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「ほかの王族は、王位を狙ってる方もいると?」


 私が尋ねればブランシュ殿下は、愉快そうに薄笑いを浮かべた。


「新王の意向で王弟たちの処刑はありませんでしたが、今後も必ず身の安全が保障されるとは限らないと考える者がいたら、やられる前に殺るという考えにいたっても無理はないと思いませんか?」


「勘弁してくれ……。寵妃から王弟に二心ありとでも告げられたら、せっかく拾った命がいくつあっても足りぬ」


「そんな」


 顔をしかめるダーク王子に、レオン陛下に対して軽々しく王弟たちのことを悪く言う意志は無いと告げようとしたが、第三王子は私の言葉を遮るように手元のワイングラスに入っている赤い葡萄酒をたゆたわせる。


「ダーク王子はそう思っていなくても、前王ライオネル陛下や第一王子の前では昔から下手に出て信用を勝ち取っていた親しい者でも、腹の底では何を考えているか知れたものではありません」


「……」


「強い者には笑顔でヒザを屈するが、弱い者には態度を豹変させる。そういう者はいくらでも居るものですよ」


「ブランシュ殿下……」


 新王の前では笑顔でヒザを屈している者。第三王子の言葉は暗に、第二王子であるライガ殿下を指しているように思えるが、ライガ殿下はそんな雰囲気を一切、感じさせることなくレオン陛下と談笑を続けている。


 身体が脆弱なゆえにブランシュ殿下が妄想をたくましくした末の懸念なのか、はたまた趣味が悪い冗談なのか、王弟と先ほど知り合ったばかりの私には判断がつきかねた。



 ちょうど、広間の真ん中では第二王子、ライガ殿下がレオン陛下の耳に異国から持ち帰った玉紐の耳飾りを笑顔でつけていた。第三王子と第四王子はその様子を冷めた目で見つめている。


「ブランシュ殿下とダーク王子は、あちらに行かなくてよろしいのですか?」


「私はさきほど話した通り、身体が弱いものでね。あんな場所は気疲れしてしまうので遠慮しているのですよ。今回のパーティも顔を出して兄上達にあいさつを済ませたら、さっさと退散するつもりでしたが、兄上がご執心の寵妃と話が出来たのは僥倖でしたね」


「俺もあんな場所はごめんだ。腹に一物ある連中と話しても面白くないからな」


「ふふっ。第三王子とはいえ、私は脆弱な身体ゆえに権力から遠く、第四王子は母の身分が低いゆえに、貴族どもは新王と第二王子の顔色をうかがう者ばかりと言う訳です」


「そのような……」


「あなたも兄上によく似て善良なお人のようだ。あなたのような無垢な者は何も知らずに利用され最悪、殺されかねない。特に国王の側にはべるなら、用心なさった方がよろしいですよ」


「殺されるだなんて……。本気でおっしゃっているのですか?」

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