160.ポーション3本
「フゥー、かなりコピーしたなぁ。とりあえず置く場所もないし、積んでいくか。」
「そうだな。あちらは分解が終わったようだしな。」
まずは、積む前に建物の基礎を作る。と言っても俺の土魔法でガッチガチに固めるだけ。本来なら地面をならして、木枠をつけたり鉄筋入れたりコンクリ流して固めたりと地震対策で必要なのだがそれ以上に強固な魔法があるので基礎は土魔法だけ。本当は頑丈だから全部土魔法で建てたいところだけど、流石にお店だし、外観も大事だから今回はレンガを使う事にした。色んな所を見て回ってやっぱりレンガ造りの重厚感に魅了されたのも大きいな。
「このあたりでいいかな。」
『クリエイト』
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
「どうかなグリ、ちょっと殴ってみてくれ。」
「うむ」
ドゴーーーーーーーン
「おい、多少は加減しろよ。」
「何を言う、加減しては意味がないだろう。」
「そうだけど・・・で、どうだ?壊れてないか?」
「うむ、よくできているぞ。少しも欠けておらん。こしゃくな。」
「いや、本気で壊そうと思えば多分壊れるから止めろよ」
「うむ。」
「じゃあ次はレンガを積んでいくか。」
以前にサーチで積み方を探して暇な時に少し練習しておいたので問題なくできるはずだ。
積み方は1列目はレンガの長い面が見えるように積んでいって2列目は短い方の面が見えるように積み重ねていき、それを交互に繰り返していく。角にあたる部分にはようかんと言われる半分のサイズのレンガを入れてさらに接着剤の漆喰も入れていく。よしイメージはバッチリだ。
「よぉーーーーし!気合い入れていくぞ!」
『クリエイト!』
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
ダンッダンッダンッダンッ
「うおっ。」
バタッ
「やはり、流石のお前でもこれだけのデカイものを造るには魔力が足りぬか。」
「これが魔力切れかぁ〜。体の力が全部持ってかれた気分だわ。」
「まあ、準備しておいてよかったな。ほれ。」
「ああ、ありがとう。」
実は今回の建築、俺的にも魔力が足りなくなるのではないかと考えていたのでグリ達用のマジックバックに普段は獲物を入れているが、今日はアイテムボックスすら開けなくなる事を想定してグリに俺特製の回復ポーションを預けておいた。
ゴクゴクゴク
「プハーッ生き返ったわぁ〜」
「アホ、あまり無理をするな。」
「そうだな。でも、キリのいいところまでやっちゃうよ。なんなら、散歩でもしてきていいぞ。」
「フンッ。またお前がまた無様にぶっ倒れる姿を見られるかもしれないからな。笑ってやる為にここに居てやろう。」
「フッ。ありがとう、頼もしいよ。」
「フンッ。さっさとキリの良いところまで終わらせろ。」
「はーい。」
こうして昼休憩も挟みつつ、俺特製の回復ポーションを3本消費して1日で建物だけ建ててしまったのだ。かなり無理したので流石のグリにも叱られた。ぶっ倒れた俺の頭の上でアホアホずーっと言ってたな。もちろん、外壁の漆喰塗装とかはできてないし、ガラスの取り付ける所は開けっぴろげで夜見たら突如廃墟が現れた感じ。とりあえず雨に降られたら困るし、鳥が勝手に入り込んだりしても困るので作った建物に結界をかけて今日は作業終了にした。
「今日は流石にしんどいから。このまま寝たいけど、俺ら今、宿無しだったわ。」
「そうか。宿をとっておらんな。」
「流石にここで野宿はガーデナーさん達に怒られそうだしマーニン島に行くしかないか。」
「お主、転移できそうか?いくらポーションを飲んでいるとはいえ大丈夫か?」
「うーん。こんな時にテントがあれば助かるよなぁ。」
「そうだな。どうせ、あの上穴が開いておる所は我らの住処になるのであろう?」
「そうだな。」
「では、結界も張っておること事だし上で布団を敷き寝れば良いのではないか?ガーデナーの奴らも上にいる事など気がつくまい。」
「そうか。うーん。一応風魔法で乾燥したし漆喰の匂いはしないとは思うけど、お前は鼻がいいから厳しいかもしれないなぁ。」
「上がるだけ上がってみようぞ。」
「おう。」
グリはいつもより俺に優しく飛ぶ時もふんわりと飛び上がってくれた。
バサッバサッバサッバサッ
「どうだ?グリ、匂いは気になるか?」
「うむ、大丈夫そうだ。」
「じゃあ、悪いが今日はここで野宿だ。すまないな。」
「気にするな。それにしても広いな。」
「あぁ、グリが獅子の姿でゴロンとしても狭くないようにと思ってな。今入ってきた所が俺たちの玄関口で右側に風呂、左側に寝室正面がリビングでその奥にキッチン。リビングの右側には書斎兼仕事部屋。リビング左側はサンルームだ。基本的に昼間は陽の光が入るようにほとんどガラス張りの部屋だ。」
「ほう。外から丸見えか。」
「いや、外は常に結界を張っておく予定だ。だから外から内側は見えないようにする。寝室はしっかり壁があるけどな。」
「なるほど。ガラスはマーニン島のような物を作るのか?」
「いや、あれよりバイオレット達のレンズを使いたいと思うんだ。だからポヨには活躍してもらうぞ。」
ナデナデ
「そうか。あれは頑丈だからな。」
「とりあえず、飯出すな。」
「うむ。」
俺はアイテムボックスから灯台とテーブルに椅子、作り置きのカレーと米、サラダと飲み物を出してサクッと食事を済ませた。
「ポヨ、頼むわ。俺は布団敷くな。」
今日はクタクタなのでクリーン魔法で体全体を綺麗にして、そのまま布団に倒れこんだ。
「おやすみ〜。」
グリとポヨが心配そうに見つめる事も気がつかずに俺はそのまま意識を失うように眠りに落ちた。
「アホな奴め。無理をしすぎだ。」
ポヨーン
「ポヨ、今日はいつもより冷えるからな。」
俺は夢を見た。グリが優しく俺を包み込んでポヨと一緒に3人で寄り添い眠っている姿を上から見ている夢だ。
ーーーー翌朝
「イテェ」
夢と現実は違うな。思いっきり俺の顔に前足で蹴りを入れているグリ。
「おお、起きたか。腹が減ったぞ。」
グリグリウリウリ
「起きるから、前足をどけろ。」
スタスタスタスタ
ああ、昨日の夢は心温まる感じだったのに、やっぱり夢は夢だな。人を足蹴にしておいて優雅に前足舐めて顔を洗ってんじゃねえぞ。この野郎。と言いたいところだが、昨日はグリに迷惑かけてるし何も言えねぇ。
「朝飯、置いとくな。俺は布団片付けるわ。」
「今日はサンドイッチとミネストローネか。おっ!カリフワもあるな。」
パクリ。モグモグモグ
ピカピカピカピカ
「よし。じゃあ俺も。いただきまーす」
「我はミネストローネのこの赤い豆が好きだ。」
「鳥だもんな。豆とか米つぶとか好きそうなイメージあるわ。」
「うむ。たしかに好きだぞ。米の酒は美味いからな。」
「そっちかよ。」
「ムフフフフ。今日は何をするのだ?」
「お前の水浴びしたら外壁の漆喰を塗ろうかなあと思ってるぞ。昨日ほどは物量も少ないしそんなに魔力も使わないはずだよ。」
「そうか。今日の水浴びは適当に川の上流まで行って浴びてくるわい。」
「そうか?たしかにここでは水浴びできそうにないもんな。」
「水浴びしたらすぐに戻る。また無茶するかもしれぬからな。」
「わかったよ。まだイマイチどの位が限界とかわかってないんだ。悪かったよ。」
「うむ、限界を体感してちゃんと覚えろ。我らがいない時に襲われたら魔力切れで死ぬぞ。」
「はい。肝に銘じます」
「分かれば良い。」
「はーい。ポヨ、片付けしたらグリの水浴び手伝ってくれな。」
ポヨーン
こうして今日も建築にひたすら時間を割く事になった。
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