天才発明家(自称)の家
変な家。
それが私の感想だった。
この国の建物はみんなメルヘンチックなのに・・・・
何をどう間違えればこんなへんちくりんな鉄の塊みたいな家を造れるんだい、バカイル君!!!
「だから俺はカイルだってばぁ〜。」
「勝手に人の心読むんじゃない、変態。」
「変態じゃないもん。僕は天才発明家だもん。この家だって未来型の素晴らしい発明品なんだもん。」
「その話し方やめてもらえますか、バカイル。」
「・・・。」
「あ、カイルがいじけたわぁ☆」
「ホントお前は楽しいなぁ☆」
はい、ただいまバカイルことチェシャ猫君のお宅にお邪魔しています!!
メンバーはシルヴァ、ココット、アベル、私、そして主であるカイル。
上の会話だけ見てると誰が主なんだかわかりませんね(笑
自称天才発明家のカイルはよれよれの白衣、ぼさぼさの頭という超さえない格好で登場した。顔が綺麗なだけにもったいない、と私は思ってしまうのだが。本人に言わせると
「外見にこだわっていたのでは良い発明は生まれない!!」
らしい。つまり面倒だってこと。
「違うもん!!!」
あと、こいつは人の心が読めるという能力がある。知らなかったけど、女王様にもこの能力はあったらしい・・・・。ただカイルみたいに馬鹿じゃないから乱用しないだけ。
「あ〜あ、カイルさんざんだな☆どんまいどんまい☆」
「はぁ。。。じゃあ、みんな入って。」
「「「「お邪魔しまぁす。」」」」」
重い鉄の扉を開くと・・・・・
「嘘!!!!!」
「へっへっへ〜俺のこと見直しただろう!!」
そこにはありえない空間が広がっていた。
外から見ると大体高さ3メートルくらいの小さな家なのに、
なのに!!!
そこはまるで南国のよう。
上にはなぜか青い空が広がり、(今日は曇り。)
なぜかやしの木があり。
なぜか熱帯のオウムがいて。
そして天井は見えない。
一応部屋になっていて、ドアなんかはある。真ん中にはソファーとテーブルがあってなかなかお洒落。
「みんな座って座って!」
「ここすごい・・・。」
「ふっふっふ。天才発明家、カイル様が作り出した魔法の世界さっ!」
「何かっこつけてるんですか。半分はココットの魔法を借りたくせに。」
「うっ・・・」
「ココットの?!」
「ええ☆どうしてもっていうから手伝ってあげたのよ☆うちの掃除を一週間してもらう代わりにね。」
ココットなぜか主婦っぽいんですけど。
「みんなはもしかしてここよく来てるの?」
「当たり前じゃないか!!俺たち幼馴染だもんなぁ、カイルっ!」
「おうアベルはわかってくれるなぁ!!」
なんかこの人たちいきなりハイタッチしちゃってるんですけど。
このテンション何とかしてください。
「お茶でも飲むかぁ?」
「飲む飲む!!!!」
台所にでも行くのかと思ったら、カイルは手をパンパンと二回叩いた。
「今の・・・・何?」
「カイルのおもちゃですよ。」
「おもちゃ・・・・??」
怪訝な顔をしていると、へんなロボットがお盆を持ってやってきた。
「紹介する。“俺が作った”ロボットの、ろぼ太郎だ!!」
「俺が作ったって強調しなくていいから。大体ろぼ太郎って・・・」
「ネーミングセンス悪いわよねぇ☆アベルがつけたの。」
「可愛いだろう!!わかりやすいし。それが大切なんだ!!」
アベルとカイルは同類だった。悲しい事実。
するとろぼ太郎がにわかに口を開き、言った。
「ドウカオイデクダサリ、アリガトウゴザマシタ。
サッサトチャデモノミヤガレ!!!」
「「「「「・・・・。」」」」」
「ぷ、プログラムの設定を間違えたみたいだな、あは、あはは。」
「相手が僕らでよかったですね。」
「本当よ。双子だったらろぼ太郎壊されちゃうわよ?」
「ハンプティーなら怒り出してもう卵くれなくなるだろうな。」
すみません。知らない人物名が頻発してるんですけど。
「すまん、本当にすまん。
住民のことはアリスもそのうちわかるよ。」
「だから人の心読むのやめようね。」
「いやぁ、つい習慣で。」
「しかも私以外の人には反応してないしね。」
「アベルの心はわかるけど、シルヴァもココットもわかんねえんだよな。何考えてんだか。」
つまり私とアベルは単純なんだ。わかりやすいんだ。
悲しい。
「バカイルなんかに心読まれたくないですからね。」
「アリスはいいのよ、そのままで☆」
談笑、じゃれあいいつまでも続く。