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145.ノッティンガム伯爵と代官

「いや〜いらっしゃいませ。長旅おつかれ様です。ノッティンガム伯爵。」


「ああ、出迎えありがとう、ウィリアム。」


「それは出迎えないはずがないさ、こんなに素敵なレディーがいらっしゃるんだから。」


「おいおい、困ったな。彼女は私の最愛の人でね。可愛いのはわかるが奪わないでくれよ。彼女の手をとり笑顔をもらえるのは私の特権なのだから。」


「相変わらずの溺愛だね。それは残念。もし旦那様が飽きたら是非僕の胸に飛び込んでおいでメアリー。」


「オホホホホ。我が旦那様はいつも私をドキドキさせて下さるので飽きる時間どころか他所を向く隙もございませんわ。それに遠く離れたお仕事でもいつも私の胸の中にいらっしゃるので胸の高鳴りは止みませんのよ。」


「それはそれは、素晴らしい夫婦愛ですね。これは近々にでもお二人の愛の結晶が見れますかな?」


「どうでしょうね?それは愛の女神様がきっとご存知ですわ。是非伺っておいて下さいまし。」


「あはは、そう致します。さて、お話はこのくらいにして、旅の疲れを癒して頂きましょうか?お部屋の支度が整いましたのでご案内させます。メアリー様には大変申し訳ないのですが旦那様をお借りいたしますね。本日の晩餐までメアリー様はどうぞ邸内でご自由にお過ごし下さい。」


「ありがとう。ウフフまるであなた様のお家のようですわね。」


「おや、これは失礼。もちろん、こちらはフィッツロイ家の城ですよ。」


「それだけ貴方は優秀でこちらをうまく機能させてお仕事なさっているという褒め言葉ですわ。では、ごきげんよう。」


「さて、溜まっている仕事を片付けないと晩餐も食べ損ねてしまうね。」


「そうですね。そんなことにでもなればここのシェフが涙の洪水を作りますよ。もう何日も前から今日の晩餐会のために試行錯誤していたようですから。」


「それは尚更、テキパキと仕事しなくちゃね。」


「はい。よろしくお願いします。」


「さて、ではまず、報告から頼むよ。大体の資料は目を通したが、どうしてここまで赤字になるのかわからなくてね。飢饉があるわけでもないし、収穫量も上がっているはずなのに備蓄に回せない、貯まらないというのはどうしてかな?」


「はい、途中で傷んでしまったりあとは配送中の盗難、略奪などがあり、我々の手元に届くのはいつもわずかになっているのです。」


「そうなのかい?おかしいねぇ。今年は全て何も起きずにここへ運ばれているようだが?それから織物の産業が好調なようだから、そちらも税収が上がるはずなのに上がっていないのはなぜだろう?どうして、こんなに赤字なのか全くわからない。そんなに物を買った覚えはないし、頭を悩ませてくれるねぇ。」


「こればかりは難しい問題だね。今回は特に襲撃はなかったけど、傷みが激しいものばかりで備蓄できるほどの物ではありませんでしたよお〜。それから織物だけど思っていたほど税収は上がってませんねぇ〜。」


「大分邸内も傷み、大ホールの灯台も老朽化がすんでいるようですね。あと屋根の傷みも激しいようです。早急に対応しなければなりませんね。ヘンリー様」


「そうだけど、税収もままならない為、こちらだけの収益ではとても追いかないので、是非リッチモンドからの税収でお願いしたいな。リッチモンドは今や鉱山も発見されて潤っておいでのようですから。」


「そうだね。でも、今はまだ、その時期ではないよ。」


「そう?飢饉がきてからでは遅いと思うよ。いーじゃない?伯爵は他にもザマゼット公爵としても領地を持ってるわけだしさ。」


「そこにはそこの領民がいるんだ。資金を投入するのは簡単だがその資金はその領地の民が必死に汗水流し作ったものだ。そうポンポンと入れる訳にはいかないし、そんな一時しのぎでは意味がないよね?備蓄が増えるよう努力してくれないかな?ウイリアム。まずはこの7日で溜まった書類の整理とそして領地を少し回って僕もしっかりと考えるからね。まわってる間についでにその盗賊も見つかると良いんだけどね。」


「そうですね。まっ、手に余るようなら1個くらい爵を分けてくれてもいーよ。なんてね。」


「面白い冗談だな。では、始めようか。」


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「さあ、奥様、お着替えを致しましょう。」


「ええ、それにしても晩餐会用のドレスは生地が厚くて重いわ。旅用のドレスで最近は過ごしていたから、ズッシリとくるわね。」


「そうでございますね。奥様のドレスは特に刺繍や、レースがしっかりと縫われておりますからさらに重さを増しますわね。」


「でもこちらの織物の産業はレースが中心ですものね。」


「左様でございます。それに社交シーズンに入りましたら、こちらのレースを宣伝するためにも奥様にはこちらのレースを使ったドレスを着てほしいとの旦那様からのご依頼で明日、マダムルイーズがこちらへお越しになるとのことです。」


「そうね。図案の山を目にするのはとても楽しいことだけど、どれもこれも素晴らしくて目移りしてしまうわ。」


「今回はどんな図案があるのか楽しみでございますね。」


「そうね。」


「さあ、奥様、メイクのお直しとヘアーを整えましょう。本日はどのように致しますか?」


「そうね、このドレスならば首周りがしまっているから髪の毛は、そうね、ハーフアップにしてキリッとした印象にしましょうか。一応、代官のウィリアムの晩餐ですしお仕事ですからね。」


「気の抜けない晩餐会と言うことですか?」


「そうね。私にはよくわかりませんが、少し旦那様がピリッとされている感じが致しますから。アーロンもいつも以上に。」


「えっ!アーロン様は通常運転だと思っておりましたわ。」


「そうね。通常でもピリッとしてるのがアーロンですものね。彼がデレた姿なんて想像もつかないわ。うふふ。」


「そうでございますね。きっとそんなお姿でも妖艶で知的な雰囲気をかもし出しておられるのでしょう。」


「うふふ。どうでしょう?」


「それにしても奥様のお肌はすこぶる調子が良いですね。以前は乾燥されたりでき物も時折できたりとトラブルもございましたが、奥様本来のモチモチでぷるんとしたハリのあるお肌に戻りさらに透明感が増しておりますわ。」


「そうね。とても状態が良くて私も嬉しいわ。きっと異世界商会の化粧品が良いのね。この数年、私のお肌はあまり調子が良くなかったし、きっと社交シーズンではエリザベス様を筆頭に、この化粧品を使った方々が注目をさらうでしょうね。」


「左様でございますね。」


「リッチモンドと商会が潤うよう、少しでもお役に立たなければいけないわね。」


「しかし、そうなりますと王都への出店を益々求められる事になるかと。」


「そうですわね。異世界商会は今度の社交シーズンで一気に名を広める事となるでしょう。マーガレットもさらに忙しくなるわ。大丈夫かしら?」


「彼の方は、とても素晴らしい商人ですから何もあんずることは無用に思いますが、何かございましたか?」


「ええ、商人としても素晴らしいし人柄も素敵な女性よ。でも、せっかく女性として生を受けたのならば女性として恋愛も実らせて頂きたいのよ。」


「あら、良い人がいらっしゃるのならば、多忙となれば難しくなってしまうかもしれませぬが困難があればあるほど、その恋は燃えるのではないのでしょうか?」


「あら?貴方はそんな燃えるような恋の経験が?」


「オホホホホ。そんな恋は私には縁遠く物語の中で楽しんでおりますわ。」


「そう。そうね。上手くいくと良いのだけれど。」


読んで頂きありがとうございます。

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