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シルヴァのお家へ

「さて、状況の説明も終わりましたし、住民に会いに行きましょうか?」


「うんっ!!!」







という会話の後ひたすら森の中を歩き続けてるんだけど・・・・・


「シルヴァ、まだぁ?」


「もうちょっとですよ」


この応答でもう12回目。嗚呼足が痛い。。。


「アリス、そんなに疲れたんですか?」


「うん、かなり。この辺で休みたいな〜なんて・・・」


「そうですか、では」


休ませてくれるのかと思ったら、次の瞬間私はシルヴァに横抱きにされていた。


「ちょっちょっとシルヴァ!!!!!降ろして降ろして降ろして降ろして!!!!!!」


「うるさいですよ、アリス。あぁ、この方が早いですね。ちょっと走りますんで、しっかりつかまっていて下さい。」


「ふえっ??!!」


耳元で風を切る音がする。さすが兎。速さが並みの人じゃない。っじゃなくって。


「アリス、顔が赤いですよ。大丈夫ですか?」


あんた、よく走りながら人の顔覗き込めるな。

こんな美少年にいきなりお姫様抱っこにされて顔覗き込まれたらどんな女の子だって顔が真っ赤っ赤になるよ。


「シルヴァ〜重くない?」


私は身長170cmで、しかもそんなにスリムな方じゃない。シルヴァは190cmは軽く超えてる感じだけどっ


「いやぁ、軽いですよ〜。ちょっと長いですが。」


おいっ人が気にしてることさらっと言うんじゃねぇ。泣きたくなってきたよ、トホホ。


「着きましたよ〜アリス。」


あぁ、スルーですか。そうですか。


「何捻くれてんですか、アリス。さぁ、降りてください。」


そっと手を添えてもらって降りた私の目の前には・・・




「ドコノオタクデショウカ。」


「あ、ここは僕と帽子屋と三月ウサギの3人で住んでいる家です。そんなに広い方じゃないですが、なかなか居心地はいいですよ☆」


お洒落な洋館みたいな家。壁は真っ白でところどころに水色の模様が入っている。三角屋根も水色で、かわいい窓もついている。大きな門の先には広い庭があって(噴水もある。)、その先に金で縁取られた白いドアがある。大きいなんてもんじゃない。メガだ。いや、ジャイアントだよ。私の学校の敷地と同じくらいかな・・・・っていうか。



「シルヴァってそんなにお金持ちだったんだ・・・」


「いやぁ、うちはこの国では中の下くらいの大きさですよ。あんまり広いと落ち着かないのでこの大きさにしてもらったんです。」


本当にすごい国・・・。


「アリスが来るってわかったのは昨日の夜だったので、まだ部屋の準備ができてないんです。すみませんが、来客用の部屋を使ってくださいね。」


「いえいえ・・・こんな豪邸に泊まれるだけでも本当にありがたいよ。

・・・・そういえば、どうして私が来るってわかったの?『アリス』って突如として現れるんじゃなかったっけ?」


「あぁ、そのことですか・・・。う〜ん・・・話が長くなりますので、とりあえず中に入ってゆっくりしましょう。」


シルヴァがドアの上についているベルをチリンチリンと鳴らすと、中からパタパタと音がして、ドアがばたんと開いた。

そこにいたのは超美少女。ウェーブのかかった金髪にぱっちりと開いた空色の瞳。肌は雪のように白くって、フリフリの黒いドレスがよく似合う。そして、彼女の髪からは茶色のうさ耳。


「シルヴァ、早かったのね!!!!この方がアリス?かわいい〜☆★」


きゃーと嬉しそうな声を上げて、超美少女は私に抱きついてきた。きっと私の顔は真っ赤で、とても見られないような顔になっているんだろう。。。こんな美少女にかわいいって言われるなんてね・・・・


「ココット、アリスが困ってるじゃないですか。」


「ごめんなさいね、アリスがあんまりかわいいものだから・・・

私は三月ウサギのココット・マーチっていうの。よろしくねっ☆」


「よろしく、ココット・・・」


かわいい。超かわいい。やばい、ちょこっと垂れたうさ耳がなんともいえず・・・

って私は変体オヤジかっ(汗)


「アベルはまたお茶飲んでるから、私たちもお茶会にしない?アリスが来た最初の日なんだし。」


「まったくアベルは・・・そのうち体中紅茶色に染まりそうですね。アリス、お茶は好きですか?」


「うん、大好き!!特にダージリンが。」


「おっこれは嬉しいな、アリスと同じ好みなんて。」


ん?今のは誰だ?

ばっと振り返るとカップを片手に持った青年と眼が合った。


「どうも、帽子屋のアベル・マッドハッターだ。以後よろしく。」


「何が以後よろしくですか、どこから出てきたんです、アベル。」


「だいたい立ってお茶飲んじゃだめだって言ってるでしょ!!こぼしたらどうするの!!」


青年・・・アベルはかっこいい登場がしたかったんだろうが、二人に怒られるとしゅんとしてしまった。かわいい。黒い大きなシルクハットに赤い薔薇を一輪差している。髪は茶色で無造作にまとめていて、灰色の大きな瞳に長いまつげ。こちらもまたまた美青年。


「だいたいアベルはだらしないんだから。この間だって靴下がまた脱ぎ散らかしてあったわよ!!」


「料理は作っても絶対に片付けませんしね。ゴミだって捨てたためしがないじゃないですか。」


二人の小言は日常生活のことにまで発展してるみたい。なんか・・・姑と小姑みたい。あ〜あ、かわいそうなアベル君は涙目ですよ。


「ねぇ、二人ともそのくらいにしといてあげたら?」


「あ〜アリスは優しいねぇ。誰かさんたちとは大違いだよぉ〜」


「ほんとにしょうがないわねっ。まあ、アリスにもくつろいで欲しいし、お茶会始めましょうか。」


「じゃ、僕お茶淹れますね。」


「「わ〜い!!!!」」



*************


「アリス、どうぞ。ダージリンです。」


「ありがとう。」


ふわっと香りが広がる。


「すっごく美味しい。」


「そうですか、アリスに喜んでもらえてよかったです。」


「ホント、シルヴァの紅茶は最高だよな。」


「アベル、あなたはもう少し勉強しなさい。」


「へ〜い。」


「・・・そういえば、シルヴァ、さっきの話。」


「あぁ、そうでした。アリスが来ることがわかった理由ですよね。

三日月の魔力とは言えど、あちらの世界で普通に暮らしている少女がいきなり消えたら大問題です。初期はそんなことには眼を瞑っていたのですが、アリスについて理解が進んだ中期ごろから、アリスにそっくりな少女を代わりに送ることにしたんです。この国にアリスとしてやってきたものの、名前がわからず消えていった魂をアリスに似せて。存在が消えても魂自体は残り、永遠に彷徨うみたいですからね。その魂は次のアリスが三日月に引き寄せられるのを感知し、姿を変え、アリスに成り済まします。そのときに私たち三日月の国の住人にも魂から連絡が入るんです。まぁ、いいシステムを作ったものです。それで私が迎えに行くことができるんですよ。」


そうか・・・私がいなくなったら両親は騒いで大変だろうからな。最高の出来栄えの作品が消えるんだから。存在が消えちゃった魂さん。代わり、よろしく頼みます。


「まぁさ、何でもいいからアリスがずっとここにいてくれたらいいのにな。俺たち、アリスに会うのは初めてなんだ。」


「この国の均衡が乱れるとアリスが呼ばれるみたいだもんね。でも、私はアリス、あなたが好きよ。私たち、力を貸すからねっ☆」


「・・・ありがとう。」





こんな友達持ったの、初めて。

こんな温かい気持ちになれたの初めて。

一年後に消えちゃうかもしれないのに、なんでこんなに幸せなんだろう。

三日月よ、ありがとう。

お父さん、お母さん、さようなら。

あなたのいい子ちゃんはバトンタッチしました。




・・・気づかないだろうけどね。

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