憂鬱な月曜日
※注意※
今回の描写はフィクションです。現実のものとは異なることがあります。
それはいつもと同じ月曜の朝のはずだった。だが、時間とともに異常が明らかになっていた。
「……遅いわね」
オティーリエの口からこぼれたその一言がその異常を的確に表現していた。朝食の時間が終わろうとしているのに、ユリアが姿を見せないのだ。
「遅くなっても食事の時間が終わるまでには来ていたのに」
「ただの寝坊……とは考えにくいですね」
確かに昨日の夕方に帰ってきた時には微妙に疲れた様な表情だったけれど、娘の様に扱ってくれる人と妹分からの要望に応えられてよかったと笑っていたのを知っているので、疲れて寝坊という線は考えにくい。それに、そういった体調管理という面では誰もユリアを疑っていなかった。
そうなれば、突発的に何かが起きたということになる。それに気付いてざわざわとする中でオティーリエは実際のところはあまり心配していなかった。あれだけ神々の加護の厚い子が突然死するとは思えなかったし、ユリアが一人で対応できないならリリィが呼びに来るだろうと思ったからだ。
「来てしまったということは、何かあったのね」
開け放っていた扉の向こうに、どこかしょぼくれたようなリリィがいた。耳がぺたんと寝てしまっていて、いつもの元気さがない。ユリアが連れているのでここに居る全員にとって見慣れた相手であったけれど、そんな落ち込んだような姿を見るのは初めてだった。
「リリィ、どうしたの?」
「オティーリエ、ユリアの調子がおかしいのだ。来てはくれぬか?」
リリィが言葉を発したことを気にも留めずオティーリエは接していたが、リリィが話せるのを初めて知った残りの班員は驚きのあまり固まっていた。
「分かったけれど、私で大丈夫なの?」
「私の鼻を信じるなら、な」
どこか意味深なリリィの言葉に腑に落ちないところはあったものの、オティーリエを先頭にしてユリアの部屋へと向かう。
ドアを開けると、ベッドで寝具にくるまりながら震えるユリアの姿があった。
「何か頭がぼーっとする」
「大丈夫か?」
目覚めからあまりよろしくない朝だった。確かに月曜の朝は起きたくないとは思うものの、リリィに心配されるような状況になったことは一度もない。昨日だって、イザベラ様やベアトにせがまれるままに空を飛んだけれど、倒れるような疲労をした訳でもない。
「これは……。待っておれ。オティーリエを呼んでくる。アレなら分かるだろう」
「うん。お願い」
ひくひくと鼻を動かしたリリィがオティーリエを呼びに行った。しかし、私に分からないことをオティーリエが分かるのだろうかという不安がある。
昨晩感じた寒気が収まらない。けれど、自分の体を検査しても表示される結果は問題なし。寒気が心の中に忍び込んでくるように、不安感があふれ出てくる。
私はいったいどうなってしまうのか。
涙がこぼれた時、リリィがオティーリエを連れてきてくれた。
「確かに調子が悪そうね。いくら教官役だからって言っても、私の方が年上なのだからもっと頼ってくれていいのよ」
こういう時のオティーリエは年上として振る舞って、周りを安心させてくれる。それに、この性別としてならオティーリエの方が経験していることが多い。
私の手を取って検査する。自分でやって問題ないとわかっているのだけど、何が気になるのだろう。そう思っていると、オティーリエが小さくため息を吐いた。
「まだ来ていなかったというのが驚きなのだけれど、まあ遅い方ならありえるかもしれないわね」
「ど、どういうこと?」
私の言葉にオティーリエは、まるで自分の子供に対するようにほほ笑んだ。
「体がちゃんと成長しているってことよ」
その言葉になんとなく理解できてしまった。この体が完全に女になったのだと。
内容的に注意書きは必要。
そして、何かあった時にオティーリエにお姉さん役させるのは大変便利。
短めで申し訳ないです。
女神の反応編などは後から。




