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198.ローマン浴場オープン

「お集まりの皆様、本日は明後日に正式オープンとなります、ローマン浴場のプレオープンにご参加下さいまして誠にありがとうございます。この施設では様々な趣向を凝らした温泉だけでなく熱を利用したサウナやご婦人方が愛して止まぬ美容の為のエステに紳士の日頃の疲れを癒すマッサージ、さらにこちらのパンプルームで朝食に昼食、アフタヌーンティーを召し上がる事もでき、紳士淑女の皆様に極上の癒しと大人の社交場としてご利用いただけるよう美しい調度品も揃えた素晴らしい施設でございます。本日は皆様に是非この地上の楽園を是非ご堪能いただきご友人、ご家族皆様にお知らせください!もちろん、男女混浴はございませんが、天然のポーションを体に浴び、男性は英気を養い戦場とも言える議会に!女性は美の戦場であるお茶会にさらに磨きをかけてご参加下さい。そして他の方よりも楽園の経験というステイタスをここで手に入れて頂ければと存じます。おや?つい興奮のあまり長く喋ってしまいました!それでは皆様、お時間の許します限りお心行くまでこちらの温泉施設をご堪能ください!!!」


「ヘンリーさんもアーロンさんも挨拶で忙しそうだね」


「ええ、メアリー様も奥様方への挨拶に大忙しですわ」


「それにしても俺、場違いじゃない?」


「いえ、主人は今日は招待客なのですから堂々となさって下さい」


「マーガレットさんはいーよねー。こういうのも慣れてるんでしょ?」


「ええ、父の付き添いでたまにですが貴族様の催し物やパーティーに参加していましたので」


「今日はジャックさんと一緒じゃなくて残念だね」


「ウフフ、お仕事で頑張っておいでのお姿を見るのも素敵な事ですわ」


「はい、ご馳走様です」


「じゃあ、早速温泉に浸かってこようかな」


「そうですわね。では途中までお供いたしますわ主人」


マーガレットさんと別れ中へ入ると中はとても広々としていて温泉を使った床暖房に、サウナや石造りの貯水槽とこの温泉の目玉であるプールほどもある浴槽にはお湯が沸きあがる部分があり、かすかに炭酸の気泡も見受けられた。この大きなプールほどの浴槽は一番深い所で深さが1.5mもあり泳ぐ事も可能だ。他にも俺が提案した壺型の一人温泉や日替わりハーブ風呂。水流を使ったジェットバス温泉などかなりこだわった作りとなっている。しかも一番の魅力はやはりこの温泉の効能!何てったって43種類のミネラルってすごい数だよな!しかも女性も嬉しい美肌から婦人病系にも強くて火傷から運動麻痺に糖尿病と何でもござれだ。それにしても最初はボロッボロだったのによく、この短期間にここまで綺麗に整備したよなぁ。今日はのんびりゆっくり浸かって温泉を満喫しなきゃな。有難や〜。


まずは体を洗って〜。おっ!ちゃんとグリ印のうちの石鹸置いてくれてる……ムフフフフ。これでまた不労所得ゲットだな。シャンプーから何からうちの商品。ちなみにこれはエステやマッサージでも購入可能なのだ。もちろんハーブも置いてるよん。ちなみに女性の脱衣所にはここの温泉をベースにした温泉化粧品が基礎化粧品として置かれている。こちらももちろんエステで購入可能。頑張ってよかったな俺。あーしかし不思議な温泉だな。日本とは少し違う感じがする。魔力回復とかにも効果あるのかな?


「温泉とはかように気持ちが良いものとは思いませんでしたな?」


「そうですなぁ。寄る年波には勝てず関節痛をポーションで誤魔化していたがここに通ったら治るかもしれないな」


「娯楽をしながら病が治るならありがたい話だ」


思ったより受け入れられているな。よーし次はサウナ行こ〜。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


これが主人が言っていた美肌の湯!仕事ですけど楽しまなくては損ですわ!それにしても素敵なデザインだわ。それにこのお湯。少しシュワシュワしていて透き通っていて綺麗だわ。あら?!寝転びながら楽しめる温泉もあるのね!キャーあっちは何かしら?すごい熱気だわ!これがサウナね。汗をかいて体の毒素を出すのね。新陳代謝も良くなってお肌が綺麗になると主人は言うけど汗を沢山かくから余分な水分が抜けてむくみがとれるわ!うーん!良い!お風呂もいいですけどこの広々とした中で入るのはまた違った趣がありますわね。それにこの湯が全て天然のポーションと考えるといつまででも浸かっていたい気持ちになりますわ。あちらはハーブ湯ね。今日はラベンダーね〜。良い香り〜。この温泉が家でも楽しめたら最高ですのに。大分汗もかきましたし堪能できたのでそろそろエステを見学に行きますか。ジェーンは頑張っているかしら?


「んまぁ?!2時間待ちですって?!」


凄いわ!予約を取ってお風呂やパンプルームでエステ待ちをしているのね?!これは大成功ね。邪魔しちゃ悪いから見学はなしね。おや?お一方出ていらしたわ。


「あの、失礼ですがエステは如何でしたか?」


「あら?とても気持ちよくて本当に楽園に来たかと思ったわ。あなたも是非体験しなさいな。それではごめんあそばせ」


やった!すっごい気難しそうな奥様だったからこれは大成功ね!マッサージはどうかしら?


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


そろそろマッサージに行こっかなぁ〜。


「大変申し訳ございません。只今2時間待ちとなっておりますので申し訳ございませんが予約をお取り頂きお待ち下さいますようお願い致します。お客様の番が参りましたらベルにてご案内いたしますのでどうぞマッサージまでお越し下さい」


「そうか。仕方がない、私はストートン男爵だ。よろしく頼む」


忙しそうだけど繁盛していそうだな。


「あぁー日頃の疲れがとれて体が軽くなった!」


「私もだ。ここに来るならば是非マッサージも予約を入れなければならないな」


「そうだな。しかしあのフットバスとかいうマジックアイテムはあれは中々だ。是非ほしいがどうしたら手に入るのだろうな」


「うむ、あれは確かに良いものだな」


おっ!あれやっぱり反応がいいな。風呂グッズもカタログ販売するか。これは店舗オープン前に良い反応が見られたな。とりあえず、そろそろパンプルームに行くか。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「主人、お疲れ様です」


「マーガレットさん、先に来てたんだ。ごめんね待たせて」


「いえ、主人は大変温泉好きと聞いておりましたから、堪能できましたか?」


「うん!最高!通いたくなるよ。女性の方はどうだった?」


「はい、大変心地よくてずっと浸かっていたくなるような願望に打ち勝ってここに来ましたが、残念な事に当初の予定のエステ見学はできませんでした」


「実はマッサージもなんだ。2時間待ちとかで遠慮してきたよ」


「そうですか。こちらも似たような状況でしたが出てきたお客様に声をかけたら大変満足されていらっしゃいました」


「マッサージの方も評判は良いけど、フットバスを家に欲しいって言う人がいたんだ。あれも販売しちゃう?」


「そうですわね。魔石無しの物を販売してもよろしいかもしれません」


「それでね、俺さあこういう事を今考えてるんだけど、どうかな?」


「本でございますか?」


「カタログを見て購入してもらうシステムを……」


「なるほど、次から次へと主人の頭の中はいったいどうなっているのでしょう?」


「え?えへへ」


「確かに素晴らしい販売方法ですね。もう少し店の方が慣れてきたら第二弾として進めるのも良いかもしれません」


「そうだね。ゆっくり進めていこう」


そしてプレオープンは無事大成功を収め、その後順調にオープンし貴族だけでなく、富裕層も入浴に訪れる事となった。その理由の1つはオープンの式典でなんと女王陛下よりの素晴らしいサプライズ演出があったからだ。


カラーンカラーンカラーン!!!


「皆の者よく聞くが良い!!!エリザベス女王陛下よりのお言葉を伝える!この度ザマゼット公爵領バースにグランド王国初となる天然ポーションの湧く温泉入浴施設がオープンし、とても喜ばしい事だ。そして妾の健康を願い、さらなる王国の発展にとその1つ、女王の泉と名をつけた妾専用の温泉施設を献上したザマゼット公爵に国王承諾の特許状において温泉についての責任を負うこととする。この義務は圧力、温度、流量の監視をするものとし、さらにバースを女王の避暑地の1つに加えるものとする。次のバケーションには施設の社交場にて皆と語らう時を楽しみにしておる。利用者には風紀を乱す事なく紳士たりうる振る舞いを行い皆の見本としてバースの社交場を盛り上げてもらいたい…以上である。と仰せである!エリザベス女王陛下のお言葉を守り風紀を乱す事なく日頃の疲れを癒し政にさらに尽力するように!さらに今後も混浴は許されぬが毎日の入浴を黒死病の予防法としてグランド王国は推奨するものとする。以上!」



「フッ。ベスにやられたな」


「良き妹様をお持ちですねヘンリー様」


「そうだな、これでグランド王国中に知れ渡ったからね。この地はまた大勢の観光客で賑わう街となるだろうな」


「はい、タクミ殿が仰っていた街の構想も順次進めていけますな」


「ああ。これでまた少し貧しい領民が救われる筈だ」


「はい」


「だがアーロンのお陰でもあるんだ。宣伝してくれたのはベスだけど、入浴の認識を変えるように仕向けたのはアーロンのお陰だよ」


「いえ、私はできる事をしたまでです」

読んで頂きありがとうございます。

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