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苦しそうに肩で息をしている伯爵令嬢フローラに注目が集まる中、伯爵令嬢の後方に立って見守っていた女官長ミランダの元に、茶髪の侍女ジョアンナともう一人の侍女らしき、亜麻色の髪の娘が小箱を持ってやって来て女官長の耳元で何かをささやいた。するとジョアンナから小箱を受け取り中を確認した女官長ミランダは前に出た。
「レオン陛下。こちらをご覧ください」
「何だ?」
「あっ! その箱はまさか!?」
金髪の国王が首を傾げ、赤髪の伯爵令嬢が顔色を変える中、女官長ミランダはゆっくりと小箱のフタを開けて中身を見せた。箱の中には紫色の液体が入った小瓶がぎっしりと詰まっている。
「これは伯爵令嬢フローラの侍女が所持していた小箱ですが御覧の通り魔力増強剤らしき物が複数、入っております」
「ふむ。フルオライト伯爵令嬢。これも魔力回復薬なのか?」
「そ、そうです! 魔力回復薬ですわ!」
「そうか……。まぁ、調べればすぐに分かることだ。ひとまず、その小箱は押収する」
「そんな!」
レオン国王の宣告を聞いた赤髪の伯爵令嬢は思わず不満の声を上げたが、金髪の国王はそんな伯爵令嬢に不信の眼差しを向けた。
「後宮で普通に過ごす分には、魔力回復薬の必要は無いだろう? どうしても必要なら代わりの魔力回復薬を別に用意して渡そう。そして、その小箱の中身が本当に回復薬なのか、しかるべき者に調べてもらうとしよう」
「くっ!」
「その小箱については、ひとまず置いておこう。それとは別の話もあるのだ」
「え?」
「そなたの実家。フルオライト伯爵家が雇っていたメイドが、実はそこにいる亜麻色の髪をしている娘の妹なのだが」
「まぁ、そうなのですか……」
茶髪の侍女ジョアンナと共にやってきた亜麻色の髪の娘に、伯爵令嬢フローラや周囲の視線が注がれた。線の細い娘は強い眼差しで伯爵令嬢フローラを見据えている。
「その妹はフルオライト伯爵家にメイドとして雇われた後、ごく短期間で解雇された。だが、破格の給金をもらったので実家にいる病気の母の治療費にあてることが出来ると手紙をしたためていた。しかし手紙を出した直後、実家に戻ることなく死亡した。そしてフルオライト伯爵家からもらった破格の給金も消えていたそうだ。フルオライト伯爵令嬢。この件に心当たりはないか?」
「わ、私には何のことか……。最近はずっと後宮で過ごしておりましたので、そこにいる側女の妹を見たこともございませんし」
「そなたは伯爵家で働くメイドの家族構成まで、すべてを把握しているのか?」




