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「そうなんですか」


 ほおを赤らめながら、うっとりと思い人について語る姫君の様子を見る限り、無理やり政略結婚を決められた悲しさは無い。むしろ意中の相手を婚約者に指名されるとは、かなり幸運なケースのようだ。しかし、一変して姫君は肩を落として溜息を吐いた。


「でも、肝心の婚約者、ヴォルフェール様が行方不明のままで困っているのよ……。どうやら、この金獅子国にいるらしいと噂を聞きつけてやって来たんだけど」


「なるほど。行方不明の婚約者を探す為に金獅子国へ来られたんですね」


「ええ、そうなのよ。あなた方はご存じないかしら? アルジェント公爵家の三男、ヴォルフェール様よ。あの方ほどの騎士なら、この国でも名声が広まってると思うんだけど?」


 尋ねられたローザは形の良いくちびるを指で触りながら、少し眉を下げた。


「私が顔をあわせるのは、この王宮内で働いている金獅子国の方だけですので残念ながら、他国出身の騎士というのは心当たりがありませんわ。セリナの方が顔が広いんじゃない?」


「残念ながら、私も騎士の知り合いはいないわ」


 知り合いの顔を思い浮かべながら『騎士』という職業についている親しい人や、知人はいなかったと思い出しながら答えれば眼前の姫君は消沈した。


「そうなの? あの方ほどの美丈夫で優れた剣技の腕を持つ騎士なら、名前が広まってない訳がないと思うのだけど……。まぁ良いわ。どうやら今は、この金獅子国に拠点を移したらしいから再会できるのは時間の問題だと思うし」


「そうですか。婚約者の騎士様に早くお会いできると良いですね。私たちも、婚約者らしき方のことが分かったら、すぐにお伝えしますわ。ね、セリナ?」


「ええ」


「ありがとう。あの方は銀髪で青い瞳だから……」


「覚えておきますわ」


「ぜひお願い。それでは、そろそろ失礼するわ。ごきげんよう」


 ローザの言葉を受けて、艶やかな笑みを浮かべた銀髪の姫君は薄紅色のドレスをひるがえし、伴の侍女三人を従えて去って行った。そして、ちょうど銀髪の姫君と入れ替わる形で黒髪の女官長がこちらにやってきた。


「ミランダさん。さっき銀髪の姫君が、ここに来ていたんですけど……」


「あれは蒼狼王国から来たハリエッタ姫ですね」


「ハリエッタ姫と言うのね……」


「はい。先ほどレオン陛下に謁見した際、行方不明の婚約者であるアルジェント公爵家の三男を探すため、金獅子国に来たと話していました。しばらく、この王宮に滞在されるそうです」

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