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色気ってどうしたら出るのですか?

伯父様を色気で落とすと決意したが、最大の欠点に今更ながら私は気づいてしまった。


最大の欠点


ーーーそれは、私には、圧倒的に、色気が、足りない。


あの伯父様を落とすくらいの色気って想像がつかない。

私の女としての武器は、まだまだ発展途上なこの身体。

そして、女らしさに欠けるであろう、所作。

これでは色気を出すどころの話ではない。

あぁ、小さい頃からアラン様とケンカ友達だった弊害か。

相談できる女友達もいない…。



現実に絶望していた時、アラン様から講義後にカフェに誘われた。


「なぁ、悪役令嬢の役割ってわかったのか?」


ある程度世間話をした後に、アラン様にそう尋ねられた。

私はコクリと頷いて、口に頬張っていた、シフォンケーキを飲み込む。

相変わらずここのケーキは美味しいなぁと現実逃避をしていた頃だ。


「ええ、お母様に教えて頂きました。」


教えて頂いたし、役割を果たす決意もしました。

だけど…。

最初の一歩も踏み出せず。

私に出来るか悩んでたところです。


「ーーで、何だった?俺にも教えろよ。」



アラン様のお母様譲りな蜂蜜色のふわふわの髪を無造作にかきあげて、視線でも続きを早く言えと促される。

所謂流し目。

その一連の流れが、ちょっと色っぽい。

なるほど、これが色気というやつか。


ふむふむと、所作を参考にさせてもらいながら私は口を再び開いた。


「悪役令嬢の、役割。それはズバリ『色気で好きな方を落とす』というものらしいですわ。」


問いに答えながら試しに色気も出してみようと、先ほどのアラン様の仕草を真似て、取り敢えず髪をかき上げようとして、気付いた。

今日髪を纏めてもらっていた事を。

サイドの髪は編み込みにして頂いて、全体を大きなリボンで後ろに纏めているので、かきあげたら崩れちゃう。

侍女達が「可愛いー、可愛いー」って褒めてくれたのだ。

侍女達の力作を台無しにしてはならないと、慌てて触っていた前髪から手を離し、ちょいちょいと整えてから、流し目…はどうやるのかわからなかったので、取り敢えず目を細めてみた。

ど、どうかしら?アラン様。

流し目出来てます?私。


「…は?」


私の色気攻撃にやられたのか、もしくは話の内容に呆気に取られたのか、アラン様はぽかんと口を開いたままだ。

うん、呆気に取られてる方ね。残念ながらこれは…。


「実際、悪役令嬢をやってたらしい、お母様は、その役割を果たしてお父様を射止めたらしいですわ。だから、これは確かなのです!!」


「お、おう。」


私の先ほどの失敗を誤魔化すかのように力説した私に頷くアラン様。


「そこで、アラン様にお願いがあります。アラン様だけなのです。」


うん、私友達いないからね…。アラン様だけだよ、構ってくれるのは。


「私を色っぽくしてくださいませんか?」


「お、おう。…え?」


最近クラスの皆様に男の色気が出てきたよねーって噂されているアラン様に(私は話に入れて貰えてない)色気を教えて貰えたら、きっと私も伯父様を落とせる色気が身につくと思うのです。

男と女の色気は違うかもしれないけど、まあ、そこは目を瞑ります。

ほかに教えて貰える人がいないからとかじゃ無いんですからね。

ほら、侍女とか侍女とか、お母様とかいるんですからね。

でも身内だと恥ずかしから。

その点アラン様なら身内とも違うけど、なんでも話し合える間柄だから、ピッタリだと思うのです。



お行儀が悪いけど、席を立ち、アラン様の隣の席に移動した。

両手を胸の前で組んでアラン様を下から覗き込む。

この、思い伝われーと言わんばかりに目を合わせると。


何故かアラン様が真っ赤になった。




ん?さっきのなんちゃって流し目のお色気攻撃、遅効性だったのかしら?


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