at バルコニー
三日月の照らすバルコニー。
ふらりと立ち上がる一人の少女。
風に揺れる黒髪。
寂しげな茶色の瞳。
ふっとため息をついた彼女はじっと三日月を見つめる・・・
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山崎恵美だって。
・・・さえない名前。
この家だって・・・
さえない。
部屋だってさえないし。
鏡を覗き込んでみる。
あ〜やっぱり。さえない顔。
スタイルだって微妙だし。
とりえは勉強だけみたいだね。
うわ、この子、あたしの一番嫌いなタイプかも。
点取り虫で温和な顔して、何考えてんだかさっぱりわかんないっていう人。
いるよね、クラスに一人くらい。
まぁ、いいや。
この役になれたのもすっごいラッキーなんだから。
ちょっとくらい環境が悪くたって我慢しなきゃね。
顔は、このくそダサい眼鏡さえどうにかすればなかなかいけるかもだし、
スタイルはあたしの努力でなんとかしよう。
部屋はかわいくしよう。
親や友達にばれなきゃ毎日平穏に過ぎるはず。
ばれるわけがない。
だれが何を考えてるのか、あたしには全部わかるんだから。
だれにどう接したら好かれるのか。
文句を言われたら、相談事をされたら、告白されたら、怒られたら、
何て言えば一番効果的か、どんな態度が一番いいのか、全部知ってる。
記憶力は抜群だし、どういう子がみんなに愛されるのかあたしはよぉく知ってる。
ちょっと変わったなとは思われるかもしれないけど、
まさか人が摩り替わったなんて気づく人がいるわけがない。
可愛くて優しくて、勉強もスポーツもなんでも出来て、心配りがちゃんとできる子になることを嫌がる親がいるわけがない。
ふふっ。
当分はうまくやっていけそうね。
そう、当分は・・・・・・。
わかってる。
あの子が消えるとあたしも消えちゃう。
あの子っていう存在が最初からなかったことになるから。
全てはあの子次第なんだって。
だってあたしは代役だから。
でももう消えるのは嫌なの・・・・・。
あの何にもない真っ白な世界。
一人ぼっちで、身体もなくって、記憶もなくして、ただ心だけが残ってるあの世界。
時間さえもわからないから、
無の恐怖が永遠に続く気がしてた。
だから。
新しいアリスが生まれるって聞いて、すごく嬉しかった。
代役をやりたい魂はいくつもあったけど。
みんな蹴散らして掴んだこの身体。
手放したくない。
だから。
アリス、がんばって。
思い出して。
あなたは誰なの。
あたしはもう一度三日月を見上げた。
祈るように。
わけわかんなくてすみません(汗)
これからわけわかるようにしていくつもりなのでっっ(汗)よろしくお願いしま〜す☆