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ちゃんと悪役やりたいです

「ちょっと、こっちきて!!」


アラン様のお家に遊びに行ってから数日。

ぼんやりとした日常を送っていた時、自称ヒロイン様からまたお呼び出しを受けた。


「何でしょうか?」


「何でしょうか?じゃなくて!その後どうなのよ?ちゃんと悪役やってくれないと困るのよ!!」


きょとんと首を傾げた私に苛立ちを感じたのか、ヒロイン様が小声ながらも叫ぶように言い放った。

どうやらヒロイン様が言うには、私が悪役をきちんと出来ないと、攻略対象の方々とも

お知り合いになれないとのこと。


攻略対象ってなんだろう?とか

何故私が悪役をやらないと、その方たちと出会えないのだろう?とか

色々疑問もあったけど。


ヒロイン様のいう通り。

私は、悪役令嬢ができてない。

やろうと決意したにもかかわらず。

何もできてない。




アラン様のお家に行ってからすぐに、伯父様がお家に遊びに来てくださったのに。

いざ、伯父様を目の前にすると、ダメだった。

いつものように優しく名前を呼ばれて、「良い子だね」って頭を撫でられて。

「子ども扱いしないで」って言うのが精いっぱいで。

「ごめん、立派なレディだね。」って言ってくれたけど。

それこそ子供に言い聞かせるみたいで。

そこから、何もできなくなった。




「ご、ごめんなさい。私、やろうとしたのですが…。」



悔しくて、悲しくて、涙がこぼれる。

ダメな悪役でごめんなさい。

ヒロイン様にも迷惑かけてごめんなさい。


突然ボロボロと泣き出した私にヒロイン様はギョッとして、

慌てて、ハンカチで私の涙を拭いてくれた。


「ちょ、何泣いてるのよ!これじゃ私が泣かしたみたいじゃない!」


「本当にごめんなさい。でも私、ちゃんと悪役令嬢をやりたいのです。」


「わかってれば、いいのよ。だから、お願いだから泣かないでよ。」


言葉は乱暴だけど、泣き止まない私をヒロイン様は抱きしめて背中を優しくポンポンと撫でてくれている。


「ありがとう…ございます。私、頑張りますね。」


ようやく溢れてた涙が収まり、慰めてくれたヒロイン様に向かって精一杯微笑んでお礼を言う。

するとヒロイン様が頬を染めて、さっと目を逸らしてなにやらブツブツと呟いた。

ちょっとよく聞こえなかった。


「私、昔から女友達っていなかったので、こうして励ましてもらえて嬉しかったです。」


うん、昔から何故か私の傍に誰も近づいてきてはくれなかった。

アラン様以外は。

だから、今日、とてもうれしい。

きっと女友達ってこんな感じですよね。


ですから…。


「私、お友達になってくださったヒロイン様のためにも、精一杯、悪役令嬢になってみせますね!」


晴れやかにヒロイン様に笑顔で答えてみせたら。


「え、友達じゃないし、ライバルだし。」


って真顔で突っ込まれました。




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