188.評価
「「「「「「「「「「「「本日はありがとうございました」」」」」」」」」」」」
「じゃあ皆んなは片付けして休んでね。お疲れ様でした」
無事にマッサージとエステを終えた従業員は安堵の表情を浮かべ、受けたお客様方であるマーガレットさんとジャックさん、そしてヘンリーさん一行は来た時よりも顔色も赤みがさし随分と雰囲気も柔らかくなっていた。心も体も癒されたかな?
「じゃあ、皆んなで食事にしようか?」
「そうですね。感想はそちらで」
こうしてヘンリーさん一行の泊まっている宿に戻り食事をする事にした。基本夜の営業の食事処の許可はされていないが泊まり客の食事と一緒ならば食事にありつける。マーガレットさんと俺は現在寮を使っているので通常なら外食はできない時刻だがヘンリーさん達と一緒なら外食できるのだ。宿限定だけどね。
「じゃあ、皆さん行きますよ」
ぐにゃーん
ちなみに今日のメンバーだけは信頼足りうる方々のため俺が転移を出来ることを知っている。あとはリッチモンドの冒険者ギルドのマスターとリッチモンドの日本でいう執事さんはこの事を知っている。基本的には転移ができる事は内緒の話なんだよね。
「やっぱり凄いっすね!この魔法!便利〜!」
「あはは。そうですね堂々とは使えませんけどね」
「さあ中に入ろう皆んな」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「じゃあ早速だけどどうだった?皆んな」
「エステは私はフェイシャルがとても気に入りましたわ!」
「俺は頭皮マッサージ」
「私は………………」
「要するにエステもマッサージも問題はなさそうだね?接客や言葉遣いはどうだった?」
「あれでしたら貴族でも問題なく対応できると思いますよ」
「アーロンがそういうならマッサージは問題ないね」
「エステは?」
「エステも問題ないと思いますわ。でも褒めちぎってほしい貴族の女性もいるでしょうからそこは見極めがいるわね。私はあの音楽に癒されてあまりペチャクチャお話しされるよりも今日のように静かに相槌を打ちながら質問にもきちんと答えてくれるスタイルが好きよ」
「そうですね。あまりごちゃごちゃうるさいのは煩わしいかもしれませんわね」
「皆んなはどう?」
「私はとても勉強になりました。あとはメアリー様へご自宅でも似たようにエステができるようにと思い始めは技を盗んで戻るくらいのつもりで行ったのですが心地よすぎて終わった時にはエステの施術に心奪われてしまいましたわオホホホホ」
「私も勉強のつもりで行きましたが、あれは一朝一夕では覚えられないので通いたいと思ってしまいました」
「私は最近少し実家の方から嫌な便りがございまして気分が落ちていましたが、今日の施術で少し心がサッパリとしてクヨクヨしていたのが前向きに変わりましたわ」
「まあ?そんな事がありましたの?力になれる事がありましたら言ってくださいな。気づいてあげられなくてごめんなさい」
「いえ、とんでもない事でございます。単に父がまた妾を持つという下らない事でございます。母の事を思いますと少し胸が痛みましたが、母はいつもの事だから気にしないようにとの内容でモヤモヤとした気分だったのです」
「そうでしたの。あなたのお父上はお元気なのね」
「はい。お恥ずかしいですわ」
「力になれる事は少ないかもしれないけど何かあれば行ってちょうだい?貴女は私の妹のような存在なのだから」
「ありがとうございますメアリー様」
「マーガレットはどう?自分の所をチェックするのは難しいと思うけど」
「はい、問題は無いと思います。女性は男性のコースとは違いフェイシャルコースもありますがフェイシャルは温泉水の化粧品を使ってエステをしますがもう少し幅を広げても良い気がします。例えば高級化粧品を使ってエステをするのも良いかと思います」
「なるほど。そうですね。では手配をマーガレットさんお願いします」
「かしこまりました」
「今の皆んなのお話からすると心の健康にもとても良いのですね。マッサージはどうですか?」
「気持ちよかったっす」
「目の疲れと肩の疲れが吹き飛んだよ」
「体が軽くなったな」
「ふむふむなるほど。皆さん悪い印象はないようですね?」
「アーロンさんはいかがでした?」
「接客態度も良いですし、よく練習も積んでいますし問題ないと思います。つい興味が湧き膝下までのフットバスも体験させて頂きましたが実に良かったです。タクミさんあれは商品化しないのですか?」
「ええ?そっちですか?!」
「はい、あと、音魔法の物も良いですね。それからオイルですが、あちらも店舗で販売されるのも良いかと思います。あとあの技術は登録すべきですよ! 皆の話を聞く限り心にも体にも良い効果が現れるのですからポーション以外にも健康を保ち、さらに体調不良の予防ができる方法の一つとして登録すべきです!」
「いや、一人だけ効果が得られなかった奴がいるぜ」
「え?」
「アーロンお前だよ。いつも以上に仕事脳になって商魂靈ギラつかせてるじゃねえか」
「はい、頭がスッキリとして今ならばいつもの3倍仕事がスムーズに捌けそうですよ」
「ジャック、たぶんこの人はそれが効果なんだよ」
「はぁー。どこまでいっても仕事脳だな」
「私から仕事をとったら何も無くなりますから」
「ははは。たしかに僕はアーロンがいないと仕事ができないし頼もしいけどたまには休んでね」
「そうですね。仕事の能率が下がったらマッサージを受けるように致します」
「あ、ああ。タクミ君、ちょっと」
「はい?」
「ボソボソボソ」
「はい。承知しました」
小声でヘンリーさんが俺に伝えた言葉はアーロンさん施術禁止令だ。これ以上忙しくなるのは嫌らしい。そりゃそうだ。アーロンさんが3倍スムーズに仕事を捌いたら3倍ヘンリーさんの山積みの書類が増えるしそのうち雪崩が起きるだろう。
こうして賑やかにエステ、マッサージ部門の評価を終えて楽しい食事をとった。
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