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17.神の錬金釜に依存して生きてます

 ────湖の魚、海水、砂、貝殻、塩、ヤシの実、コーヒーチェリー、バナナ、オリーブ。


「よし。今日の収穫物はこんなもんかな」


 家に戻った俺はまず風呂に入った。

 潮風と熱帯のおかげで、体が汗だくのベタベタで気持ちが悪かったからだ。


 そしてスッキリした俺は、アイテムボックスの中身を確認した。


「いや〜沢山採れたよなぁ。しかも調味料になる塩やヤシの実、オリーブまで採れてまさかのコーヒー。想像以上の大収穫だ。しかも今日は時間がなくて採れなかったけど、オレンジっぽい物やレモンみたいなのもあったぞ。明日も新しいものを探しに行こう」


 さて今日のとった材料を加工するか。

「塩は浜辺で作ったから、コーヒーチェリーからいこう」


 神の錬金釜を取り出し、コーヒーチェリーを入れて、果肉と種を分けた瓶詰めのイメージをしてスイッチオン。



 ……チーン




「うん、うまく分かれてるな。果肉の方はデザートで食べよう。少し氷魔法で瓶を冷やしとくか」


 冷やした瓶詰めは食料箱に入れる。


 次はこの豆を焙煎し、ダンディーライオンで作ったコーヒーのようにインスタント化する。

 コーヒーフィルターが無いからね。


 神の錬金釜に、再びコーヒーチェリーの種子を入れて、スイッチオン。



 ……チーン



「できたかな?」


 覗き込むと、ダンディーライオンのコーヒーの時と同じく、お店で売られてる粉末になったインスタントコーヒーの瓶詰めができていた。


「よぉ〜し、今日は他にも色々あるから、続けてどんどんいくぞおぉぉ」


 次はオリーブの実。


 これは見た目が綺麗な物を選んでとったつもりだが、サイズとか不揃いなので、大中小と大きさを分け、まずは洗って神の錬金釜に放り込む。

 種取りはしないほうが美味しくできるらしいので、種はとらずにいく。

 時間もかかるし包丁もないしな。


 大きいものは塩漬け。


「10%の塩とオリーブを釜に入れてっと」


 スイッチオン


 どうやって重さを図ったかって?

 なんと、生活魔法でスケールって言う魔法があった。

 たしかに魔法使いって、いつも何か作ってかき混ぜてるイメージ。

 目分量で入れてる雰囲気だったけど、あれも実は生活魔法のスケールを使っているのかもしれない。

 あまりに重いものは難しいが、手に持てるくらいの量、俺なら30キロくらいまではどうやらいけそうだ。

 きっとこの世界には重さを測る体重計とかはあっても、お菓子作りなどに欠かせない、電子スケールみたいな物って必要ないんだろうな。


 ……チーン



「できてるかな? どれ一つ食べてみるか。うん! オリーブだ! うまい!」


 本当なら、かなりの時間をかけてアク抜きしないといけないオリーブも、神の錬金釜なら一瞬だ。


 さて、今度は小サイズ。

 これはオリーブオイルにする。


 神の錬金釜にセットして……。



 出来上がったオリーブオイルを半分ほど使って、中サイズはオリーブのオリーブ漬けを作った。


 茶色のヤシの実は風魔法で穴を開け、水分を取り出して半分に割り、ココナッツの白い部分をえぐり取り、神の錬金釜でココナッツミルクとココナッツバターとココナッツオイルを作り、ココナッツミルクの一部をさらに神の錬金釜に入れてクリームをイメージ


 本来作るなら、ココナッツミルクを大変な思いをしながら、煮たり絞ったりして濃厚なミルクに仕立て、それを一晩おいて脂肪分と水分を分離させ、脂肪分の固形物を集めてそこに糖分を加え、機械で攪拌してホイップクリームにするらしい。


 うん、恐ろしく大変。


 実際、穴さして水抜いて割ってくり抜く作業は、俺も業者並みに獲ってきたから、量が多くて地味に骨が折れたけど、そのあとは楽なものだ。

 だってイメージしてスイッチオンで瓶詰めにしてくれるんだからな。


 ココナッツクリームはホイップせずに、水分と分離させたホイップする前段階の、素になるクリームだけ集めておいて保存しておく。

 時間経過がないアイテムボックスがあるから、劣化も腐ることもない。

 つまり食べたくなった時にクリームと糖分を錬金釜に入れて

 ホイップクリームをイメージすれば、いつでも簡単に食べられる。

 そのままホイップクリームを保管した方がさらに良さそうかもしれないが、今後さらなる新たな糖分が採取できるかもしれないので、加工できるように素だけの保存にしようと思う。

 クリームの使い道は今の所コーヒーもできたし、ウインナーコーヒーにでもしようかなと模索中。


 ココナッツの外側についてる、茶色の毛のような繊維は捨てずにたわしを作る。


 ココナッツバターはパンに塗って食べたり、バターソテーに使いたい。

 ココナッツバターはオリーブオイルより、ミネラルとか豊富で栄養価の高いスーパーフード。

 女の子に人気な食材で婆ちゃんも愛用してた食材だ。

 湖で獲ってきた魚で小麦粉はないが、ジャガイモを加工した片栗粉を作ったので、片栗粉をまぶしてソテーができる。


 ココナッツバターを鑑定したら、ここでも日本同様ココナッツオイルに含まれる中鎖脂肪酸とビタミン、ミネラルが豊富で美肌効果、アンチエイジング、むくみ解消などあるらしい。さらにココナッツオイルより、脂質が少なくてプロテインや食物繊維が豊富で便秘解消効果もあるのにヘルシーらしい。


 うん。女子がいたら即買い商品だろう。

 とりあえず料理するのはこちらの方が良いのか?

 よくわからないがココナッツオイルは石鹸作りに使いたいと思ってる。


 魔法やボディーソープがあるとはいえ、石鹸で顔を洗いたい。

 ボディーソープだとどうも顔が乾燥する。

 どうせならいい匂いのするやつを作ろうと思う。


 その石鹸作りで必要なのが苛性ソーダ。

 薬局行って印鑑おして買うものらしい。

 危険物なんだろうな。

 取り扱いに注意しないと。

 その苛性ソーダは塩を電気分解すると作れるらしい。

 そんな器具、俺にはないが、もっと便利な凄いやつがある。

 先程からひたすらお世話になってる可愛いやつ。

 そう!神の錬金釜!

 青い猫のポケットから出てきそうなアイテム。

 これを使ってイメージすれば

 きっと手に入るはず。


 さてと食塩水を作って神の錬金釜へ。

 今までと違いなぜか緊張する俺。

 電気分解とか化学的な事を挑戦していなかったからな。

 でも本来化学の大元は錬金術な訳だし問題はないはずだ。


 それではスイッチオン!



 ……チーン




 蓋をあけ鑑定すると、あっさりできた。

 めっちゃ緊張したけど、問題なさそうだ。


 よし、これなら石鹸が作れそうだぞ。

 試しに作ってみよう。


 材料はオリーブオイルとココナッツオイル、それから苛性ソーダに香り付けのラベンダーオイル。

 本来なら精製水がいるところだが、なぜかポーションなどを作るときも、勝手に水が追加されるので、水を入れずに作ってみる。


 形は少しおしゃれに四角い形にして……そうだな。

 貴族とかの紋章にある、グリフィンのマークでも入れてみるか。

 なんかかっこいいじゃん。

 型とかないけどきっといけるだろう。

 あとは熟成させた方がしっかりと固まるようだから、そのイメージも追加して。


 よし、それでは

 スイッチオン!



 ……チーン



 どれどれ。


 試しに手と顔を洗ってみる。

 泡立ちもいいし、洗い上がりがさっぱりするのにつっぱらずしっとりするな。

 しかもラベンダーのいい香りもする。

 固さもしっかりしてるな。

 これは成功だぞ。

 今まで顔をボディーソープで洗ってたから、なんだかたまに粉ふくんだよな。

 でもめちゃくちゃ汚れるから、洗わないわけにもいかなかったけど、これで安心だ。

 しかもちゃっかりグリフィンのマーク入り。

 あいつが石鹸使う魔物なら、是非分けてやりたいくらいだ。


 さて、今日は夢中で作業したから、いつもよりかなり遅くなったが夕飯にしよう。


 まだ残ってるサルビーフッヘンに、片栗粉をまぶしたココナッツバターソテーを作りたいと思う。

 まず切り身に塩をふって、本来なら余分な水分を取るところだが


「あー。キッチンペーパーほしい」


 そう俺にはそんなものはない。

 なので片栗粉をまぶし、土魔法で作ったフライパン風な、岩の取っ手付きの板にココナッツバターをのせて、切り身をいれ焼く。

 たまにバターをかけたりして半分焼けたらひっくり返す。


 その間にトマトスライスを作ろう。

 トマトをウォーターメスでカットして、オリーブオイルと塩を振りこれは完成。


 相変わらず水浸しになるまな板に、水の流れる道を作ってシンクに流れ落ちるように作り変えた。


 そうこうしてる間にバターの香ばしい香りがしてきた。


「よし、いい焼け具合だな」


 スープは作り置きの玉ねぎと人参、ウインナーのコンソメスープ。


 そして今日の主食はパスタにした。


「あぁ、米食いてえ。そういえば、グリフィンは色々な食べ物食ってるとか言ってたよな。あいつに聞いたら、もしかすると米の存在知ってるかもな。米があったら甘酒も作れるのになぁ」


 よし揃ったな。

 では錬金釜をくれた神様と、手伝ってくれたグリフィンに感謝していただきます!



「うん、うっめぇー! ちゃんとココナッツバターソテーだよぉー」


 サルビーフッヘンもやっぱり調理すると、さらに旨くなるなぁ。

 オリーブオイルはどうだ?


「なんだこれ?めちゃくちゃうまいぞ!オリーブオイルってこんなに美味いのか」


 今まで安いやつしか使ってなかったから、味の違いがよくわかる。

 もちろん酸化もしていないし、味が濃厚で深みがある。


「今までのオリーブオイルはなんだったんだ。あっ!これパンにも合うはず」


「う、うんめぇ────」


 よし明日も収穫がんばろう。

読んで頂きありがとうございます

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