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148.再会

「皆、健やかな日々を送れているようで何よりだよ。」


「はい、あまりこちらには視察に来れませんし、この機会にこの領都だけでもみられれば今後の黒字経営にも大きく繋がりましょう。」


「伯爵もアーロンも真面目だなぁ。でも見て回る程度で赤字が黒字になるならとっくになってるよ。」


「それはそうだね。でも見なければ何も見つからないからね。」


「ふーん。」


「ヘンリー様、そろそろ昼休憩の為に戻りましょうか?」


「そうだね。午後からは役所での書類を確認するし、今日は役所の食堂でも行こうか。」


「え?役所なんかの食堂で食べるの?私は遠慮するよ。屋敷に戻って食べるよ。あんな粗末な物を口にするなんて伯爵も変わり者だね。」


「ハッハッハッハ。粗末か。確かに野菜がたっぷりの食事だよね。貴族からすれば、粗末かもね。」


「そうさ。あんな、地に生えた草より上等な肉が屋敷には用意してあるのに、変わった人だよ。」


「君は気にしないで屋敷に戻ってくれ。どんな物を食べているのか興味もあるんだよ。」


「へぇ。では遠慮なく戻らせてもらうよ伯爵。失礼。食後には役所に向かうよ。」


「では、後ほど。」


「では、我々は役所へ向かいましょうかヘンリー様。」


「そうしよう。」



◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「さてと、ノッティンガムに着いたはいいけど、どうしようか。グリ。」


「あやつらは城にいるのではないのか?」


「うーん。たぶん仕事してるだろうし、バースで落ち合うのは役所でって言われてるから昼間は役所で働いてるんじゃないかな?」


「では、役所へ行けば良いのではないか?」


「そうなんだけど、俺じゃあ門前払いされると思うんだよな。だって一庶民が貴族に会わせろって言っても普通聞いてくれないと思うんだよね。」


「なるほど。ではどうするのだ?」


「うーん、困ったなぁ。」


「お前、サーチでヘンリーを探せぬのか?」


「あっ!そうか。」


「マヌケ。とっとと探せ。」


「えへっ。」


『サーチ、ヘンリー・フィッツロイ』


「えっ!こっちに向かってきてる!いや、待てよ。このまま進めば役所だよな。そうか。役所に今向かってるんだよきっと。これなら役所の前にいれば、はち合わせできるぞ!急ごうグリ。」


「お前は迷って立ち止まったかと思えば急ごうなどと、忙しないやつだ。」


「いいから!早く。」


「急ぐのならば、我に乗れ。その短い足より早いぞ。」


「サンキュー!」



「この辺で待ってればたぶん来るはずだ。もしくは通るはずだから、なんとか捕まえるよ!」


「うむ、だが、あやつらは貴族だぞ。馬車などに乗っておらぬのか?」


「たぶん、それはなさそうなんだよ。馬車ならアーロンさんと一緒に乗ると思うけど、付かず離れずの距離を保って移動してるからたぶん馬に乗って歩いてると思うんだよね。」


「そうか。では、しばらく待つとするか。」


グリはお座りして手をペロペロ舐め始めて顔をゴシゴシし始めた。毛繕い開始だ。往来の真ん中でデカイ猫が毛繕いしている姿が珍しいのか軽く注目を集めている。


「お兄ちゃん!この大きな猫さん、触ってもいーい?」


「あはは、いーよ。たぶん。」


「フンッ。」


「うわぁ〜フワフワ!気持ち〜!!!」


「あらあら、ごめんなさい!うちの子ったら目を離したすきに、でも、本当に綺麗な毛並みだし、大人しくてお利口さんな獅子さんね。獅子さん、ありがとう。」


ナデナデ


「お兄さんもありがとう。これ、よかったらどうぞ。」


市場で売ってる果物のようだ。


「ありがとうございます。せっかくなのでこいつと俺で分けますね。」


「あら、優しいご主人様ね。では、失礼しますね。」


「大きな猫さんバイバーイ。」


グリは尻尾をパタパタして一応バイバイしたようだ。


するとその時、遠くの方から砂埃が立ち、物凄い勢いで近付いて来るものがいた。


「な、なんだ?!危険か?」


「グ〜リ〜殿〜!!!」


「へ?ヘンリーさん?!」


ガシッ!ワシャワシャワシャワシャ!


「あー幸せだ! なんと素晴らしい日なんだ! 待ちに待った再会だよ!」


「へ、ヘンリーさん?」


「お、これはタクミ君!君、居たのかい?」


「いや、ずっと居ましたよ。ずっと。」


「そうかい。気がつかなかったよ。しかし、どうしてノッティンガムに?君はバースでダンジョンのはずでは?」


「それが、ダンジョンに潜る理由が無くなりまして、あと、ジャックさんやヘンリーさんに渡したい物があって、相談がてらお迎えに来たんですよ。」


「迎え?」


「はい、バースへは昨日の夜に到着したので、ここから転移でいけますよ。」


「それはありがたい!そうか、かなり短縮できるな。おっと、ここでは何だからちょっと話がしたいからアーロンが追いついたら、ごにょごにょごにょごにょ。」


「え?あっはい。わかりました。」


「これは、タクミ殿では有りませんか?!」


「アーロン、とりあえず、ごにょごにょ」


「かしこまりました。」


「じゃあ、行こうか。」


3.2.1


「走れ!」


「あの角を曲がってタクミ君!」


「はい!」


「よし、今だ!アーロンさん、ヘンリーさん手を繋いで!」


ガシッ!ガシッ!


『転移!マーニン島!』


パカラッパカラッパカラッ


「どういう事だ!消えたぞ!」


「まだ、そう遠くへは行っていないはずだ!探せ!」


「はっ!」


読んで頂きありがとうございます。

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