しいはずだ。
もちろんグリフィスマークは
きちんと入れる。
よし、神の錬金釜に材料を入れて
スイッチオン
・・・チーン
「おお!できた!ちゃんと紙石鹸だ。」
よーしグリに試してもらおう。
「グリーできたぞー。試してみてくれー」
「うむ、おお!これにも我が描かれておる。
香りもよいのぉ。どれ使ってやろう。」
俺たちは噴水に向かった。
グリが噴水に浸かると
ポヨが一緒に入っていく。
何をするのかと思ったら
紙石鹸を一枚取り込み
分解するわけではなく
自分の体の表面に浮き上がらせて
グリの体を洗い始めた。
これにはグリも驚いて
「おお、ポヨよ。お主はそんなことも
できるのか。
うむ。なかなかに心地が良いぞ。」
そんなことを言いながら目を細めて
喜んでいた。
まるで孫に背中を洗ってもらうじいちゃんだ。
それにしてもポヨの成長が目覚ましい。
一体スライムってどんな魔物なんだろうな。
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