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10.ダンディーライオンとマーニンチャードとマーニンビート

 ピーッピーッピーッピーッ!


「ふぁ〜 朝はやっぱりアラームないと起きれないな。」


 スマホのアラームで目が覚める。

 まだ眠気の残る目をこすりながら起き上がり軽く伸びをする。


「あ〜やっぱり布団欲しいなぁ〜。布団で寝たのは神様の所のあり得ないくらい気持ちの良かったベッドが最後だったよな。あれは本当に気持ちよかったよぉ〜」


 何か布団になるような物が見つかると良いなぁ。


 そんな事を考えながら新たに脱衣所に追加した洗面台で顔を洗い風魔法で乾かす。


 布団っていうより、布が欲しいよね。

 タオルがないから風呂上がりも全裸で乾燥かけてるんだよな。これほど人に見られて恥ずかしい事は後にも先にもきっとないだろう。


 さてと、今日の朝ごはんは作り置きの野菜スープと食パンだ。

 今現在、土鍋は10個ほど作ってある。

 その内4つは中身が入っていて食料箱の中に入れてある。

 作った物が傷まないのと、はじめに作った土鍋のサイズで、かまどを作った為とても大きいから一度では食べきれない。

 かといって日本のコンロ式に切り替えるという方法もない事はないが、結局、魔石を持っていないので使えないのだ。


 そういう理由で土鍋をたくさん作って、そのままタッパーがわりにしている。日本の生活ではありえない話だよな。

 土鍋10個も独り身の男がもってるなんて。


 でも、異世界ではありなんです。

 取り出して蓋を開ければ作りたてと変わらぬ温かさと傷むことのない環境。

 はっきり言ってすごく便利で幸せです。

 疲れきって帰ってきても、すぐに温かいスープなんて食べられなかったから、あの頃と比べると物凄く有り難みを感じる。

 それもこれも神様のおかげだから拝んどこう。


「ありがとうございます。今日も一日頑張ります。」


 朝食を食べ終え、後片付けをしながら今日やる事を思い浮かべる。


「そうだなぁ、今日は昨日やり残したビートの実験だな」


 でもその前に、以前に採ってきたダンディーライオンの根で実験したいんだよな。

 前に鑑定した時に根は油で炒めてきんぴら風に乾燥させていって粉末にしコーヒーにするとよいって出てたんだけど、これ瓶詰めまで神の錬金釜でできちゃわないかな?

 俺が作りたいのはその先のコーヒーエキスを抽出してインスタントコーヒーにした粉末の瓶詰めまで済ませて欲しいんだよ。

 試しにイメージをそこまでしてみようと思う。


 もしコーヒーができてもフィルターがないから飲めないんだよな。

 その点インスタントコーヒーならお湯でとけてフィルターいらず。


 いつかフィルターも作ってみるのもありかもな。

 フィルターは紙を作る以上に難しい気がする。


 よし。とりあえずやってみよう。

 後片付けを終えてアイテムボックスから神の錬金釜とダンディーライオンを取り出した。

 蓋をあけて、ダンディーライオンの根をたっぷり入れる。


 そして蓋を閉め、スイッチオン!


 ……… チーン


 はやっ!

 何度やっても早さに驚くよ。


 蓋を開けて中を覗くと外見はお店に売られているインスタントコーヒーのボトルだ。

 プラスチックの捻るタイプの蓋にガラスの瓶。

 イメージ通りではあるが問題は中身だ。


 これは鑑定かな?


【 名前 】神の錬金釜製最上級ノンカフェインインスタントコーヒー


【 用途 】お湯を注ぐだけで作れる味わい豊かな香り高いノンカフェインコーヒー。

 カフェインが含まれない為、妊婦などに特に人気のコーヒー。ドリップコーヒーに負けない上品な味と深い味わいの旨味が絶妙に混ざり合ったコクのある香り高い一品。

 飲むと血液の浄化と利尿作用で余分な水分や老廃物を流しむくみ改善と毒素排出。

 腎臓の負担を減らし腎臓機能の改善にも役立つ。

 妊婦が飲むと母乳が美味しくなる。

 

 



「やった!インスタントコーヒーできたよ!しかもこの効果って軽い解毒液にもなるんじゃないか?」


 ヒールが使えるから俺としては通常時は微妙かもしれないけど回復魔法が使えない毒とかにやられた緊急時に使えるよな。

 俺、魔法が使えなかったら本当に即死するからマジ助かる。

 あと腎臓の負担軽減とかも普通に嬉しいぞ。


 とりあえず一杯入れてみよう。


 コップに小さじ2杯くらい入れてお湯を注いで混ぜると、ふんわりとした湯気から淹れたてのコーヒー特有のこうばしい香りに包まれる。


「思ってたより良い香りがするな。」


 ゴクリ。


 一口、口に含むとコーヒーの香りが鼻に抜け上品な香りに包まれ心までどこかホッと落ち着くような感覚に陥る。


「……旨い」


 俺の中で製品名をつけるならやすらぎコーヒーだよ。

 しかも旨いんだな。

 正直根っこから抽出したから土臭いのかとも思ったけど全然そんなことないよ。

 これはうまい!大成功だ。


「今日は朝から調子がいいな」


 よし、次は異変種ビートだな。

 これは根っこの部分だけだから、まず葉とこの大根みたいな根っこの部分を切り分けるか。


 釜に入る分葉と根を切り離し投入して蓋を閉めた。

 イメージは体に必要のないものは取り除かれた精製された砂糖の詰まった瓶だ。


 スイッチオン!


 ……チーン



 どれどれ?

 蓋を開けて中を覗いた。


 できてるのか?

 ん?

 んん??

 なんでだ?


 なんだか、やたらめったらお洒落で可愛らしいダイヤ型のカッティングが施されたキラッキラのガラス瓶が2つ入ってる。中身は白い粉末の物が1つと茶色の粉末だ。

 それぞれ粒の大きさが異なる。


 とりあえず鑑定だよな。


【 名前 】神の錬金釜で作られたマーニンビートの最上級ビートカスタードシュガー(グラニュー糖)

 

【 用途 】サラサラでスッキリとした甘さ。

  お菓子作りに最適。

 また、くせのない甘さなので、飲み物にもあう。

 コーヒーや紅茶に砂糖を入れるときにはカスターシュガーが最適。



【 名前 】神の錬金釜で作られたマーニンビートの最上級シュガービーツ (甜菜糖)

 

【 用途 】まろやかな甘さで風味とコクがある。

  カリウム・カルシウム・リンなどの豊富なミネラルと腸内環境を整えるオリゴ糖が含まれるため、お腹にやさしい。

 血糖値の上昇が緩やかなためサトウキビの砂糖より太りにくい。

 色が茶色なのはミネラルの色。体を温める作用もある。

 


「おぉ!グラニュー糖と甜菜糖だよ!日本での名前も出してくれてるからわかりやすいな。しかし、なんで両方できたんだ?」


 サーチで調べてみると砂糖は製法の違いによって、原料を絞った汁を固めたものと糖蜜分を取り除き、結晶分のみを取り出して乾燥させたものができる。

 絞った汁を固めたものはミネラルなどの成分が残り、豊かな風味と深いコクが特徴だ。

 一方の結晶のみの物は、純度が高くクセのない味わいだそうだ。


 つまり俺のイメージが精製された砂糖という漠然ばくぜんとした物だったから2種類できたようだ。

 上白糖ができなかったのはどうやら材料が足りなかったらしい。


 上白糖を作るにはグラニュー糖に転化糖てんかとうを加えると変化してできるそうだ。

 転化糖の身近なものは蜂蜜らしい。


 そのうち手に入れたら上白糖も作ってみるのも面白いかもしれない。


 常用するのは茶色の方の砂糖だな。

 ミネラル豊富で体を温める効果もあるらしい。


 それにしても素晴らしいものができたな。

 街に行けば調味料はすぐ手に入るだろうけど俺にとっては大事なものだよな。

 しかも土に根を植えれば育ってくれるわけだし。

 でも外で家庭菜園したら魔物が寄ってきそうだよな。

 魔物の好物って書いてあったし。

 魔力豊富な土って事は家の中でも作れるよな。

 プランター栽培でもしてみるか?

 俺のせいでこの辺りの物を採り尽くして生態系とか壊したらよくないからな。

 それじゃ、土魔法でプランター作って土と根を入れてみるか。

 肥料もいらなさそうだし。





 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇






 作業をして昼時になったので昼食にする。

 今日のメニューはまず飲み物はインスタントコーヒー。

 サルビーフッヘンの切り身と採ってきたキノコ、玉ねぎを

 味噌と先ほどできたシュガービーツを混ぜたタレで焼いた物を食パンに挟んだ味噌焼きサンドにデザートはラズベリーだ。


 みりんも欲しいが贅沢は言えない。

 砂糖があるだけありがたい。

 でも味噌とくればやはりコメが欲しくなるのが日本人だ。


 そして食料箱からミネストローネをだし美味しくランチを済ませた。


 後片付けをして今日も森に入る。

 薪が無くなりそうなので倒木を探しに行く。

 複製もできるが、まかなえるものはなるべく採りに行くようにしている。

 新たな発見もあるし魔法を使う事で魔力操作の練習にもなる。

 この世界に来て魔法を使いだした俺はきっとこの世界の住人と比べたら幼児レベルの魔法しか使いこなせていないのだろう。

 この先街に移って他の人と違和感のないように今から魔法を使えるように日々練習中だ。


 以前ステータスを開いたときはスキルがレベル10とかだったけど異世界の住人はみんなレベル100とかあるんだろうな。

 俺の体力の数値を考えたらきっとそんな物なんだと思ってる。

 一般的なレベルも正直よくわからないのでステータスはあれから開いてない。

 レベルが上がったのを見て怠けてしまいそうだし、殆ど《ほとんど》上がってなかったら落ち込みそうなので見ないようにしている。

 俺、そんなにストイックじゃないしな。

 のんびり行こう。

 それじゃ森に行くか。

読んで頂きありがとうございます。

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